金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【金融】 ウクライナ機撃墜事件にみるイランの国内事情

2020-01-14 07:11:27 | 金融マーケット

 イラン情勢に関する新たなニュースが流れてきています。驚きだったのが、ウクライナ国際航空のボーイング737-800墜落事故の原因が、イラン革命防衛隊による誤射だったこと、そして、それをイラン政府があっさりと認めたことです。

 私は当初、イラン政府が事故原因を正しく世界に公開するとはとても思えなかったので、この事故の真相に辿りつくためには、アメリカやイギリスが、偵察衛星からの映像情報をどこまで公開してくれるかに掛かっていると思っていました。しかし、イラン政府はあっさり事故原因を誤射として認め、しかも被害者への補償についても約束する旨、発表しています。多くのイラン国民が被害にあったことと、当初イラン政府が事故を隠蔽しようとしたのではないかとイラン国民の疑惑が想像以上に膨らんだことが、こうした対応に繋がったということだと思います。

 そうだとすると、イランの国内情勢は、我々が想定しているよりも、遥かに「民主的」だと言うことができると思います。例えば、同じことが中国やサウジアラビアで発生したとしても、国が事実を認めることはあり得ません。完璧に、もみ消されるのがオチですから。この状況は、このニュースを通じて、非常に驚き、感じ入った第1点目です。

 次に、感じ入った第2点目についても申し上げると、やはり「革命防衛隊」という組織が、イラン政府にとっても、最高指導者にとっても、非常に扱いが難しい存在であるということ。今回の誤射の主体も革命防衛隊だった訳ですが、思い出すのが、昨年、安倍総理と最高指導者ハーメイニー師がテヘランで会談中に、ホルムズ海峡で日本のタンカーが砲撃を受けた事件。あのタイミングで、ハーメイニー師が砲撃を指示する筈はなく、すなわち、革命防衛隊は、最高指導者からの統制がちゃんと取れていない部隊であり、ハーメイニー師ですら、彼らが何をしでかすのか、すべて把握することは困難だということ。

 こういう組織は、外から見ても、内部から見ても、極めて危険な存在でありますから、イラン政府にしても、最高指導者からしても、一度ちゃんとメスを入れないと・・と考えている可能性があると思います。今回、あっさり「誤射」であることを認めた背景には、そうした事情があるのかもしれません。


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