―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月17日の稿に
12月17日、霜、晴、行程6里、堕地獄、酔菩薩。
朝、上山して和尚さんに挨拶する-昨夜、挨拶にあがつたけれど、お留守だつた-、和尚さんはまつたく老師だ、慈師だ、恩師だ。
茅野村へ行つて見てまはる、和尚さんが教へて下さつた庵にはもう人がはいつてゐた、そこからまた高橋へゆく、適当な家はなかつた、またひきかへして寥平さんを訪ねる、後刻を約して、さらに稀也さんを訪ねる、妙な風体を奥さんや坊ちやんやお嬢さんに笑はれながら、御馳走になる、いい気持ちになつて-お布施一封までいただいて-、寥平さんを訪ねる、二人が逢へば、いつもの形式で、ブルジヨア気分になりきつて、酒、酒、女、女、悪魔が踊り菩薩が歌ふ、‥寝た時は仏だつたが、起きた時は鬼だつた、ぢつとしてはゐられないので池上附近を歩いて見る、気に入つた場所だつた、空想の草庵を結んだ。‥
今日も一句も出来なかつた、かういふあはただしい日に一句でも生まれたら嘘だ、ちつとも早くおちつかなければならない。
自分の部屋が欲しい、自分の寝床だけはもたずにはゐられない、-これは私の本音だ。
※表題句は、12/15付記載から
―四方のたより― 地震-なゐ・ぢなり-
「出遊-あそびいづらむ-上弦月彷徨篇-じやうげんのつきさすらひへん-」
Scene.3「地震-なゐ・ぢなり-」は、Guestの山田いづみではじまり、Junko、Ayaが加わる展開、演奏はViolaの大竹徹氏とPercussionの田中康之氏、Time-8’00”
出遊-上弦月彷徨篇/Scene.3-地震-なゐ・ぢなり-
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