新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

免疫チェックポイント阻害:腫瘍がそれで免疫回避しているかはわからないので誰でも効くわけではないです

2018-10-03 22:11:26 | 医療

こんばんは

 

今日は外勤先で結構大変な感じでした。血液疾患の患者が来たのに加えて、ちょっと大きな病気が軽い症状で受診されまして・・・。

 

このパターン(軽症ながら怪しい雰囲気)は2回目だなと思い、少し疑いながら診察をしておりました。それっぽいということで精密検査をして・・・見事に的中いたしました。

 

見逃さなくてよかったです。

 

さて、オプジーボ話ですが、先日コメントにも書きましたが、僕も早速患者さんから質問されたりしております。血液疾患ではホジキンリンパ腫以外に良いデータは今の所ありませんので・・・(汗

 

ノーベル賞受賞で相談殺到 誤解してほしくない免疫療法

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181003-00010000-bfj-soci

10/3(水) 11:01配信

 

日本中がお祝いムードに包まれた京都大学特別教授、本庶佑(ほんじょ・たすく)さんのノーベル医学生理学賞受賞。

その研究成果は、免疫療法の一種であるオプジーボなどの「免疫チェックポイント阻害剤」開発に結びつき、がん治療に新たな道を開いたと華々しく報じられた。

ところが、研究成果や受賞会見の報道で、患者を含めた一般の人に、免疫療法に対して危うい誤解が広がっているのではないかという懸念が患者団体や医療者からあがっている。

患者団体代表やがん治療に詳しい腫瘍内科医に、気をつけるべきポイントを伺った。

(中略)

「治療法がないと言われた人ほど、冷静ではいられないので、ノーベル賞のお祝いムードで『夢の治療法』などと紹介されると飛びついてしまいます。自由診療のクリニックは、おそらくこれ幸いとばかりに『これはノーベル賞を取った画期的な薬です』と宣伝を始めるでしょう」

「問い合わせてくる人は、標準治療がどのように研究を積み重ねて効果が証明されたかがわかっていないので、言葉の響きから並みの治療だと思っています。お金さえ出せばもっといい治療があるはずと自由診療に流れたら、大きな副作用もある薬なので心配です」

(以下略)


オプジーボもそうですが、免疫療法は効果のある方には劇的な効果をもたらすことがありますが、ない人にはないです。

抗PD-1抗体(オプジーボ)の話:がん免疫機構を簡単にそえて

学生向け教科書の執筆終了:腫瘍免疫回避とCAR-Tのコラム

 


がん細胞の免疫回避のメカニズムはいくつかあるので、そのうちの1つだけで回避しているのか、複数を用いているのか。わからないことばかりです。

 

免疫抑制系のT細胞は注目されていますが、他にも免疫抑制系のマクロファージ(TAM:tumor associated macrophage)や単球なんかもいますし・・・。

 

オプジーボの話は血液疾患の患者さんからも質問が出ておりますが、有益性がある患者さんは限られています。今後はどのような患者さんにメリットがあり、どのような患者さんにメリットがないかを判断できるようになると思いますが、誰でもやればいいというような治療ではないです。

 

本文中にもありますが、効果がある人は2割程度とされています。

 

今後はさらに色々なことがわかっていくと思いますし、新しい治療方法が出てきたことは喜ばしいと思いますが、まだどのような人に効くかもわかっていないということで、主治医の先生とよく相談して治療を受けていただきたいとは思います。

 

この記事を読んでそんなことを感じました。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また

 

 

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2 コメント

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案の定 (女王様)
2018-10-04 08:55:28
報道で「魔法の薬」「夢の兵器」のようなニュアンスになっていて、オイオイ とツッコミたくなりました。
確か 日本人にはそもそも少ないメラノーマとか ごく一部の肺がんとか 適応は本当に少なかったはず。
小林麻央さんが終末期闘病のころも よくわかってない人達がネットで オプジーボとか重粒子とかやればいいのに などと言い合っていて、乳ガンは対応してないのに‥と思ったものです。 重粒子線も(根本的に保険外ですが) 使えるガンは一握りだったはずですし。

対象者がある程度いないと、5年後10年後の生存率とかデータにならないですよね。 90歳のお年寄りに「ガンが見えないくらい小さくなった」とか言われても。

たしか森元総理が使って、元気に鼻息が荒くなっちゃったのも誤解の原因かも。
ああいうジイサンはオプジーボなんかなくても「世にはばかる」図太そうな いや 頑丈そうな人ですし。 ああいう金満な御方だからこその選択肢なんだとよーくわかります。
たくさんの患者がいる膵臓や大腸、婦人科系がんに適用になるのは いったいどれほど先になるのやら。

