Andyの日記

不定期更新が自慢の日記でございます。

自由主義経済

2006-12-11 15:52:59 | よしなしごと
昨日、NHK のワーキングプア II を見た。前回もそうだったが、現在の日本の
現状をありのままに示してくれる、良質のドキュメント番組だった。働いて
いるにもかかわらず、収入(給料)だけでは生活できない人、働く意思も能力も
あるのに仕事が見つからない人、この日本の、いや自由主義経済のすべての国の
暗部を白日の下に曝け出した衝撃的なレポートだ。

このままでは、間違いなく世界経済は完全に破綻してしまう。それどころか、
成功者というものもいなくなってしまうだろう。今現在「勝ち組」である人たち
ですら、あと数年、あるいは数十年後には、次の「負け組み」になることは確実
だからだ。ちょうど砂時計のように、じわじわと地球上のすべての人類が滅びるのを
待っているかのような錯覚に陥った。今までに何度かコスト削減の悪影響について
このブログにも書いてきたが、もはや一刻の猶予もないはずだ。

例えば中国と日本の自動車メーカーが価格(安売り)競争をしたとする。今の
ところ、日本のメーカーが販売数で直接負けることはないだろうが、近い将来
には、中国は間違いなく日本車レベルの品質・性能の車を作り出す。そうなった
場合、中国車の値段は、下手をすると日本車の5分の1くらいまで低くなる
かもしれない。

セルシオのような高級車が、カローラ程度の値段で購入できるようになったら、
さらにカローラのような車がバイクくらいの値段で購入できるようになったら、
そうなったら日本の自動車メーカーは、もうまったく太刀打ちできない。仮に、
コスト削減や値下げをさらに進めて中国車に対抗しようとしても、無意味だ。
さらなるコスト削減をすれば、当然品質は悪化する(今でも十分に悪いが)。
また無理に値段を下げれば利益が減る。利益が減れば、新車開発にかけられる
予算も減り、魅力的な製品(新車)が出せなくなって、さらに売り上げが落ちる
という悪循環に陥るだけだ。

このままでは、このような悪循環が企業間や国家間で際限なく繰り返されて
いくのを止めることができない。異種企業間ですら、ドブアライ事件のように
敵対的買収が繰り返されていくだろうし、それによって様々な企業や国が競争力を
失っていく。『今現在「勝ち組」である人たちですら、あと数年、あるいは
数十年後には、次の「負け組み」になる』というのは、そういう意味だ。

そして最終的には、どこかの国のどこかの企業が圧倒的な力を得て、それこそ
世界中のすべての企業を参加に治めるようになるだろう。しかし、その頃には
ほぼ世界中の人間が貧困層になるはずで、そうなったらもう企業だの利益だの
という今のような経済活動や社会構造はなくなっている。というか、存在できる
はずがない。誰もお金を持っていないんだから。

どうすればいいのか、この自由主義経済。少なくとも、今の人類は絶滅への
急な下り坂を滑り始めたのだけは間違いない(斜度30度くらいか)。
コスト削減を止める方法はないのか。輸入していいのは高いものだけとかいう
理不尽きわまりない規則でも作らない限り、もうどうしようもない。
中国が力をつけて経済的に豊かになれば、中国でも物価が上がり、それに
したがって中国製品の値段もあがるから、最終的にはとんとんになる、という
考え方もあるようだが、本当にそうなるだろうか。すでに中国は、復興という
名目でアフリカの経済的支援を始めている。でも本音は、中国よりもさらに安い
労働力の確保だろう。今のうちに事実上の「手下」にしてしまい、いつかは
奴隷として働かせよう、と考えているのは間違いない。

少なくとも、国内の需要を少しでもよくするためには、儲けすぎている企業から
多額の税金を取るしかない。「儲けすぎ」の基準はいろいろと考えられると思うが、
とりあえずその基準を超える企業からは大量に税金を取る。その代わり、その
企業の社員は、たとえば医療費・教育費(公立の場合)がゼロになるとか、
社会保障の点で著しく優遇されるようになる、などの特典を設ける。これだけでも
随分と違うはずだ。安倍くん、今の日本は残念ながら美しい国ではないようだ。
ちょっと、早急に審議したほうがいいぞ、この問題。