金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【米国BC回顧】 川田騎手の「ガムシャラに勝つ姿勢」が呼んだ勝利!

2021-11-10 07:18:39 | 競馬

 日本時間の11月6日(土)7日(日)にかけて行われた2021年 米国ブリーダーズカップで、日本馬のディープインパクト産駒ラヴズオンリーユーがBCフィリー&メアターフ(芝2200m)を、またオルフェーヴル産駒マルシュロレーヌがBCディスタフ(ダート1800m)を勝つ快挙を成し遂げました。

 日本調教馬が、米国ブリーダーズカップを勝つのは史上初であり、それを1日のうちに2つも成し遂げた矢作芳人調教師は「もう死んでもいいくらい」という感想を漏らしていますが、そのくらい達成感がある偉業だったと思います。

 今回の勝利の立役者は、もちろん勝ったラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌの2頭でありますが、ここでは、特に、ラヴズオンリーユーの鞍上を務めた川田騎手の好騎乗を讃えたいと思います。

 

 川田騎手の普段の騎乗スタイルは「馬優先主義」。しかも、目の前の勝利よりも、その先にある馬の成長を優先する騎乗スタイルで、それが騎乗馬に怪我が少なく、馬の成長を促すため、結果的に勝利数の多さに繋がっています。これは、福永祐一騎手や武豊騎手にも共通する騎乗スタイルです。

 しかし、そんな騎乗スタイルが、GⅠレースなど、ここ一番での勝負弱さの原因にもなっていました。例えば、GⅠレースの中でも、馬にとっては二度とない機会においては、「ある程度のリスクを背負って、がむしゃらに勝ちに行く」騎乗も必要です。今回のように、米国BCへの挑戦は、ラヴズオンリーユーにとっては生涯最高の舞台である訳で、このレースで川田騎手は、いつもの騎乗スタイルではなく、「がむしゃらに勝ちに行く姿勢」を見せました。

 まずスタート。リスクを負って、スタートのタイミングを読んで、フライング気味にゲートを出ました。そして、その後は4番手好位を譲らず、内埒際でジックリ脚を溜めます。途中で、ラブ騎乗のRムーアが、外から被せてラヴズオンリーユーの集中力を妨げようとすると、少し外へ膨らまして、相手を後ろへ追いやったあとは、また内側へ馬を入れて脚を溜める。直線手前で、最後方からウォーライクゴッデスがマクリ気味に先頭に立ち、さらに外からマイシスターナットが被せてきても、慌てることなく、直線では仕掛けるタイミングを計って、ラスト100mで末脚を爆発させ、見事に抜け出して完勝。

 フライング気味のスタート、道中のRムーアとの駆け引き、最後の仕掛けるタイミングなど、どれ一つ取っても、少し間違えれば敗因になりうるところですが、全て「がむしゃらに勝ちに行く姿勢」であり、それがこの大一番で勝利を呼び込んだ理由になっています。

 実は、どの馬も、大レースではイチかバチかの賭けを打っています。安全に安全に行く方法もありますが、有力馬が安全に乗り過ぎると、結果として、惜しい2着や3着になりがち。CルメールやMデムーロがGⅠで強いのは、この「賭け」が上手だからと言われています。

 川田騎手にとっても、このBCフィリー&メアターフは、「賭け」をするべき大一番であるという判断があったのだと思います。お見事な騎乗でありました。

 

 その意味で、福永祐一騎手は、この「賭け」というか、「がむしゃらに勝ちに行く姿勢」を取ることはありません今回のヴァンドギャルドの乗り方もそうですし、また、三冠馬対決と言われた昨年のJC2021年最強馬決定戦と言われた先日の天皇賞秋でも、安全に乗ることを第一にしています。しかし、その結果が「悔しい2着」

 「絶対に負けられない闘い」と考える時は、「がむしゃらに位置を取る」「がむしゃらにライバル馬と競り合う」「がむしゃらに進路をこじ開ける」など、がむしゃらに勝ちに行く姿勢が、最後の決め手になることを、ぜひ福永祐一騎手にも持ってほしい気がいたします。


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