akubiののほほん日記

のほほんとした日常の一コマを綴っています。

教授の診察日

2007年07月08日 15時32分07秒 | 診断されるまで
5月31日
いよいよ、教授の診察日がやってきた。

ガン細胞はあの検査の時だけだったかも知れない・・・という思いを、なんの根拠もなく考えたこともある。
でも、一度はガン細胞が出たのだ。 
はっきりしたことがわからなくても、手術しよう!と、心に決めていた。
ダンナも、すっきり取ってしまえばいい・・・と言うし。
(後日、私が入院する間、子育ての大変さを経験するなんて、まったく考えなかったに違いない。)
もし、入院することになった場合、私の母に世話になる必要があるので、今の現状を正直に伝える。
 10年以上前、父が喉頭ガンになったとき、病期でいうとⅡ期だと言われた。
 母は、すっきり手術を希望したのだが、病院側は、「この時期では何処に行っても、手術はしない、放射線と抗ガン剤を組み合わせた治療をするはずです。」と、
受け入れてもらえなかった。 いったんはガン細胞が消えたようだが、1年後その後の治療がうまくいかなかったのか、不幸な結果になってしまった。
あのとき、手術しておけば・・・という後悔の念を持っているに違いない。
だから、私がややこしい病気になって申し訳ない、せめてもの親孝行は、手術することだろう、という思いもあった。
 案の定、母からは、「手術したらいいやん。」と、あっさり言われた。

9時半の予約だったので、午前中だけダンナに仕事を休んでもらい、一緒に病院へ行く。
後にも先にも、病院へ車で行ったのは、この時だけ。

前の人が長引いているようだ。
10時前、名前を呼ばれて、診察室へはいる。
この人が教授か~ 横にいるのは、お付き?
と眺める私。
教授は、画像を眺めている。
つられてみるが、素人目には、どこにガン細胞があるのか、さっぱりわからない。
やはり、本当にガン細胞あるのかしらねぇ?

教授が振り向き、
「早く見つかって、よかったねぇ。 筋腫もあるし、手術でとってしまいましょう。 ご主人もそれでいいですか?」と言う。
いきなりそう来るか?
別にそのつもりだから良いけど・・・
ダンナは、「はい」と即答している。

akubi: 取るというと?
prof : 子宮と卵巣
akubi: 卵管もですか?
prof : そう両付属器官もね。
akubi: リンパ節もですか?
prof :  今の段階では、とる必要はないですよ。
    卵巣は、ホルモンの関係でね・・・
    もう、子ども産まないでしょ?

おいおい、最後の一言は、ドクハラじゃないの?
私だから、さらっと流してしまうけど・・・

prof : 細胞診、画像からみると、初期ガンですが、こればかりは開けてみないとわかりません。 
akubi: そうですね。 手術の後、病理に出して確定診断すると思っていますが・・・
prof : いや、手術の途中・・・子宮を摘出した後、怪しいところを何カ所か取って、緊急で病理の先生に診てもらいます。 約20~30分、結果を待っています。
    また卵管を通して腹腔内に飛び散っているかも知れないので、生理的食塩水をまいて吸い取り、それも検査に出します。
もしガン細胞が見つかったら、抗ガン剤をまいて、閉じます。

 そうか・・・
 ここは、大学病院だった。
 病理の講座だってあるから、緊急で調べるんだよね。
 Dr.コトーのコミックでも、そんなシーンがあったわね。

その後内診・・・
画像の説明を聞く余裕すらないが、まあいいか。
次に来たとき、他の先生に質問しよう。

prof : あっ! 筋腫あるの?

    さっき、筋腫もあるから手術しようっていったやん。覚えていないのかな。 でも・・・内診のみで、筋腫を指摘されたのは、初めてである。
この時だけは、さすが、教授!と思ったのだ。

その後、ドイツ語? 英語らしき物を診察するたびに言っている。
教授となると、カルテを自分で書かないのね・・・、と妙なことに納得する。

 内診を終えた後、再び診察室へ。

prof : まだ生理ある?
akubi: いえ、それがわからないから、最初開業医の先生の所を受診したんですけど・・・
prof : そうだったね。 
    出来るだけ早く手術して、すっきりしようね。

 もっと重い物かと思っていたが、
 子宮体ガンⅠa期と告げられ、
 と~ても軽く、私の治療方針が決まった。

 私がイメージしていたのとは、違う・・・・
 







 
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画像診断  MRI検査編

2007年07月08日 15時07分49秒 | 診断されるまで
5月25日
 MRI検査の日である。
 こちらは、CTと違って、3時間前からの絶食は不要だった。
 でも骨盤臓器の検査のため、検査予定の1時間前に排尿をすませ、尿をためておく必要は同じだった。

