今回は騎手がテーマです。
GⅠ競走や重賞競走は、ルメールとミルコから買えば、大体当たりますよ! ってプロの競馬評論家が言うくらいですから、今さらなのですが、では彼らのどこがそんなに凄いのでしょうか?
騎手の力量は、大きく2つに分けられると考えています。第一に「馬を制御する技術」。第二に「レースを支配する技術」。
最初の「馬を制御する技術」とは、行きたがる馬を抑えたり、勝負どころで馬を追ったりする技術のことで、昔でいえば腕っぷしの強い騎手が上手いと言われていたカテゴリーです。ただし、気性に難がある馬を制御するのは難しく、これは腕っぷしだけではどうにもなりません。むしろ「馬の気持ちとシンクロできる力」がある騎手がこの分野の名人となります。
ここはクリストフ・ルメールの技術が秀でている分野と言えるでしょう。レイデオロのダービー、アーモンドアイのジャパンカップはルメールしか出来ない騎乗だったと思います。もちろん、ミルコ・デムーロもドゥラメンテのダービーなど高い技術を見せてくれます。ムーアやモレイラなど、外国人騎手のレベルの高さは、まずこの技術にあると言って良いでしょう。ちなみに、日本人の中では、福永祐一騎手、戸崎圭太騎手がトップでしょうか。
次に「レースを支配する技術」です。これは正確にレースのペースを把握して、この上ない仕掛けのタイミングを実現できる力、と言えるかもしれません。レース支配の最も代表的な方法は、逃げて最高のレースラップを踏んでいくこと。これは誰にも邪魔することができません。また、二番手から逃げ馬をけん制してペースを作る支配の仕方もありますし、ゆったりしたペースを、3コーナーからまくり戦法で支配する方法もあります。
いずれの場合も、正確にペースを把握する力と卓越した勝負勘の持ち主が、この分野の名人ということになります。この分野では、やはりミルコ・デムーロが頭一つ抜けていると思います。彼がGⅠレースで強いのは、このレースを支配する技術が高いからです。
なお、日本人では、川田将雅騎手、そして武豊騎手。特に武騎手は強い逃げ馬に乗った時は抜群のペース配分でラップを刻むことができます。先週のインティは見事でしたし、エイシンヒカリやキタサンブラックは、武騎手だからこそ活躍できた馬だったと思います。