日本時間の11月5日(日)早朝に行われた米国ブリーダーズカップデイのGⅠ4レースにつき、回顧したいと思います。
まずは、芝2000mのBCフィリーズ&メアターフ(GⅠ)。勝ったのは、英国のフランケル産駒4歳牝馬インスパイラル。後方待機で脚を溜めます。逃げたインイタリアンのペースは速めで淀みのない流れに。直線に入るとまず、馬場の内側から愛国の3歳牝馬ウォームハートが先頭に立ちますが、これを目掛けて大外からインスパイラルが迫ります。ゴール前でインスパイラルがクビ差交わして勝利。良の勝ちタイムは1分59秒06。2着ウォームハートから1馬身差の3着には、中団から差してきたカナダの4歳牝馬モイラ、4着には後方から追い込んできた日本の6歳牝馬ウインマリリン。
勝ったインスパイラルは、欧州マイルの女王から世界の2000mも制する女王となりました。2着ウォームハートも地力を見せる内容でありました。惜しかったのは、ほぼ最後方から追い込んでハナ差4着のウインマリリン。改めて香港ヴァース(GⅠ)を勝った国際級の牝馬であることを示してくれました。
次は、芝1600mのBCマイル(GⅠ)。勝ったのは、英国の5歳騙馬マスターオブザシーズ。後方待機で脚を溜めます。逃げたウインカーネリアンのペースは平均的な流れに。直線に入るとまず、3番手から英国の3歳牝馬モージが先頭に立ち、そのまま押し切りを図ります。そこに大外からマスターオブシーズが猛然と追い込んできて、ゴール雨でハナ差だけ交わして勝利。良の勝ちタイムは1分32秒45。2着モージから1/2馬身差の3着には、地元米国の7歳牝馬カサクリード、1/2馬身差の4着には米国の4歳牝馬ジーナロマンティオ、クビ差の5着に日本のソングライン。
勝ったマスターオブザシーズは、測ったような後方からの差し切り勝ち。インスパイラルが出走しないマイル王決定戦で存在感を示しました。2着モージも同様で、惜しいハナ差2着となりました。地元でも1番人気に押された日本のソングラインは、小回りコースの急カーブに戸惑う様子が見えました。仕掛けても反応が遅く、ラスト100mでは再度差し脚が伸びていただけに、コースへの不慣れが敗因で、けして力負けではないと思います。
そして、芝2400mのBCターフ(GⅠ)。勝ったのは、愛国の3歳牡馬、ディープインパクト産駒オーギュストロダン。中団後方待機で脚を溜めます。逃げた米国のパラディアのペースは速く淀みない流れに。直線に入ると、最内を突いてオーギュストロダンが早め先頭に立ちます。馬場の中央からは米国の4歳牡馬アップトゥザマークが迫りますが、これに3/4馬身差をつけて快勝。良の勝ちタイムは2分24秒30。2着アップトゥザマークから1/2差の3着には、2頭の間を突いて差してきた日本のシャフリヤール。1馬身1/4差の4着には米国の5歳騙馬ゴールドフェニックス、1馬身1/4差の5着に英国の3歳牡馬キングオブスティール。
勝ったオーギュストロダンは、これでGⅠ5勝目。今年だけで英愛ダービー、愛チャンピオンS、米国BCターフを制して、世界にその存在の大きさを示しました。これで引退して種牡馬入りだと思いますが、オーギュストロダンを通じて、ディープインパクトの血脈が世界に広がっていくことになります。なお、3着にもシャフリヤールが入っており、今年のBCターフは1着3着にディープインパクト産駒が占める結果となりました。2番人気のモスターダフは、4コーナーで外を回した分、勢いをなくして9着に敗れましたが、これを見ても、オーギュストロダンのRムーア騎手の上手さが改めて目立つ結果となりました。
【GⅠ5勝目のオーギュストロダン】
最後は、ダート2000mのBCクラシック(GⅠ)。勝ったのは、米国の4歳牡馬ホワイトアバリオ。好スタートから3番手追走へ。逃げたアレイビアンナイトのペースは、平均よりもやや速いペースで流れる展開に。直線に入ると、アレイビアンナイトの外からホワイトアバリオが交わして先頭に立ち、後続を突き放します。ここに日本の3歳牡馬デルマソトガケが迫っていきますが、1馬身差は詰まらず、ホワイトアバリオが完勝。ダート良の勝ちタイムは2分2秒87。2着デルマソトガケから1馬身1/4差の3着には、5番手から差してきた米国の5歳牡馬プロクシー、クビ差の4着には逃げたアレイビアンナイト、3/4馬身差の5着には、最後方から追い上げてきた日本のウシュバテソーロ。
勝ったホワイトアバリオは、ダート競馬の家元である米国の威信を守った感じ。今年のBCクラシックは地元の有力馬が次々と脱落したため、プレッシャーは大きかったはず。2着の日本のデルマソトガケは惜しい2着で、Cルメール騎手の好騎乗が光るレースでした。勝ち馬には一歩及びませんでしたが、ケンタッキーダービー6着の実績に加え、BCクラシック2着の結果は世界に誇れる内容だと思います。なお、期待されたウシュバテソーロも、展開が向かない中で、最後方から5着まで追い上げてきました。この馬も改めて世界に実力を見せつけた内容だったと思います。
世界のダート競馬NO.1を決めるレースで、日本調教馬が勝てなかったことは大変残念ではありますが、5着までに2頭の日本の馬が入ったことは歴史的な快挙だったと考えます。日本競馬は芝だけでなく、ダートの世界でもトップを取れる時代に入ったのだと思います。
【大健闘のデルマソトガケ】