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アーク・フィールドブック

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

ブルーにこんがらがって

2025-05-04 | ・最新のお知らせ・イベントなど

「ブルーにこんがらがって」いつかの初夏に書いた旅雑文です。短期間限定公開中。

 最高気温28度。

 五月晴れがつづく四万十は、陽ざしつよく、はやくも夏の陽気です。

雨量がめちゃ少ない春~初夏の川は、水位がじこじこ下がり、流れが痩せ、川原がグンと広くなっています。

水の透明度もあまりよくありません。そろそろまとまった雨が降ってほしいなぁ。

 

 風さわやかな初夏の午後。

木陰に吊ったブラジル製のハンモックに、もぐり込んだ僕は、

グラスのカンパリソーダを飲みながら、先日のインタビューを思いだしていた。

~以下、主観に満ちあふれた雑文です。きょーみないかたはトバシテね~

 

 「本当の豊かさってなんだと思います?」と記者。

インタビューの最中、不意打ちのような予期せぬ質問に、僕の頭の中は小さくコンランした。

ん?なんだか大雑把な質問だな・・・と思いつつも、

なにか答えなくては!と思ってしまう(悪しきサービス精神ですね)。

そして、それまでの話のながれから、「四万十川をカヌーで下りながら、その自然の素晴らしさ、

楽しさをゲストに伝えるガイドの仕事は、充実した豊かな時間ですね」と答えた。

―あれ?今の答えはARKガイド佐野としての返答だな、本当の豊かさ?ホントウノユタカサ?―

コンランの度合いが増した僕は、そのあとはしどろもどろ、脈絡もなく思いついたことを話す展開に・・・。

その、要領をえないダラダラとしたしゃべりに、質問者である記者は冷笑をうかべた。

そして、たまたま同席してた知りあいの、

「お前もっと考えてしゃべれよ。それに日本語、もう1度べんきょーしなおしたら」との言葉に僕は顔色を失った。

―ああ、やっやっちまった・・・—

へこんだ僕は、それ以降の質問にも、答えるごとに、うわっつらな言葉の泥沼にはまっていった。

ブルーにこんがらがった気分でインタビューを終えた。

 

 5月のある晴れた日。

僕は、家の近くの川原で地方誌の記者のインタビューをうけていた。

「四万十川特集」のためのインタビュー。

移住してきて、自立した仕事をしてる人間は記事にしやすいのだろう、たまにこういった取材をうける。

記者、最初の質問

「どうしてこの四万十に移住してきたのか?その魅力は?」

僕の返答

・四万十川にはダムがあるが、護岸や堰堤が少なく、

他の大きな川とくらべ、まだ自然河川としての魅力がのこっている。

・まだそこそこキレイな川の水。

(汚水もはいるが、川の浄化作用、支流や伏流水の流入などで良い水質が保たれている)

・大きく蛇行した川は、水の流れがゆるく、平均水温が高く、夏はバシャバシャ川遊びが楽しい。

・鮎釣りシーズンも、江川崎から下流には釣り師が少なく(釣るポイントではない)、カヌーが自由に下れる。

・流域に人が少ないので、空がきれい。夜空がきれい。静かさがある。

規制が少なく、キャンプに最適な景色のよい川原で、焚き火も自由にできる。

・川も良いが、そこにつながる海と山の自然もまだ濃く豊か。

そしてなにより、移住する前に、このフィールドでゾンブンに遊んで、めちゃ面白く楽しかった。

頭で考えるより、五感と体で感じた手応えが良かった、と答えた。僕の経歴(旅のハナシなども)もまじえながら。

その次に記者は、初対面の僕に「本当の豊かさってなんだと思います?」と質問したのだった。

 

 記者と知り合いがいなくなった川原でひとり、僕をへこませた質問について、

落ち着いてよく考えていると、だんだんむかっ腹が立ってきた。相手と自分に対して。

単純でアホな僕は、一聞すると美しく思える言葉や大きな声に弱く、たやすくだまされやすい。

そしてあとになって(よく考えてみれば)、相手の策や落ち度に気がつき、チッキショーと思う事が少なからずある。

今回の「本当の豊かさってなんだと思います?」という耳あたりのよい質問も、

焦点(主語?)がぼやけていて(どこのナニに向けて本当の豊かさを問うてるのか?)

わかるようでよくわからない質問、というコトに遅まきながら気がついたのだった・・・。

 

ということで、「佐野個人が豊かだなと感じる時間は?」といった質問で考えなおしてみました。

とても記事にはできない、きわめて個人的なコトですが。

・ 気のおけない仲間や、家族、好きな女の娘と美味しい物を飲んだり食べたりしているとき。

・ 好きな女の娘と、気持ちEコトをしてるとき。

・ 充実した仕事が、人や社会の役にたつ仕事や行動が、できたとき。

・ 良いフィールドで、気持ちよい風や水とたわむれているとき。

・ 何かにチャレンジし、見える風景や自分が変わったなぁ、と思えるとき。

・ 星空の下でお酒を飲みながら、ぼおっと焚き火を見つめているとき。テントの中で本を読んでるとき。

etc、まだまだ沢山あるのだ(なんだかしょぼいようなコトばかりで・・・ちょいと恥ずかしいのだ)。

 

「生きてて良かったぁー、時間よ止まれ!」と思うシアワセな瞬間(永遠の一秒)は、一粒のしずく。

記憶の地図の川を流れる、美しいしずく。もちろん汚いしずくも入るけど、

できるだけ沢山の美しいしずくを集め、記憶の川もそこそこ美しく豊かでありたいと思う。四万十川のように。

—生きる旅が、川のトロ場に吹くきつい向かい風の中を、

わっせわっせと懸命にパドルを漕ぎ、海に向かうことに似ているのなら—

ココロの中の川も美しく豊かなほど、良い流れにのって悠々と、気持ちよく海まで漕いでいけると思う。

 

 ~大切なものは、目には見えないんだよ、心でみなくてはね~

言葉にするのが難しいことや感情を、美しい言葉や大きな声で、たやすく口にする人には注意しましょうね。


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