床の間

2011-04-28 00:10:11 | Weblog
「床の間」には、床柱(とこばしら)。昔からその家の顔として、皆が競って立派なものを使用していたのでしょうが、今は床柱も集成材ですね。

 床の間とは、お客さまを迎えるために、掛け軸等を飾るための場所です。

 床の間をよく見ると、床の間は床柱に落掛(おとしがけ)と床框(とこがまち)という木材で四角く囲んで、大きな額縁のように演出されています。

 落掛というのは、「床の間」の上部にある小壁の下にある装飾用の角材です。この小壁を小さくすると、床の間は明るくなりますが、落ち着きもなくなります。

 そして、この小壁によってできる影が、実はさらに床の間の掛け軸にも奥行き感を感じさせる役割を担っているのです。

 上座とかモノを飾る場所という意識しかなかったのですが、床の間というのは、中に飾られるものが、より人の目に印象的に映るように、考えられて造られた空間だったのです。

楽器のある部屋

2011-04-26 20:26:36 | Weblog
 たとえばひとつのピアノがあると、そこで音楽が鳴るんだってことがわかるわけでしょう。もうそれだけで、部屋としては豊かな感じになるものだね。そいうのは、外国でも日本でも変わらない人間共通の気持ちみたいなものだよ。だから、どこの国でもそういう楽器を飾ったりする伝統があるんだと思う。
 
 (略)
 さっきも言ったけど、壁が必要なんだよね。

 絵を架けるになんにしても、いい壁がなくちゃいけないんだよ。壁が作れなければ衝立みたいなものでもなんでも、そういうものの拠りどころになるものを考えておくことだね。

  吉村順三 住宅作法 世界文化社より 
 

床の間チェスト

2011-04-21 18:59:51 | Weblog
 特に、住宅の中心になるリビングルームというものに「何か」大事なものが足りないという気がしてならないのだった。

 ある時、古道具屋で李朝のタンスを見つけて買い、部屋に置いて暮らすようになってから、その「何か」の正体が分かってきた。

 私はそのタンスを自分の部屋の一番いい壁の前に置くことにした。そうすると、自然に、その上部の壁に何かいい絵を架けたいという気分になってきた。タンスの上には季節の花や、ちょっとした小物なども飾ってみたくなった。その小さなコーナーが「床の間」のような役割をするようになってから、私の部屋に重心が生まれ、取りとめものなかった部屋にメリハリが出て来た。肉体ばかりでなく精神の安らぐ住みかという雰囲気が漂いだした。

 私が無意識に探していた「何か」の正体は実はカタカナの部屋名を並べるパズルには出てこなかった「床の間」というカードだったのである。

  普段着の住宅術  中村好文著より

大川家具まつり 3

2011-04-19 01:27:28 | Weblog
今回の目的は、大川の桐里工房さんの作品を見に行くことでしたが、残念ながら出展されていませんでした。
そこで、桐里工房さんのショールーム

いやぁ、ここはとても気持ちが良い空間です。
デフレの世の中ですが、良いものを見ていると、やはりそれなりの価値に納得させられてしまいます。
良いものを大事に永く使う、やはり日本人って素晴らしいですよね。

今回で2回目の訪問なのですが、今日は奥の作業場の中も案内して頂けました。
中では、いくつもの桐箪笥の更生が行われていました。

母の嫁入り道具の桐箪笥も、ひょっとしたら!何て思いながら、倉庫の中に今でも残っています。
ちょうど良い機会なので、思い切って「家の桐箪笥も桐は桐のようなのですが・・・」と尋ねてみると、桐箪笥には、前桐、三方桐、四方桐、総桐というようなランクがあるのだということです。

「前桐」とは、前面だけ桐で残りは杉を用いたもの、「三方桐」は前面と側面、「四方桐」はさらに背面、「総桐」になると底面まですべて桐で造られているのだそうです。

「なぁ~んだ!そういうことか」納得、納得。

大川家具まつり 2

2011-04-17 13:09:13 | Weblog
 「妻の居場所」で紹介したソファーと同じものが会場の一角に並べられていました。

 「やっぱり座り心地が良いね」と座っていると、係の人らしい人が「そのソファーは良いでしょう?」と話し掛けてきましたので、しばらく話に合わせることにしました。

 「これは、浮造り仕上げに」「取り換えできるフェザークッション」「フェザーの座り心地の良さ」・・・
 「なるほど、なるほど、やっぱり良い買い物をしたんだ」と聞いていました。

