食器戸棚はガラス張り?

2011-05-23 21:50:38 | Weblog
 食器戸棚というものは、みな申し合わせたように扉が透明ガラスであったことにお気付きだったろうか。

 食器戸棚というものはそういうモノだと私たちは思いこんでいるし、メーカーも少しも疑わないで作っているが、扉が透明であるということは、中の食器を見せようと作られているということ。そして問題は、わが家は食器を見せようと思って棚を買ったかどうかということにある。
 
 (略)
 取り出すときに見えて便利だから、と主婦は言う。それなら台所に置けばよいので、飾ろうと食堂に置くのならせめて食器そのものを整理してはどうか。それとも中が見えないけれど扉そのものが美しいのはどうかといえば、食器戸棚じゃないみたい反論される。実は、そのあたり、買ってみたご本人たちも少しは悩んでいるらしいのだけれど。

 宮脇檀の「いい家」の本 PHP研究所 宮脇檀著より  
  

人体という物差し

2011-05-16 23:15:17 | Weblog
 畳に座る場合の目高の885ミリというのは、立った時より650ミリも低いのだから、これはもう決定的。座った相手に失礼ないように給仕する側が、ふすま開ける時から腰を落とし、中腰にする作法が生まれてくる所以。
 
 私たちの世界でいうと、和風の室内に案内されたら必ず座って室内を眺め、批評なり感想を述べることになっている。和室というのは、窓にしろその腰の高さ、天井や床の間の見え方、飾り物の位置、すべて座った人の目の高さを意識して作られているのだから、立って見たのではその神髄が分からないし、作った人に失礼だからである。

 ついでにいうと、日本の室内にかけられた絵や掛け物の位置は共通して皆高すぎる。理由はかける位置を決める時に立った高さで位置を判断するからだ。その絵をゆっくり鑑賞するする人は、椅子に座った人であることをお忘れなく。和室は言うに及ばず。

 男の生活の愉しみ 知的に生きるヒント PHP研究社 宮脇檀著より

周辺の建物に合わせる

2011-05-11 21:06:21 | Weblog
 山の中の一軒屋ならいざ知らず、住宅は単独で立っていることはほとんど無い。たいていは多種類の建物に取り囲まれて建つ。だからこうした周囲の住宅や建築は環境要素の一つであり、それをどう読み取るかは土地の秩序を読み取ることになる。読み取りの第一は、先ず参入者として先住者にかける迷惑をどれだけ少なく出来るかを考える事。

 宮脇檀の住宅設計テキスト 宮脇檀建築研究室より

 写真の間取りは、この本の最初に載せられている「高畠ボックス」のものである。「周辺の建物に合わせる」の項で、この住宅などは、全体の形態からプランニング、断面設計にいたるまで周辺が決めてしまった例であると紹介されているが、そんなことがなくても住みたくなる気になるのはどうしてでしょうか?

 コスト削減のためか、最近は真四角な家ばかり。シンプル、モダンと言われれば、そのような気もしないわけではないですが、やはり何か違うような気がしてなりません。かといって無意味な凹凸が良いという訳ではありませんが、この間取り実にシンプルで、過しやすい感じがします。無理が無いというのでしょうか、視線が途切れず狭く感じないというのでしょうか・・・キッチンとリビングの境の壁が斜めなのも、奇抜といううよりは、それしか無いといったおさまりです。

樹木ハカセになろう 

2011-05-08 07:27:52 | Weblog
 木が一本生えていると、幹のまわりには人が踏まない空間ができ、風に運ばれてきたタネから草や木が生えてきます。人が踏まない土は硬く締まらないので、草や木のタネが発芽しやすくなるためです。鳥が枝で休んで糞をすると、木や草が生えます。鳥がついばんだ実に入っていたタネが、消化されずに糞となって落ちるからです。

 木や草に虫が寄ってきます。虫は捕食する虫を呼び、虫は鳥の餌になります。こうして木の成長にともなって小さな生態系ができてくるのです。

 樹木ハカセになろう 石井誠治著 岩波ジュニア新書より

ピクチャー・ウィンドゥ

2011-05-01 00:33:16 | Weblog
 光を採り入れるために窓は絶対必要ですが、日本の住宅ではその窓を解放できない場合の方が多いですね。

 そのような時に、窓枠によって見たくないものをカットし、写真をトリミングしたように綺麗な部分だけを見せる窓を「ピクチャー・ウィンドゥ」というそうです。

 窓の向こうは、自然な空や大地、林でなくても良いのです。和室などでよく見かける坪庭を見せるための地窓なども、ピクチャー・ウィンドゥなのかもしれません。

 できれば、窓は開けっ放して、外の空気を感じたいものです。

 写真は、 アンドリュー ワイエスの「海からの風」という絵です。

 最初は、「ふぅ~ん」と眺めていたのですが、「風」を表現しているのかと思って見てみると、何だかそのすごさに感動してしまいました。言われないと感じられないなんてやっぱり感性が乏しいですね。