Andyの日記

不定期更新が自慢の日記でございます。

バベルの塔

2005-11-09 17:56:22 | よしなしごと
先日 NHK スペシャル『立花隆 最前線報告 - サイボーグ技術が人類を変える』
を見て、慄然としました。もう、科学・医学の進歩は、ここまできているのか、
と驚くとともに、人類はもうすぐ、神の領域にすら到達してしまうのではない
のか。ことによっては、神も宗教も必要なくなってしまうのではないのか、と
すら思えました。

http://www.nhk.or.jp/special/
http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/sci/

この番組によると、脳にコンピューター・チップを埋め込むことで、うつ病、
パーキンソン病、ジストニアなどの病気が、信じられないほど完璧に治癒して
しまうのです。うつ病になると、脳の中で悲しみを司る部位が活発に活動する
ことがわかっているため、その部分の活動を抑えるように、脳に直接電気刺激を
与えるのですが、それによりうつ病がほとんど完全に治ってしまうのでした。
パーキンソン病も、信じられないくらいにすっかり治ります。

これはつまり、人間の感情というものは、今日の技術ですら、ある程度コンピュー
ター・チップでコントロールすることが可能ということです。近い将来、人間の
あらゆる感情をほぼ完璧にコントロールすることすら可能になるかもしれません。
そうなると、たとえばこれまでは矯正が困難であった精神病の治療だけでなく、
凶悪犯罪者を真人間にすることも可能になるということです。

また、記憶を司る海馬、という脳の部分をより活性化することも可能になって
きているそうです。これにより、人間はそれほど苦労しなくても、勉強した
内容をいつまでも記憶していられるようになるのだとか。そして今後は、まるで
Windows のように、定期的に脳をバージョンアップできるようになる日もくる
ことでしょう。それも、大手術など受けなくても、予防接種か何かくらいに簡単に
チップを埋め込むことが可能になる日も遠くないはず。

しかし、この技術で本当に怖いというか議論すべきことは、やはり感情を完全に
コントロールすることが可能、という点でしょう。この技術を応用すれば、
たとえばクローン人間の人格形成に関する問題も解決できるかもしれません
(自分はクローンであること、そしてオリジナルの体に奉仕できることを誇りに
思う、というような感情を持たせることも可能)。もっとも、そんなことをしても
いいのか、という議論は起きるでしょうが。

立花隆さんも番組の中で言っていましたが、人間の脳というものがこんなにも
機械的に出来ていて、簡単にコントロールできるものなのだとしたら、人間と
いうものを考え直さなければならなくなるような気がします。この問題について、
議論できる時間はあと数年しか残されていない、と番組内で指摘されていました。
ということは、実用化まであと数年しかないのです。人類は、この先どうなって
しまうのでしょう。