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新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

山陰中央新報の特集:なぜ、地方の医療行政の役割が増しているのか

2012-03-03 19:42:18 | 報道関係の方々への期待

こんばんは

 

ようやく、おなかの調子が少し良くなってきました。朝、昼、夕と消化によさそうな麺類だけで過ごしていますが、ようやく食欲が少し出てきました。

腹痛も落ち着いてきて、圧痛もなくなり、腸音もようやく正常化。

 

こういう時、医者って便利w

自分で診断して、薬も自分で調整できるしw

 

ということで、ようやく復活してきたところです。予想よりも長引きましたね。

 

さて、少しネットを見ていて気になった記事を紹介します。

山陰中央新報が2月27日から「第14部 なぜ、地方の医療行政の役割が増しているのか」という特集記事を組んでいます。

 

と言っても、すでに第14部。ちょこちょこ特集を組んでいるなぁとは思っていましたが、不定期なのでまた見逃しておりました。

第14部 (1)招へい/欠かせぬ魅力づくり

第14部 (2)正念場/「現場任せ」から転換

第14部 (3)意識共有/多角的に問題洗い出し

第14部 (4)広域化/県境越えヘリ相互連携

第14部 (5)切り札/電子カルテ共有で格差解消

第14部 (6)協働/条例掲げ守り育てる機運

 

 県政の最重点課題の医療問題を据えたのは、今回が初めて。同世代の職員と膝を交え、あすの地域医療の姿を考えた人事課主任の持田隆之さん(39)は実感を込めて言う。
「現場の生の声を聞き、深刻な状況が伝わってきた」
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だが、守備範囲は必ずしもベストとは言い切れない。救命効果が高い片道20分の飛行は、距離にして70キロ圏内。大田市以西の一部が掛かる程度だ。

 救急医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な県西部の関係者は浜田医療センターの基地病院化を望む。しかし、「他科の協力で維持している」(加川隆登・救命救急センター長)という現実がある。

 一方、中海圏域に広がる鳥取県西部は70キロ圏内。山森部長が、県事業の縛りから県域しか原則カバーできない事情を承知の上で、〝越境運航〟を求める理由でもある。

 県は、島根県西部を70キロ圏内に含む山口県のドクターヘリと、広島県が13年度に導入予定のドクターヘリとの相互連携を模索。昨秋の中国5県医療政策主管課長会議で基本的合意にこぎ着けた。

 従来の発想になかった広域連携運航。島根県医療政策課の吉川敏彦課長(52)は「限りある医療資源を生かすには、連携が最善」と話す

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特効薬のない医師不足がもたらす地域格差だが、県は手をこまねいているわけではない。

 起死回生策として期待を寄せるのが、県全域の医療機関を結ぶ通信ネットワーク「医療連携ITシステム」の構築。2013年度の運用開始を目指す。

 県内の54病院と約700の診療所を専用回線で結び、電子カルテに記録された患者の診療情報を共有する仕組みだ。

 情報通信分野の技術を活用し、各医療圏が持つ医療資源を最大限に生かしながら、より質の高い医療サービスを提供する狙いがある。

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 「医療は、『受ける側』と『提供する側』が、一緒につくり上げるもの」。斉藤医師の持論だ。

 勤務医の引き揚げ、医師・看護師不足、診療機能の縮小や病棟閉鎖、自治体病院の経営難…。国の医療政策に翻弄(ほんろう)される島根の地域医療だが、地域挙げて再生に取り組む機運が、自治体で芽生えている。

 浜田市は今春、地域医療を支える行政、医療機関、市民、事業所それぞれの役割を盛り込んだ条例制定を目指す。

 名称は「健康づくりと地域医療を守り育てる条例」。住民一人一人の健康を誰がどう守るか、という素朴な問い掛けが底流にある。

 市は平成の大合併後、本庁内に地域医療対策課を新設。同時に国保診療所長に就いていた斉藤医師を専門監に任命し、医療、保健、福祉の垣根を超えた組織づくりを加速させた。


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医師不足。現場の声を聴いて、さすがにまずいという認識から始まったのだと思いますが、現場の声を聴いてくれる自治体というのはありがたい話だと思います。

 

無い袖は振れない。足りないものをどうにかするために「交通網」「IT」「条例」

 

そしてそういう活動を伝えてくれるマスコミに感謝したいところです。マスコミが伝え方をうまく伝えてくれて、少しでも世の中が良くなっていくことに期待します。

大手新聞社ほどこういうのってないですよね。

 

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福島の常勤医問題:医師個人だけでなく、家族の問題も考えて

2012-03-03 10:27:14 | 医療

さて、続けます

 
 福島県沿岸部の「相双医療圏」(南相馬市など)にある病院の常勤医が、東日本大震災の発生前から昨年8月までに半減し、12月も同数で回復していないことが、県の調査で明らかになった。県全体では震災前から12月までに3.5%減ったが、増加した医療圏もあり、県では、沿岸部などから県内の別の医療機関に移った影響とみている。

