金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【金融】キャッシュレス社会の盲点 もし上海で大停電が発生したら?

2019-02-15 07:34:48 | 金融マーケット
 本日からは「資金決済機能」を少し深掘りしてみようと思います。

 そもそも、お金=貨幣が生まれたおかげで、我々の生活は非常に便利になりました。貨幣が生まれる前は、物々交換が基本でしたので、自分の持ってきたもの(例えば魚)と同等の、こちらが欲しいものを持っている相手方をみつけなければならず、みつけるだけでも一苦労でした。貨幣が生まれたおかげで、まずは魚を売って、正当な価値分を貨幣で受け取り、その後、自分の欲しいものをその貨幣で購入すれば済むことになりました。そして、貨幣が余れば貯めておくことも可能となりました。

 そうこうするうちに、銀行口座なるものが生まれて、現金を所持していなくても、小切手や手形によってモノを購入して、あとは銀行口座で支払決済が出来るようになりました。そして今や、「ウイチャットペイ」や「アリペイ」の時代。日本のSUICAと違って、それぞれ80万円程度までチャージが可能ですので、普段の生活では現金が不要といえる時代がやってきました。事実、上海では現金を見ることはまずありません。

 さて、ここで非常時の頭の訓練をしておきましょう。もし、上海周辺でブラックアウトが発生して、数週間は電力の復旧ができない事態が発生したとしましょう。原因は原発の事故かもしれませんし、昨年の北海道のような大地震かもしれません。当然ながら、アリペイもウイチャットペイも使用できなくなる一方で、上海市民には現金の持ち合わせはありません。しかも、上海は国際都市で、世界各国から多彩な人間が集まっており、特に中国人は超富裕層も居れば、農村部から来ている超貧困層まで、いわゆるピンキリ状態です。震災の時の日本人のように、独特の連帯感ある集団とは全く異なる状況と言って良いでしょう。

 このような状態では、当然ながら食料品や生活雑貨を求めて、2400万人が彷徨います。混乱の中では少なからず、打ちこわしや略奪が発生するでしょう。何しろ現金がありませんので支払手段がないのです。一方、売り手の商店主から見ればすべてが略奪と同じです。世界最大の都市上海で、中国政府が最も恐れる「暴動」が発生していまう事態となります。
(続きは月曜日に‥)

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