アメリカが中国に対して、本気で経済覇権争いを宣言して半年が経過しました。1990年代の日本に対して徹底的に経済力の封じ込めを行ったように、これから長期にわたり、中国経済を停滞させようと策を弄すると思われます。
まずは関税作戦によって、中国の貿易黒字を縮小させるところから始めていますが、中国人の多くが資産を海外に蓄積する傾向があるところにも目をつけて、中国国内に資本の蓄積が進まないような施策もこれから繰り出してくるのではないでしょうか?
もちろん、中国は平成日本とは異なり、14億人の巨大消費市場を抱えているため、簡単にアメリカの策にハマるとも思えません。経常収支の悪化で、一時的には中国元の相場が乱高下する混乱はあると思いますが、一方で、14億人の消費市場に参加しないで成長は実現できませんので、そのうち我慢し切れずに、アメリカの有力企業がヘラヘラしながら、さりげなく中国市場に再参入をする可能性も念頭に置くべきです。
ここで注意しないといけない点は、アメリカは中国経済を停滞させようとしているだけで、本気で中国経済を潰す気持ちはないということ。象徴的な事例がアマゾンとアリババの闘い。アマゾンが中国から撤退する事態が起きたように、中国側がやり過ぎた時には、ちゃんとやり返して強い痛みを与えるというスタンスであり、けしてアリババを世界市場から締め出そうとはしません。「調子に乗った輩はガツンと叩かないと勘違いをする」というのがアメリカ不変のスタンスで、相手の息の根を止めるまではしないのです。
日本として、日本人として、間違ってはいけないのが、今のアメリカの強硬姿勢を恒久的なものと勘違いをして、一緒に中国叩きに参加してしまうこと。日本には日本の責任と役割があります。アメリカの意向を十分に尊重しながら、中国経済が混乱した際には、さっと手を差し伸べる度量と機敏さが必要だと思います。