 そして、CTと違って、磁気共鳴現象を用いて画像を撮るので、金属類は駄目。
 万が一洋服の記事に含まれていても危険なので、上下とも検査着に着替えるよう手渡された。 当然ロッカーの鍵も受付に預ける。
 
 質問書にも、
  ・心臓ペースメーカーや埋め込み型除細動器は付いているか?
  ・体内に金属等はあるか?
   (動脈瘤クリップ、眼内異物、人工心臓弁、ステント、人工関節など)
  ・カツラ、入れ歯、刺青、アイライン、補聴器、コンタクトレンズの使用?
  ・貧血の治療中、もしくは鉄剤の服用?
  ・閉所恐怖症?
 など、CT検査とは違う物があった。

MRI検査室へ入り、スリッパを履き替える。
帯電しないため?
周りを見ていると、ストレッチャーも金属製ではなかった。
大事なんだと、初めて気が付く。

 検査は、台の上に横になり、円い筒のような装置に入る・・・と説明を受ける。
まるで、電子レンジで調理されるようで、魚になった気分である。
(なんで、魚と思ったのかは、不明。)
 ただ、私の難点は、聴覚が過敏であるため、大きな音が苦手。
 とりあえずヘッドホンを耳に当てられる。

 そして、台が筒の中へ・・・
 思ったより大きな音じゃないやん。 それに低音だし・・・
 しかし、工事現場のような音である。
 のんきにリズムを取っていたら、高音に変わってしまった。
 この時は、少々参った。

 静かになったなぁ~と思ったら、造影剤注入のため、筒の外へ・・・
 看護師さんらしき人が2名、やってきた。
 ガドリニウム製剤というものを使用。
 そして、再び筒の中へ・・・

 あれ? ヘッドホンの中からクラシック音楽が聞こえる。
 さっきまで、流れていなかったのに・・・
 でもガンガン言う音で、中途半端に聞こえるので、逆に耳障りだ。

 一度経験しているので、次はこうくるだろう~と、余裕がある。
 余裕のあるまま、検査が終了した。
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画像検査 CT検査編

2007年07月08日 14時51分58秒 | 診断されるまで
5月17日
 まず、CTの検査の日だ。
  ・3時間前からの絶食
  ・検査予定の1時間前に、排尿し、その後排尿しないことが必要
   (骨盤臓器の検査では、膀胱内に尿をためることにより、明瞭な画像が得られるため)

と、注意事項として言われていた。

 また、造影検査をするので、質問書で以下のようなことを聞かれた。
  ・造影剤を使った検査の経験の有無
  ・アレルギー体質?
  ・内服薬や注射で具合が悪くなったことがある?
  ・両親や兄弟にアレルギー疾患はいるか?
  ・腎臓の働きが悪いと言われたことがある?
  ・心臓病、腎臓病、肝臓病、甲状腺疾患にかかったことがあるか?
  ・妊娠中、授乳中であるか?

 また先生より、副作用がある検査なので、同意書にサインをして、受付をすませる。

 上半身だけ、検査着に着替え、検査室エリアに移動して、造影剤をいれるためのライン確保を行った。

 CTは、以前手足にしびれを感じたときに、脳神経クリニックで頭部CTをとったことがあるので、気持ちに余裕があった。
 CT台に横になって撮影位置を決める。
 動かないで下さい・・・と言われ、緊張する。
 そして、ナースコールを渡される。
 造影剤注入後などに気分が悪くなったら、押せば通じるらしい。
 最初は、造影剤なしで撮影。
 息を吸って、吐いて、吸って止めて・・・と、言われるままに行動する。
 次に造影剤を入れて、撮影。
 ヨード性造影剤を使用する。
 すぐに、かぁ~と体が暑くなってきたが、これは一般的な反応らしい。
 それ以外に、私は喉の奥の方に、ヨードの味を感じた。
 これは、後日腎盂・尿路検査の時にも感じたので、そう告げると、たまにそう言う人もいるらしい。

 じっとしていないと駄目なしんどさはあったが、20分程度で終了した。
 
 造影検査をした後は、造影剤をすみやかに体外に排泄するために、水分を多め(500ミリくらい)にとる必要がある。
 水分と言っても、アルコールは控えたほうがいい。
 刺激物を控え、消化のよい食事をするように注意書きをもらったのだが、そんなことをすっかり忘れてしまった私は、エビチリを夕食のメニューに選んで、おいしく食した後、あっ!しまったと、気が付いたのである。

 


 


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医大病院へ行く

2007年07月08日 10時11分42秒 | 診断されるまで
5月16日 医大病院へ行く。
この日から、息子は修学旅行。
学校での集合時間が、6時45分なので、遅くても7時にはフリーになる。
だから、8時半の受付には余裕で行けるだろう。
ただ、昼からエアコン掃除の予約を入れてしまっているのが、気がかり。

8時35分病院へ到着。
HPでチェックしておいたはずなのだが、玄関は何処?
近くにあった入り口から入ったのだが、よく見ると、そこは夜間出入り口だった。
まあ廊下でつながっているだろう・・・と、お気楽に考え、道なりに進むと、
会計の窓口には、すでに人の列が・・・
こんな調子で、午前中に終わるのだろうか?と、ちょっぴり不安になる。

初診受付票を書き、順番を待つ。
約10分で名前を呼ばれた。
以外とスムーズじゃない!
これなら楽勝かも!