 「じゃあ、こちらのソファーはどうですか?」と尋ねると
 
 「ここだから本当のことを言いますが、絶対、こちらです」
 「材料が違います。この厚さの底板を使ったものはそうないです」
 「私は、この両方を設計したものです」
 「割引価格は、ほぼ同じですが、元値が違います」
 「これは、絶対お買い得です」

 木製のソファーの上にこのようなフェザークッションを置くと、普通はずれ落ちてしまいます。
 それを解消するために、このソファーは「浮造り仕上げ」にしています。
 
 「なるほど!」ということで
 我が家には、色違いの同じ形のソファーが二脚になりました。

 浮造(うづくり)仕上げとは、刈萱(かるかや)の草や根を水にさらした後、干して麻紐で円筒状に束ねた「うづくり」という道具を用いて、桐や杉の針葉樹の柔らかい春(夏)目を削って、冬目を浮き上がらせるものです。
 

  

 

大川家具まつり

2011-04-14 00:56:16 | Weblog
 「春の大川家具まつり」に、初めて行ってきました。

 最近は、家具を展示しているお店も少なくなり、なかなか実際の家具を見ることができません。不景気というのか、デフレというのか、家具に限らず、モノはその用途を満たせば良い、壊れたら新しいモノに買い換えれば・・・のような風潮になっています。

 商売は、「モノを安く作るのではなく、如何にそのモノに付加価値を付けて高く売るかだ」と何かの本に書いてありましたが、今では売る方も競って安いモノを売ろうとしています。

 でも考えてみると、家具なんて上手に使えば何代にも使えますし、もったいない話ですよね。
 
 まずは、思い切って、ちょっとだけ背伸びをして良い家具を手に入れることですね。そうすると目に見えたり、感じたりするものがまったく変わってきますから・・

 今回、買ったのは木製コースターと、後は☆★★★と**◇。このコースターは、大川の立野木材工芸さんので、半額でした。 


 

匠三代

2011-04-11 22:52:01 | Weblog
 新刊書のところに、「匠三代」の第三巻というのが山積みされており、思わず手に取りました。

 ついに家作りが、漫画の題材に取り上げられたようです。当然と言えば、当然かもしれませんが、これらの取材はどのようにして行われているのでしょうか?

 主人公の心理描写から詳しい技術解説に至るまで、それも読者の興味を絶えず引きながらなんて、本当にすごいものです。

 匠三代も予想に違わず面白く、あっという間に三巻読み終えてしまいました。

 漫画を読んで、そこに描かれているような職業を、本当に将来の夢にできるような時代になれれば良いですね。

家から出て行け!!

2011-04-09 21:42:51 | Weblog
 アメリカでは、子供が何か悪いことをしてしかる場合に、「外出させないよ」と脅す。しかし、日本では逆に、しかる場合に、「家から外に締め出すよ」と脅す。
 これによって、日本人は家族のなかで、処罰とは、家族というウチの世界からの排除であることを学ぶのだという。

 なぜ日本人は とりあえず謝るのか 
    「ゆるし」と「はずし」の世間論  PHP新書 佐藤直樹著より

「なるほど!」と思わず納得できるのですが、今のご時世では「家から出て行け!!」もなかなか言えません。返ってくる言葉は、「それを言っちゃお終い(ずるい)」なんですよね。

平屋

2011-04-03 02:03:11 | Weblog
 書店で、「堀部安嗣の建築 form and imagination TOTO出版」を見つけて、衝動買いしてしまいまいした。

ちょうど家を建てるため、建築雑誌を読み漁っている時に、雑誌で「鎌倉山の家 2005」の紹介写真を見てから憧れていました。

具体的にどこが良いと言えないところが素人のつらいところです。これが言葉にできれば、同じようなものを他の建築家にも依頼できるのですが・・・まぁ、それも無理かもしれません。

 空間を作り出すという作業は、素晴らしいですね。

 写真は、本の中で紹介されている「那珂の家」である。国東にある富貴寺の佇まいを、住宅に取り入れているのだそうです。

 家を建てる土地が狭くなったためか、不用心のためか、最近は平屋の家はあまり見かけません。コストの面でもちょっと贅沢になっているのかもしれません。