まずは京都の葵S。勝ったのは、アジアエクスプレス産駒の牝馬ピューロマジック。好スタートからスピードを活かした逃げへ。前半3ハロンのラップは33秒1と速い流れに。直線に入ると、2番手からキンシャサノキセキ産駒ペアポルックスが並びかけてきますが、ピューロマジックがスピードを加速して突き放します。そのまま1馬身1/4差をつけて快勝。良の勝ちタイムは1分7秒1。2着ペアポルックスからハナ差の3着には3番手からロードカナロア産駒ナナオ、さらに1馬身差の4着に、8番手から差してきた1番人気のエトヴプレ。
勝ったピューロマジックは、嬉しい重賞初勝利。とにかく真面目過ぎる走りが身上なので、この先、スプリント路線で大きなところを勝つには、道中でリラックスできるようになるのがテーマ。それが可能になれば、スピードの絶対値は高いので出世できそう。
2着ペアポリックス、3着ナナオは今回のレース展開に恵まれた分はあるものの、スピードの絶対値が高いことを証明した形。彼らも将来有望な存在。4着エトヴプレの敗因は、位置取りが後ろ過ぎただけ。ここは参考外で良いと思います。
次は目黒記念。勝ったのは、5歳騙馬のキングカメハメハ産駒シュトルーヴェ。後方待機で脚を溜めます。逃げたケイアイサンデラの前半1000mのラップは1分1秒9とスローの流れに。直線に入ると、先行勢が伸びあぐねる中で、残り100mのところで追込み勢が横並びで入れ替わります。ゴール直前で1番外からシュトルーヴェがクビ差だけ前に出て勝利。良の勝ちタイムは2分32秒3。2着には、中団から差してきたディープインパクト産駒シュヴァリエローズ、アタマ差の3着にはロードカナロア産駒クロミナンス、3/4馬身差の4着にサトノグランツ。
勝ったシュトルーヴェは、3月の日経賞に続いてGⅡ重賞を2連勝。58.5㎏をこなしての勝利ですので、今後も2400m以上の長距離重賞で活躍が期待できます。
2着シュヴァリエローズも5歳を過ぎてから地力が増しています。次走も注意が必要でしょう。3着クロミナンスも同様。重賞勝利は近いと思います。
そして東京優駿=日本ダービー。勝ったのは9番人気の伏兵、エピファネイア産駒ダノンデサイル。好スタートから4番手の内側でジッと脚を溜めます。逃げたエコロヴァルツの前半1000mのラップは1分2秒2と超スローの展開に。直線に入ると、先行勢の中から最内を突いてダノンデサイル、馬場の中央からは1番人気のキズナ産駒ジャスティンミラノの2頭が抜け出します。最内のダノンデサイルの伸びが良く、ジャスティンミラノが追いすがりますが差は詰まりません。そのまま2馬身差をつけてダノンデサイルが快勝。良の勝ちタイムは2分24秒3。2着ジャスティンミラノから1馬身1/4差の3着には、中団8番手から差してきたシユーニ産駒シンエンペラー、さらに1馬身1/4差の4着には、最後方からマクリ気味に上がってきたレイデオロ産駒サンライズアース、ハナ差の5着にはスワーヴリチャード産駒の牝馬レガレイラ。
勝ったダノンデサイルは、皐月賞の出走取消から良く立直してのダービー勝利となりました。開業間もない安田翔伍厩舎にとっては、初GⅠがダービー勝利となり、この上ないお祝いを手にした感じ。鞍上の横山典弘騎手は、2番手でジッと動かず、ダノンデサイルの力を溜めることに専念し、直線では最内を弾けて勝利。まるでワンアンドオンリーのダービーを再現したかのような騎乗でした。それにしても、エピファネイアの産駒はクラシックレースでよく走ります。
2着のジャスティンミラノは、前半に力んで走っていたことを除けば、ベストのレースをしたと思います。勝ち馬との差は前半の力みのみ。前々から行って、ラストは33秒9で走っているのですから、今回は勝ち馬が良すぎただけです。ものは考えようで、もしダービーを勝っていたら、秋は三冠を目指して菊花賞へ向かわざるを得なかったでしょうが、この馬には3000mは長過ぎます。やはり次走は天皇賞秋⇒ジャパンカップに向かうべきでしょう。
3着のシンエンペラーもさすがのレースでした。8番手から3着まで差してきたのは地力のある証拠。この馬は持続力が抜群なので、日本ならば菊花賞の第1候補ですし、海外ならば凱旋門賞への遠征も意義ある挑戦になると思います。
4着サンライズアースも、切れ味よりもスピードの持続力が持ち味であることを示してくれました。菊花賞へ行くべき馬です。5着レガレイラは、さすがに位置取りが後ろ過ぎました。あとは、皐月賞上位組とは地力の差があるということだと思います。2番人気は重すぎました。
なお結果的には、1着から6着まで皐月賞組が占めました。今年の皐月賞のレベルの高さを証明した形。一方で、1着ダノンデサイルだけは、皐月賞を出走取消で走っていなかったので、あの厳しいレースを走らずに消耗が少なかった可能性も。いずれにしても、皐月賞のレース直前に、出走取消を判断した陣営の英断がダービーの勝利を生んだとも言えます。