【「福島県での東日本大震災後の常勤医師の動向」詳細】


 県では昨年8月、県内138病院を対象に、震災前の3月1日と8月1日の常勤医数の増減を調査。その後、12月1日の状況を調べたところ、3月に120人いた相双医療圏の常勤医は、8月には61人にまで減り、12月も同じ人数だった。同じく沿岸部の「いわき医療圏」(いわき市)では、3月は261人で、8、12月は258人だった。

 それ以外の医療圏の常勤医は、8-12月に軒並み減少。3月は607人だった「県中医療圏」(郡山市など)の常勤医は、8月までに14人減。12月までにはさらに15人減り、578人になっていた。
 一方、「県北医療圏」(福島市など)の常勤医は665人から8月までに16人増加。12月までには2人減ったものの、3-12月で見ると14人増の679人だった。「県南医療圏」(白河市など)、「会津医療圏」(会津若松市など)、「南会津医療圏」(南会津町など)でも、3-8月の増え幅が8-12月の減り幅を超え、それぞれ3人、1人、2人の増加だった=表=。

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これは非常に難しい問題だと思います。

 

医師が全国的に足りていないという問題もありますが、医師個人よりも家族の問題が大きいのではないかと思います。

 

確かに誰しも「放射能がなんだ」とは思っていないかもしれません。けど間違いなくこういう記事が出たときに「いってもよい」と思う人は出ると思います。

しかし、常勤医となったときに医師個人よりも、家族が問題になるのではないかと思います。

 

単身赴任で行くのか、それとも連れて行くのか?

連れて行くとしたら子供や奥さんはどうするのか。子供の影響は確かに不明だし、まだ何か起こる可能性が0でない以上、つれては行きにくいと思うのが人情だろうと思います。

 

仮につれていくとして、子供の教育環境その他は整備されているのか。例えば東京でそれなりの教育を受けていたが、引っ越しに伴い教育環境も変わり(申し訳ないですが、すごく教育環境が整備されているとは言いにくいだろうと思います)、友人も変わってしまう。

 

医師個人が「行きたい」と思っても、家族は「なんであなたが行くのか。私たちはどうなるのか?」という話になってしまうかもしれません。医師も医師の家族も人間ですから、医師だけを見ていても常勤医は増えないと思います。

 

そういう「家庭の事情」も考慮しないと解決しないのではないかと思います。

 

常勤医としても例えばですが、1年に限り・・確実に交代するような、任期制として先が見えるようにして(やっているところもあると思いますが)おくなどの対応、家族の過ごす環境の整備(そうすると福島に集まる気がします)が必要なのではないかと思います。

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ALK変異標的分子標的薬の承認:他の疾患でも有益性が出ることを祈念します

2012-03-03 09:54:08 | 医療

おはようございます。

 

今日はずいぶん暖かいですね。ランニング日和だなぁ…と思っています。もう少しおなかの調子が良くなると・・・(汗

 

いろいろ落ち着いたら、今日・明日で昨年行った発表に関係するData整理を行って、大学などに送ろうかと思っています。

 

と、言っている最中にまたおなかが痛くなってきた(汗

 

さて、今日の最初の記事はこちら。

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は29日、ファイザーの、非小細胞肺がんの治療に用いる分子標的薬ザーコリカプセルと、中外製薬の、遺伝子組み換えヒトデオキシリボ核酸(DNA)分解酵素製剤プルモザイム吸入液について承認の可否を審議し、承認を了承した。ザーコリは非小細胞肺がん患者の2-13%で確認されている未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子の変異をターゲットとした分子標的薬

 ファイザーによると、非小細胞肺がんでは治療標的となる遺伝子異常が複数確認されている。現在では、それらの遺伝子異常のうち、「EGFR遺伝子」の変異を標的とした治療薬として、アストラゼネカのイレッサ錠や中外製薬のタルセバ錠がある。
 同省はザーコリについて、「高い奏功率が認められている一方、間質性肺炎や肝機能障害、QT延長、血液障害などの注意すべき副作用が認められており、十分安全対策を講じていく必要がある」としている。

 また、プルモザイムの適応は「嚢胞性線維症における肺機能の改善」。中外によると、「嚢胞性線維症」は体内の分泌腺で異常な分泌物が産生されることで、体内の組織が損傷を受ける遺伝性の疾患。厚生労働省の調査では2009年単年中の推定患者数は15人だったという。

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ALKの変位をターゲットにした「ザーコリ」の有効性はいろいろ聞いております。このように有効性の高い薬剤が一つ見つかると・・・他の腫瘍などでもその薬が有効であることが判明することがあります

http://www.clinicaltrials.jp/user/cteDetail.jsp?clinicalTrialId=5007&language=ja(治験中)

例えば先日、慢性骨髄性白血病に対して使用する薬剤「グリベック」に対してFIP1L1-PDGFRα 陽性の好酸球増多症候群(HES)/慢性好酸球性白血病(CEL)への適応拡大が認可されました。

グリベックは他にもGISTなどにも適応があります

 

この薬剤が多くの人に有益な結果をもたらし、その有益な結果がさらに広がることを祈念しております。

 

また、2月29日はRare disease dayだったそうです。その時期に嚢胞性線維症(アメリカでは多いのでしょうけどね)のように希少な疾患で苦しんでいる患者さんに有益な薬が認可されたことも素晴らしいことだなぁと思います。

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