面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

待ちうける明日の為に

2008年07月26日 | Weblog
 Tが貸してくれたカート・ヴォネガットの「デッドアイ・ディック」を読み始めたら止められなくなっってしまった。公演中の読書は禁止にするべきであった。今日は、修理に出した携帯電話器の受け取りや、お世話になっている先輩への挨拶やら、走りまわらねばならないというのに。

 新宿御苑で30年間も喫茶店を続けておられるSさんは、その昔名だたる闘士であった。今年の秋、結成40周年を迎えるグループは皆60代である。残念ながら僕は東京に居ないが、九州の空のしたからSさんにエールを送ろう。今夜、観劇に来てくださるというので、夕方、僕も珈琲をご馳走になりに行く約束をしている。サンモールだけでなく、アートスフィアや、アトリエにまで、店を早めに閉めて観劇に来てくださっている。僕の方は、思い出した様に時々珈琲を飲みに伺うだけである。

 40年前は、待ちうける明日が全く見えなかった。突然友人が消えたり、連行されたり、計画は日毎に変更した。今もその名残か、突如予定を変更して若い劇団員をとまどわせている。ベトナムからの亡命者Rさんを匿った時など、映画さながらのスリルだった。今も、僕の人生はスリルに満ちている。待ちうける明日の予想がつかないのは40年前とさして変わらない。いや、歳老いただけに切実さは増したかも知れない。

 だが、しかし、それにしても、僕らはみんな歳をとりすぎた。過去を懐かしむようになったら御終いだと笑い会った仲間が、集まると過去を語り出す。僕らにだって明日はあるのだ。無駄だと笑われようが、待ちうける明日の為に、僕は肉体と精神を鍛えたい。それが生き延びている僕の正しい選択だと信じる。

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