夫婦で新しい人生にトライしてます~日本編

15年ぶりにカナダから帰国。終の棲家と選んだ北海道美瑛町から日々の生活を綴ります。

ヒルビリー・エレジー

2024-07-31 07:42:03 | ブログ

この話題は既に多くの人がネット上に書いているのであまり気乗りせずにいたのですが、トランプが副大統領候補に指名したJ.D.バンスが自伝回顧録「ヒルビリー・エレジー」の作者だということにここ数週間驚いていたので、ちょっとだけ記事にしてみたいと思いました。

この本は2016年の大統領選挙でヒラリーが破れ、トランプが選ばれると言うまさかの事態にあわてた人々によって読まれベストセラーとなったものです。日本語訳が出版されたのは2017年3月ですから、私もその頃に読んだ一人です。更に直ぐ後に映画化されネットフリックスで見られたのでそれも見ました。

今や衰退してしまったアメリカ中西部のかつて石炭産業や鉄鋼業で栄えた地域をラストベルト(錆びついた地域)と言うことや、そこでくすぶる高卒以下の白人労働者達を「レッドネック」とか「ヒルビリー」と言うことを初めて知りました。どちらも「田舎者」を蔑んだスラングのようです。

バンスはそういうオハイオ州のそういう(母親が薬中毒で祖母に育てられたという点ではもっと悲惨な)家庭で育った人です。2016年の選挙でトランプを支持した人達はこういう人達だったのかと一方のあわてた人達は理解しました。ヒラリーが敗れたのはエリート階級への底辺労働者の反乱だったということです。

実際にはヒラリーの方が得票数ではトランプを上回っていたが各州に割り当てられた選挙人の獲得数でトランプが勝ったということで、アメリカの大統領選挙については一言で言い表すことは出来ないのでそう単純な図式ではないと思いますが、当時私はまさかこの人が今「トランプのクローン」と言われるような人になるとは思いもよりませんでした。

本を読み映画を見た後で思ったことは、この人はそういう世界から這い上がったアメリカンドリームの体現者で、その救いのきっかけは海兵隊に入り、その後オハイオ州立大学を卒業したことでした。更に名門イェール大学ロースクールを出て弁護士となり、投資家としても成功し、「エリート」の仲間入りを果たした人だとばかり思っていました。。

案の定その頃はトランプを「詐欺師」と呼び、「アメリカのヒトラー」だと罵っていたので、そこまではなるほどと理解出来ました。しかし、その後は気にも留めていなかったところ、2022年に共和党から上院議員になる辺りでトランピズムにすっかり改宗し、2年足らずの政治経験で副大統領候補となったわけです。

その心境の変化に何があったのか、ネットを探しても「リベラルではラストベルトは救えない」ということくらいしか出て来ません。2020年の選挙では「やはりトランプではない」と白人労働者達も再度民主党にスイングしたはずです。しかし、彼は逆を行っています。

なぜトランプが支持されるのか、ある人は修復しがたい経済格差だと言います。その元凶を作ったことには共和党も民主党も同罪なはずですが、常識を覆す、権威を壊すという魅力に踊らされているのでしょうか。トランプ・バンスが当選するとトランプには3期目はありませんからバンスが次の大統領になる可能性が高まります。眩暈がしてしまいます。

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