腹黒い自由診療の医師に 使えますよ・効きますよ と乗せられて、どこから入手したかわからないオプジーボに100万とか取られたりしなきゃいいですけど。 藁にもすがる思いを利用しないでいただきたいものです。
いい加減な医師に「効かないタイプだったんじゃないですかね」なんてはぐらかされたら たまったものではありません。

教授はオプジーボのライセンス利益などから 研究家のための基金を立ち上げるそうですね。
オプジーボ開発以上にその志が立派だと思いました。 研究に人生を捧げて良かったと若い人達に感じてもらいたいから、とのこと。
国に研究費がないから(ないからじゃなくて、回さないだけでしょうけど) こうした立場の方々が声を上げ 動かなくちゃならない。 おかしな話です。
戦闘機を買う予算はあるのに 国立大学の研究予算はない。 上書き保存みたいな改造内閣に大金をかける余裕はあるのに。
消費税も増税して 何に使うんでしょうか。 収入のない幼子がお菓子を買ってもとられる消費税です。
国民はその明細を知る権利があるはずでしょう。
あ ゴタゴタ言ってるふるさと納税の返礼を脳ドックとかにしちゃうのもアリですね。 あくまで送金先は研究所で。

運動会、どうにかギリギリ台風直撃は免れそうで楽しみですね。 30℃はあまりにも運動会日和とは言いにくいですが… プール大会じゃないんだから。
代わってもらえるのも アンフェタ先生のお人柄ならでは。 お互い様で みんな運動会や発表会くらいは休めるべきです。
かわいらしく頑張る姿は 結構お父さんたちは感涙でウルウルしちゃうといいますよ。
お父さんと踊るダンスがあったり お父さんたちのリレーや綱引きがあったりと 出番もあるようで、お二人のお子さんがいる魔裟斗サンは「去年は脚がもつれてこけた」「今年は勝ちたい!」気合満々だとラジオで話しておりました。
子供たちとのダンスは流行りの DA PUMPのUSA! だそうで これは期待されたら困るんだと(笑)。

肉離れなぞ起こさないようにして いいところを見せてください。
そして頑張ったお嬢様のことも いっぱい誉めてあげてくださいね。

私もついに渋々 透析初期入院を申し込みました。
ラシックスを90にしたりホスレノール増やしたりしながら 1ヶ月引っ張って、新たな人生の序章に 強くなろう!と決めた秋です。

さんまに醤油、お寿司や焼肉、しらす干しに醤油 と塩分の誘惑との闘いです。
たまに 闘いに負けて卵かけご飯をかきこんで、自分のダメさに凹んだり。

ガン特効薬もいいけれど、早く透析にかわる腎臓保持薬ができるよう 祈っています。
返信する
あれば良いのですが (アンフェタミン)
2018-10-04 22:43:10
>女王様さん
こんばんは、コメントありがとうございます。

魔法の薬、あれば医師も患者も楽なのですが、今の所はまだ出なさそうですね。

実際にほとんどの腫瘍では試されていて、良さそうな腫瘍が認可されています。もともと免疫療法はあるタイプの免疫療法は効果を発揮するのに、別のタイプは効かないというガンが多い印象があります。

メラノーマは獲得免疫系がよく効く印象ですが、ミニ移植は確か全滅だったはずです。同じ免疫療法なのにこんなに違うのかと、学生ながら驚き、いよいよ勉強したいと思いました。いい思い出です。

日本という国は「目で見える利益」がすぐ出るところ以外にはお金を回したがらないという印象を持っています。先の先は読まない政治家が多いのだろうと。自分の時代が良ければ先のことはどうでもいいというタイプが多いのだと思っています。

税金の明細・・・。本当は政治家は国民の税金を何かに割り振るのが仕事ですので、それをきちんと示せない人間が政治家になるべきではないのですが。そんな人の方が少なそうですよね。

運動会。娘が「お父さんは来れないのだと思った」と言っておりましたが、見にいくと言ったら喜んでおりました。僕も嬉しい限りです。

なんとか明日頑張って仕事をして、明後日の運動会に備えたいところです。日曜日は日直なので、土曜日いなかった分は日曜日に働きます(笑

僕も医療が良い方向に発展することを祈念しております。

また、コメントいただければと存じます
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