金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【将棋】 2021年 藤井聡太四冠の公式戦最終局に見た「竜王の凄み」!

2021-12-07 06:53:53 | 将棋

 もう先週の木曜日の対局の話なのですが、あまりに衝撃的な内容だったので、あらためてお伝えしたいと思います。

 

 12月2日(木)に関西将棋会館で行われた、第80期順位戦 B級1組9回戦の藤井聡太四冠 対 近藤誠也七段。藤井聡太四冠にとっては、少し早いですが、2021年の公式戦最終局でした。

 ところで、対戦相手の近藤誠也七段は、C級1組時代に、藤井聡太四冠が順位戦で初めて敗れた相手。そして、この敗戦のため、B級2組への昇級が1年遅れてしまった因縁の相手であります。

 今回も、戦前の予想では、藤井聡太四冠が圧倒的優位という見方でしたが、始まってみると、先手の近藤七段の研究手順が見事に炸裂この手順に、藤井四冠がドップリ嵌まり込む展開になり、終盤近くなっても、形勢は近藤七段が優位のまま

 

 しかし、ここで見せたのが、将棋界の第一人者となった藤井四冠のまさに「竜王の凄み」。受けの最善手を選択するのではなく、敢えて形勢を損なっても、対戦相手の選択肢を増やすために、「攻めの歩突き」を繰り返す

 近藤七段からすると、当初は、一本道に見えていた勝利への道筋が、二本、三本、四本と、どれを選んでも勝ち筋に繋がるように見えて少しでも「安全な道」を選択しようとすると、それが所謂「緩い手」となって、藤井四冠に一気に形勢が傾くように仕掛けられた巧妙な罠になっているのであります。

 

 こうした罠は、藤井四冠にとってはプロデビュー以来、至る所で展開された得意な作戦ではありますが、将棋界の第一人者となった今、対戦相手から見ると、どの選択肢も「竜王の仕掛けた恐ろしい罠」に見えてしまい、時間だけが吸い取られるように過ぎてしまう展開に。そして、最後には、本当に罠に嵌ってしまい、打ち取られてしまうという結末に。

 これこそが「竜王の凄み」。そんな一局でありました。


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