まずは中山大障害。勝ったのは、障害界のレジェンド、ステイゴールド産駒オジュウチョウサン。スタートから好位置の3番手を確保して、道中も気持ちよく運んでいるように見えました。自分のペースで前向きに走るオジュウチョウサンに対して、人気のタガノエスプレッソは、オジュウチョウサンをマークする位置で虎視眈々といった感じ。ただ、かえって固く走っているようにも見えて、ラスト800mの走りは、その差がハッキリ出たと思います。オジュウチョウサンは、これで障害GⅠが8勝目。歴史に残る大偉業と言って良いでしょう。
2着には、ラスト800mをオジュウチョウサンとマッチレースになった、ディープインパクト産駒ブラゾンダムール。3着には、ダンカーク産駒レオビヨンド。やはり、スタミナ豊富な血統背景のある馬が上位に食い込みました。
なお、レース後、オジュウチョウサンの陣営は来年も現役続行を宣言しました。個人的な意見としては、怪我をしないうちに引退させてあげて欲しいと。オジュウチョウサンはスタミナ豊富で、種牡馬としても面白いと思いますよ。
次は阪神カップ。勝ったのは、フランケル産駒グレナディアガーズ。後方待機で脚を溜めて、4コーナー手前から大外を回して追込み態勢へ。好位に取り付いて先に抜け出していたホウオウアマゾンとダノンファンタジーを、外から豪快に差し切ったところがゴール。ラスト3ハロンの34秒0はメンバー最速の上りで、Cデムーロ騎手が、この馬の新たな一面を引き出しました。従来は、好位差しで終いが甘くなる感じでしたが、後方からの追込みで最速の上りを見せるとは、2年前のグランアレグリアが覚醒したレースを思い出します。
来年のスプリントとマイル路線は、このフランケル産駒に全部持っていかれるかもしれません。
それから、前半3ハロンが34秒3の流れは、今の荒れた阪神芝では少し速いペース。このペースから好位から2着に粘ったホウオウアマゾンも、同じく好位から3着のダノンファンタジーも地力の高さを示しました。あと人気のソングラインとルークズネストは15着と17着に。今の荒れた阪神の芝コースは向いていなかったかもしれません。
最後は有馬記念。勝ったのは、エピファネイア産駒エフフォーリア。スタートは悪くありませんでしたが、今日は意識的に中団後方待機で、クロノジェネシスをマークできる位置を選択。レースは、パンサラッサとタイトルホルダーが作ったペースで前半1000mが59秒台。予想したとおり、淀みのない消耗戦になりました。
それでも、横山武騎手は、内で脚を溜めているクロノジェネシスを横目に、早めに仕掛けて、外から4コーナーの入り口では先頭を見据える位置まで上げます。直線では、内々から抜け出そうとするディープボンドに並びかけて、激しい競り合いになりますが、坂の上で3/4馬身差前に出たところがゴール。2着はディープボンド、3着は仕掛け遅れが響いたクロノジェネシス。
エフフォーリアは、これで堂々と現役最強を名乗ることになります。2021年の年度代表馬も文句なしだと思います。来年の日本競馬界は、エフフォーリアを中心に動いていくことになりますが、コロナ禍が落ち着いたら、ぜひドバイや香港、そして米国BCターフあたりを視野に入れてほしいと思います。欧州ならば、凱旋門賞よりも、天候を見ながら、2000mの英愛チャンピオンズカップあたりを目指して欲しいと思います。この馬は、多少の重い馬場ならば苦にしないパワーを持ち合わせていますので。
2着のディープボンドは、欧州遠征でパワーアップしているところを証明しました。今から天皇賞春の絶対的本命だと思います。クロノジェネシスは、仕掛けてからの反応の悪さを見ると、やはり凱旋門賞の疲れが残っていたと。4着のステラヴェローチェ、5着のタイトルホルダーは、3歳牡馬のレベルを改めて証明する結果となりました。6着のアリストテレス、7着のアカイイトも力を示す内容でした。
今年の年度代表馬を決定づける、良いレースだったと思います。