将棋の王位戦第3局は、先手の藤井王位が118手で快勝。これで七番勝負は、藤井王位の2勝1敗と勝ち星先行となりました。
1日目は、第1局目・第2局目と同じで、序盤の豊島竜王の構想力が素晴らしく、徐々にリードを奪われる展開。しかし、藤井王位は慌てることなく、無理な仕掛けをする訳でもなく、竜王の手が少しでも緩む瞬間をジッと待って、そこから逆襲を開始して、終盤戦へ一気に持ち込む。
それほど形勢が明確でないまま、終盤戦に持ち込めれば、終盤力に絶対的に自信がある自分が勝つ可能性が高いと、確信をもって指している様子でした。
序盤戦や中盤戦は、竜王に分があると判った以上、リードを広げられないうちに、一気に終盤戦へ入るという戦術、これを第2局目あたりから掴んだように見えました。その際に、竜王が最後まで勝ち筋を読み切っていれば、これは仕方がないと割り切れば良いですし、大抵の場合、終盤戦の入り口の段階で、最後の詰みまで読み切ることは困難であります。
どうやら、序盤・中盤の神様である豊島竜王との闘い方を、ついに藤井王位は掴んでしまったのかもしれません。
それが本物かどうかは、25日に開催される叡王戦第1局を見れば確認できると思います。叡王戦第1局は、7月25日(日)に、東京都千代田区の「神田明神」で開催されます。古くから、関東の地を守る将門の魂ゆかりの場所で行われる将棋の頂上決戦。今週末を楽しみにいたしましょう!
【補足】ちなみに、感想戦で豊島竜王が疑問手として挙げていた70手目の☖3三桂、82手目の☖4一飛の両方とも、AIの多くが、1分から2分くらいの思考時間では、最善手として示していた手でした。しかし、この二人が闘うと、AIの初期最善手が「緩い手」と評価されるほど、「深いレベル」での指し合いになるということ。う~ん、これこそ、神のレベルに近づいている証拠に見えます。