欧州の歴史的種牡馬であるガリレオが、左前脚の怪我のため、安楽死の措置が執られたとガリレオを所有する生産者のクールモアから7月10日に発表されました。23歳でした。
ガリレオは、父が、自身と同じく、欧州の競馬界を変えたと言われる歴史的な種牡馬サドラーズウェルズ、母が凱旋門賞を勝ったアーバンシーという血統で、半弟には、英2000ギニー・英ダービー・凱旋門賞を勝った名馬シーザスターズがいるという良血中の良血。
競走馬としても、英ダービー・愛ダービー・キングジョージ6世&クイーンエリザベスSを制した名馬ですが、それよりも何よりも、種牡馬になってからの実績がモノ凄い。2020年まで、英愛のリーディングサイヤーに12回、GⅠを制覇した産駒頭数は92頭。英ダービー馬を5頭輩出したほか、史上最強と言われた無敗の名馬フランケル、また名牝エネイブルの父ナサ二エルも、ガリレオの産駒。欧州の競馬界は、ガリレオの死によって、名実ともに「ガリレオ以降の時代」へ突入することになります。
ところで、ガリレオの血統表を見てみると、父方はサドラーズウェルズ⇒ノーザンダンサーなので、まさにスピードの持続力を正統に受け継ぐ直系血族。一方の母方を見ると、母父がMiswakiで、その父がミスタープロスペクター。こちらからは瞬発力を正統に受け継ぐ流れが出来ており、さすが大種牡馬の血脈というのは素晴らしいもの。ちなみに、日本の生産界の方からすると、「何かが足りない気が?」となるのですが、そうなんです。当たり前ですが、サンデーサイレンスの血が入っていないことに違和感が。
日本の競走馬には、概ね、ガリレオと同じ、ノーザンダンサーとミスタープロスペクターの血脈が流れていますが、それに加えてサンデーサイレンスの血が加わることで、さらに「スピードの持続力」と「瞬発力」に磨きがかかることを認識しているため、こうした感覚になるのだと思います。
したがって、欧州では、ディープインパクトの血を何とか取り入れようと、クールモア中心に安平町の社台SSへ繁殖牝馬を送ってくる試みが続いておりました。残念ながら、そのディープインパクトも2019年に亡くなってしまいましたが‥。恐らく、すでに欧州で種牡馬生活に入っているディープインパクト産駒のサクソンウォーリアが、父の替わりを担っていくのでしょう。
23歳まで、欧州競馬を支え続けた大種牡馬ガリレオ。安らかに眠って欲しいと思います。
合掌