前回は、上海周辺でブラックアウトが発生して、数週間の間、電力がストップしたら、キャッシュレスの世界では暴動が発生してしまうというところまでお話しました。
人によっては「現金を持っていたとしても、やはり暴動は起こる」と言うかもしれませんが、現金や小切手があれば、少なくとも商店主は品物が売り切れるまではお店を閉めることはありませんし、新たに商品を入荷すれば、またお店を開いて商品を提供しようとすると思います。買う方も、お店が閉まってさえいなければ怒って打ち壊すことはしないと思います。
さて、ライフラインが回復して、やっとアリペイやウィチャットペイが使えるようになった時、市民の間でアリババやテンセントの経営不安の噂が流れたとしましょう。確かに、数週間の機能停止でも大損害が発生しますし、もしかしたら資金繰りの不安があるのでは? といった噂が広まる事態です。市民はアリペイやウイチャットペイに置いてある資金を銀行口座へ移し替えるようスマホで指示を出します。市民の多くが一斉に動くと、これも当然ながらアリペイもウィチャットペイも資金繰りが急速に悪化、資金決済が出来ない状態に追い込まれます。
銀行でいう「取付け騒ぎ」が発生する訳ですが、これが銀行の取付け騒ぎであれば、中央銀行がこの銀行に対して「特別融資」を実行すれば混乱は終わります。中央銀行は各銀行のバランスシートを、ほぼリアルタイムで把握しているため(金融行政による各種モニタリング、中央銀行による定期考査はこのためにあります)、自信をもって何兆円でも資金を注ぎ込みます。そして混乱が去ったら、ゆっくり回収するのです。
しかし、これがテンセントやアリババだとそうはいきません。中央銀行の知らないところで、膨大な投資が膨らんでいて、もしかすると債務超過の状態かもしれないからです。金融行政傘下の銀行と、そうでない門外漢とでは、中央銀行の扱いが異なる理由はここにあります。
したがって、この場合、第二次災害が発生、せっかくライフラインが回復したというのに、市民生活の決済機能はまだまだ復活できません。
(続きは明日)
人によっては「現金を持っていたとしても、やはり暴動は起こる」と言うかもしれませんが、現金や小切手があれば、少なくとも商店主は品物が売り切れるまではお店を閉めることはありませんし、新たに商品を入荷すれば、またお店を開いて商品を提供しようとすると思います。買う方も、お店が閉まってさえいなければ怒って打ち壊すことはしないと思います。
さて、ライフラインが回復して、やっとアリペイやウィチャットペイが使えるようになった時、市民の間でアリババやテンセントの経営不安の噂が流れたとしましょう。確かに、数週間の機能停止でも大損害が発生しますし、もしかしたら資金繰りの不安があるのでは? といった噂が広まる事態です。市民はアリペイやウイチャットペイに置いてある資金を銀行口座へ移し替えるようスマホで指示を出します。市民の多くが一斉に動くと、これも当然ながらアリペイもウィチャットペイも資金繰りが急速に悪化、資金決済が出来ない状態に追い込まれます。
銀行でいう「取付け騒ぎ」が発生する訳ですが、これが銀行の取付け騒ぎであれば、中央銀行がこの銀行に対して「特別融資」を実行すれば混乱は終わります。中央銀行は各銀行のバランスシートを、ほぼリアルタイムで把握しているため(金融行政による各種モニタリング、中央銀行による定期考査はこのためにあります)、自信をもって何兆円でも資金を注ぎ込みます。そして混乱が去ったら、ゆっくり回収するのです。
しかし、これがテンセントやアリババだとそうはいきません。中央銀行の知らないところで、膨大な投資が膨らんでいて、もしかすると債務超過の状態かもしれないからです。金融行政傘下の銀行と、そうでない門外漢とでは、中央銀行の扱いが異なる理由はここにあります。
したがって、この場合、第二次災害が発生、せっかくライフラインが回復したというのに、市民生活の決済機能はまだまだ復活できません。
(続きは明日)