まさか、自分と同じ感性で、こんなことに拘る人がたくさん居てくれるとは、大変な驚きと喜びを感じてしまいました。
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO50787590Z01C19A0BC8000/
10月10日付の日経新聞文化欄に「崎陽軒の焼売弁当」を食するべき順番が、番号付きで示されておりましたが、これはよく私が、家族や会社の部下の前でお話していた鉄板ネタと同じです。すなわち、「崎陽軒の焼売弁当を眺めてみると、一つの大きなテーマが見えてくる!」。
まず、俵型のご飯が8つあるのに対して、主役の焼売は5個。すなわち、ご飯のおかずとして焼売だけでは足りないため、バランスよく食べ切るには「戦略」が必要であること。これが見えてくる大きなテーマなのであります。
焼売以外に、主役級のおかずと認定できるのは、唐揚げとマグロの漬け焼きのみ。卵焼きと蒲鉾は残念ながら主役級とは言えません。しかし、これだと焼売5と唐揚げとマグロで7つしかありません。8つ目の主役とは? それが筍煮なのです! しかも、筍煮は数が多いため、様々な働き方をしてくれます。さらに、副材である切り昆布も大事な役割を果たします。(後述)
もう一つ、大事なテーマ、こちらは「小テーマ」と呼びますが、ここも大切なテーマです。なぜなら、焼売というおかずは、美味しいけど「味が強すぎる」食材で、続けて食べると飽きが来やすく、また次に食べるおかずに影響を与えてしまうため、いったん口の中をさっぱりさせるモノが必要なのです。そのため、崎陽軒の焼売弁当には、梅干し・杏子・千切り生姜が入っているのです。ですから、これらは焼売を食べて、ご飯を食べた直後、句読点を打つように食するのが基本形となります。ちなみに、杏子をデザートだと勘違いして最後に食べていたアナタ、アナタはまだまだ青い!
最後に、8番目の主役である筍煮と、切り昆布の役割についてお話しましょう。まず主役としての筍煮は、3~4つくらいをまとめて俵ご飯の上に乗せて、そして切り昆布を幾つか加えて、そのまま一口で食してみて下さい。まるで筍の軍艦寿司のようです。さらに、余った筍煮は、焼売の上に辛子をぬって1個乗せてみて下さい。これは主役と主役のコラボ、新たな味わいとの出会いとなるでしょう。一方の切り昆布、これは卵焼きやかまぼこに乗せて食べるのもお奨めですし、マグロの漬け焼きに一切れ乗せるのも有りです。
ひとつの食材として無駄がなく、想いを馳せると深く果てしなく夢が広がる「崎陽軒の焼売弁当」。これはもう、小宇宙と言っても過言ではありません。