アーク・フィールドブック

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

レターフロムS13 ホタルの川とトホホな海

2023-05-23 | レターフロムS

「レターフロムS13 ホタルの川とトホホな海」 2004年に書いたレター、期間限定公開です。

 5月の第3週。

日本の南海上を北上する台風の進路がとても気になります。

週末にはツアーが入っているのです。

こまめに気象サイトとにらめっこをする僕は、その予想進路に一喜一憂。

参加者とフィールドの状況についてメールでやりとりしながら、

当日の四万十川の状態を予想し、ツアー可否の最終判断をしなくてはいけない。

去年、この時期に台風に直撃された川は、

沈下橋が泥水に沈むほど増水し、まだ小ぶりなアユやホタルのさなぎは流されてしまいました。

 

 台風は、当初の予想進路よりも大きく南の海上にそれそうです。

しかし、前線が四国にかかっているため、大雨(雨量)がシンパイ。

ダダッ!ダダッ!

屋根をたたく雨音が強くなる度に、チッ!と舌打ちをしてる自分に気づき、思わず苦笑いです。

いつもは恵みの雨とか言ってるくせに・・・・。

「ドント ウオーリ マイト!」 「ティキリィジィ!take it easy」ですね。

 週末は天気が回復しました。

(心配した)川の水量は少し増えた程度、水は笹濁りに。

予想よりもいい状況のフィールドに、僕はホッとしました。

土曜日の空は曇りがちで少しザンネンだったけれど、日曜日はバッチリ晴れてラッキー。

最高気温27度。増水した水が残る川の水温は(平水時よりも低く)19度。

初夏のまぶしい光、すきとおった風、ヒンヤリした水が、心地よいツアー。

カヤックから沈脱し川を流れたTさんには、水の冷たさと太陽のぬくさが身に染みる1日となったようですが。


 某日。

四国西南部、大月町柏島の海は、足摺宇和海洋国立公園の一画。

魚の種類も珊瑚も豊かな南国の海は、エメラルドグリーン。西日本人気ナンバーワン、ダイビングスポットです。

今日はこの美しい海で、関西からの修学旅行生達が、釣り、シュノーケル、シーカャックを体験。

僕は、シーカャックのインストラクターとして参加です。

準備段階の昨日は、夏を思わせる晴天だったのに、今日は曇天。おまけに風も吹き始めちゃいました。あらら。

 

 もう1人のインストラクターとして連れてきた友人のテルミちゃんは、

今日がイントラとしてのデビュー戦。なのに2日酔い・・・。

青い顔をしてうつむきかげんのテルミちゃん、トホホなのでした。海にエサまかないでね。

240人を6クラスに分け、1クラス40人、各組40分のカヌー体験。

僕は、6~7分でチョー簡単に漕ぎ方、

乗り方、漕げるエリアを教えた後、子どもたちをカヌーに乗りこませ、海で遊ばせました。

 

 強い向い風に子どもたちは、すぐに風下に流されてしまう・・・。

わっせわっせと風上に漕いで戻って、ちょっと海と戯れて、ハイ時間終了~。短っ!!

「主催者は、なんでこんなやりかたするのかな?生徒は楽しいのかな?」

これまたトホホ・・・なのでした。

まあ、大人数の修学旅行生の体験カヌーは、どこもこんなものでしょうけど・・・。

それにしてもここの海はキレイだ。 

今度はプライベートで、カヌーを漕いだり、シュノーケリングをしてのんびり遊ぼう、と思いました。


 5月29日。気象庁は、四国地方の梅雨入りを宣言。

例年よりも、一週間早く四万十に雨の季節がやってきました。

その日の夕刻。友人に用事を頼まれ、上流の大正町まで出掛けた僕は、

用事をすませた後、帰路、ところどころでホタルの光りをながめました。

本流でも沢山の「ゲンジボタル」の光が舞っています。今頃がピークなのだろう。

水のきれいな支流は、さらに数が多く、幻想的なホタルの命の点滅に、しばし時を忘れ見入ってしまうのでした。

 

 それから1週間後。

素敵なゲストが2人、忙しい都会の日常をちょっと抜け出し、ホタルを見るため四万十へやってきました。

僕らが、黒尊川(四万十川の支流)上流、黒尊渓谷に着くころには雨がやみ、

やがて雲の切れ間から、青空も見えるように。ラッキー!ハッピー!

渓谷の素晴らしい景色と渓流の音を楽しみながら、夕食を食べ、お酒を飲み、夜の闇を待つ。

あたりがしっかりと暗くなると、淡い光りを点滅させながら、ホタルがフワリフワリ飛び始めました。

「うわっっ、キレイ!すごい!こんなに光るとは思わなかった」

と、ゲストの2人は、ほとんど初めて見るホタルの幻想的な光りにカンゲキ!

その声をとなりで聞いた僕は、「良かったぁー」とココロからうれしく思いました。

 

 渓谷付近ではホタルの数が少なかったため、さらに下流のポイントに移動。

下流では、数多くのホタルがその美しい舞を見せてくれました(先週のピーク時より数は少ないけど)。

黒尊から本流に向かう狭い道路では、沢山の鹿達が車の前を駈けてゆく姿も見られました。

黒尊山塊:熊のコル 初夏

熊のコルには、ブナ林が残されてます。

 今宵の川は、ムーンリバーならぬスターリバー。

黒尊川から四万十川に移動した僕らは、星降る川にカヌーで漕ぎだしました。

黒々とした山の稜線にかこまれた夜の川。頭上には、無数の星がまたたいています(ホタル光も)。

ゆらゆらとワイン片手に、ゆるゆると夜の川を下ってゆけば、聞こえて来るのは風の声、パドルの音、野生の息吹。

なんだか別の惑星にまぎれ込んでしまったみたい・・・あまりに幻想的すぎて。

 

 翌日は、黒尊川の清らかな流れと戯れてのんびりと過ごした後、昼過ぎに解散です。

短い時間だったけれど(何度か昼間のカヌーツアーに参加しているゲストが)

四万十の夜の自然も堪能できたアレンジツアーでした。Mさん&Yさん、サンキュー!

 

*通常のツアーではナイトカヌーは行ってません(ホタルの季節、満月時などにツアーを提案することはありますが)。

もちろん僕は熟知したフィールドですし、シラフです(念のため。)


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