東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の元理事がスポンサー契約を巡る収賄容疑、そしてスポンサー側には贈賄容疑が騒がれているさ中に、森元総理の銅像を作ろうと、政界財界等の名のある方が15名発起人となってプロジェクトが進んでいるようです。
森元総理が、ラグビーW杯や東京オリンピック・パラリンピックの誘致に尽力されたことは間違いないことでしょうし、有志の感謝の気持ちを顕わすために、15人がお金を出し合って建てるのならば、あまり文句は言いません。でも、そうではなくて、一般から寄付金を集めて、また政府からも補助金を取ろうとしている様子。そこまでして、本当にご本人も含め、銅像を建ててほしいのでしょうか?
すでにご高齢の森元総理。先に亡くなられた安部元総理にしても『国葬』問題で騒ぎになっている中、自分の銅像話で、また世間が騒ぎになることを望んでいるのでしょうか?
私は、まだ20代の頃、平成5年から6年にかけてですが、銀行で企業向け貸付業務を担当していたことがあります。新規貸付を専門としており、中央区や港区、江東区あたりの中堅・中小企業に対して、ノーアポで訪問して、面白そうな先がないか、数多くの企業を見て回っておりました。その時代は、いわゆるバブル経済が崩壊した直後であり、すでに債務超過スレスレの企業も数多く存在していましたから、まず危なさそうなところを対象から外す、というチェックが重要でした。
その頃の危ない企業は、外から見て一目瞭然。まず、バブル経済の勢いに乗ってしまい、新社屋を造っちゃった会社。しかも、贅沢な大理石造りだったり、不要な鋳造物(変な金属製の彫刻とか)が前庭にあるとか。そして、一番ダメなのがオーナー社長の銅像を作っちゃった会社。
このような会社は、1年も経たないうちに倒産。そして、残された新社屋は転用も利きづらいので、そのまま売れ残って、値が下がり続けるパターン。そして、銅像だけは、すぐに取り壊されることになります。そんなものが残っているだけで『不吉』なので、さらに買い手が付きませんから。
何が言いたいかというと、バブルの事後処理をしたことがある貸付経験者からすると、『銅像』=『不吉な彫像物』のイメージが強いのです。そんなものを作ったとたん、今度は、元総理にどんな不幸が押し寄せるか分かりませんぞ。
私が言う不幸とは、あの世に行くことではありません。人間はいつかあの世に行くのですから、それをあえて不幸とは言いません。そうではなくて、万が一、元電通の方のように、変な容疑がかかる『不幸』が起こるかも。晩節を汚すような事態になったら、それこそ死んでも死に切れません。
そんな『不吉』を呼び寄せる『銅像』だけは、止めた方が良いと思います。