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-世間虚仮- 普及率0.7%の住基カード
平成15年8月25日、この日が何の日だったかといえば、総務省の音頭で住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)が作られ、われわれ国民全員に11桁の番号(住民票コード)が割り振られた日であり、われわれの個人情報、すなわち姓名、住所、生年月日、性別、そしてこれらの変更履歴の5項目が、総務省の外郭団体である「地方自治情報センター」において集中一元管理されるようになった日である。いわゆる国民総背番号制が導入されたわけだ。
生年月日も性別も不変だから、変更履歴に記載されることもない。男から女へ、またその逆も、最近はよくあるが、たとえ見かけ上の性が変わっても、今のところ戸籍上の性は変更できないから、変更履歴の対象外だ。
だが、姓名と住所は、人にもよるがいくらも変わりうる。その変更履歴が11桁の番号と一対一に対応しているのだから、これによって個人情報は、国がその気になりさえすれば、ということはさらに法改正をすればということだが、いくらでも管理を強められる。たとえば納税者番号とドッキングさせる。あるいは年金や健康保険、その他etc.。
ところで、この制度導入で、全国市町村では住民サービスとして「住基カード」を発行するようになったのを覚えておられよう。但し、大抵の場合有償で、大阪市なら500円となっているのだが。このカードで、全国どこからでも住民票が取れる、さらには本人確認の身分証明書になるということで、国は「住基カード」の普及に躍起になってきた筈だし、各市町村に叱咤号令?もしてきたろうが、それにもかかわらず3年を経た現状は、普及率0.7%という信じられないような低率だと聞く。
このあたりが、お上のやることの、どうにも腑に落ちないところである。
無理矢理、わざわざ住民基本台帳法の改正をして新制度の導入をしているのだから、無理矢理と言ってもいいだろう、国民一人ひとりに背番号を割り振り、一元管理を始めたには、さまざまな窓口事務の合理化・省力化を図るのも本来の目的であろう。住基カードが国民一人ひとりに普及徹底すれば、相当量の公的窓口事務が軽減できようし、住民サイドにも受益となる筈なのに、これでは国民への管理を強化しただけに等しいとしか言いようがないではないか。
<歌詠みの世界-「清唱千首」塚本邦雄選より>
<恋-45>
人言を繁み言痛みおのが世にいまだ渡らぬ朝川渡る 但馬皇女
万葉集、巻二、相聞。
生年不詳-和銅元(708)年、天武帝の皇女で、母は氷上娘、高市皇子の妃。万葉集に4首。
邦雄曰く、異母兄高市皇子の妃となりながら、同じく異母兄の穂積皇子を愛し、相聞を遺す。詞書「密かに穂積皇子に逢ひて、事すでに顕はれて作りましし歌」はこの間の事情を言う。生れて初めての体験、おそらく素足で水冷やかな川を渡ることなど、身の竦むような後ろめたさであったろう。実に人の噂は業火の如し、と。
あやなくてまだき無き名の龍田川渡らでやまむものならなくに 御春有助
古今集、恋三、題知らず。
生没年未詳、藤原敏行の家人で、六位左衛門権少尉、河内の国の人と伝える。古今集に2首。
邦雄曰く、立ち甲斐もない浮名が立ってしまった。実を伴わぬ片思いでも、秘めに秘めてろくにコトバを交わさぬ仲でも、苦しさは同じ。たとえ名が立とうと、川を越す思いで、一夜の逢いを遂げずにいられようか。名の立つ龍田川の懸詞は、当時も以後も極り文句になってしまった、と。
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