しかし、現実は甘かった。
地図をもらって、産婦人科の受付に書類を提出。
ここからが長い・・・
いくら待っても、名前が呼ばれない。
持参した本が1冊読み終わってしまった。
(まあ、簡単に読める本なのだが)

この日は、初診の人が多かったのか、窓口へ「どれくらいかかるでしょう?」と、聞く人もいた。
やはり、大学病院だ。
仕方がない。
いざとなったら、掃除の予約のキャンセルの連絡をしなくっちゃいけない。

いい加減、待ちくたびれた10時30分頃、やっと名前を呼ばれる。
ただし、予診らしい・・・
私の担当は、研修医なんだとか。
ま、患者からの聞き取りは、研修医任せって聞いているモンね。
別に驚きもせず、質問に答えていく。

これですぐに診察かな?と思ったら、次に呼ばれるまで20分あまり。
結局診察室にたどり着いたのは、11時を回っていた。
1人で、診察室に入ろうとすると、看護師さんが、「今日は1人で来られたんですか?」と、驚いたように言う。
 だって、診察を受けるだけじゃないの?
 1人で来るのが当たり前だと思っていた私は、またまたそんなに重大な問題なの?と、驚いてしまった。

Dr : 先生からどう聞いています?
  
 病気が病気だけに、本人が知っているかどうかの確認なんだろうか?

akubi: ガン細胞が見つかったから、設備の整った病院で検査を受けて下さい、と言われ、今日来ました。
Dr : そうですか。 ともかく診せてもらえますか?

 内診を受けるため、一旦部屋を出て、また10分くらい待つ。
 内診室は2つ並んでいて、隣にも患者さんがいた。
 声は筒抜け。
 聞こえてきたのは、今日来ている人は妊婦さんのようだ。
 私は、今更子どもを持つことを望んでいないが、もしまだ希望しているとしたら・・・ ガンのために子宮や卵巣の摘出をしないといけないとしたら・・・
 隣から聞こえてくる内容は、かなり酷なモノだろう。

Dr : 超音波診断しますね。
    これが筋腫ですね。 内膜・・・やはりお年の割に厚いですね。
    もう一度、細胞を取らせてもらいますね。

  やっぱりね。
  ここを紹介してくれた先生は、「標本を持って行くから、また検査することはないと思う」とおっしゃっていたが、私は、大学病院という所は、後々の資料として、自分の所での標本を欲しがるモノだと思っていたので、絶対にまた細胞を取るモノだと、確信していたのだ。
  看護師さんは、「あの痛み、トラウマになっているかも知れないけど、緊張しないでね。」と、おっしゃる。
  お気遣い無く・・・ 私は鈍いのか、そんなに痛いとも思っていませんよ。念のためナプキンを持ってきておいてよかった~と、思っただけだ。

 内診がすんで、また廊下で待つ。
 本当に、待っている時間の方が長い。
 
 今度は、5分程度で名前を呼ばれた。

Dr : 画像を見た限りでは、初期も初期Ⅰaだと思います。
    体ガンって、本当は内膜ガンって言うんですよ。
    (と、体ガンについて、図を書いて説明してくれる。)
    筋層に浸潤していないか、画像で調べる必要もありますから、
    CT・MRの検査を受けてもらいます。

    と言って、パソコンで空き状況を見て、予約を取っていく。
    CTはラッキーなことに翌日の午後に空きがあった。
    「午前中の方がいいよね?」と言ってくれ、MRは5月25日となった。
    それらの検査で造影剤を使うため、副作用の説明を前もってしておかないといけないらしい。 大変だねぇ~ 先生も・・・と、同情した。

Dr : あと、帰りに採血して帰って下さい。
    画像診断等をみて、全員で今後の方針を話し合い、診断結果は教授から伝えることになっているので・・・
    ただ教授の診察日は、木曜日のみなので、5月31日でいいですか?
    この時は、できたらご主人とかのご家族と一緒に来てもらえますか?
akubi: はい。わかりました。 ありがとうございました。 今後よろしくお願いします。
Nurse: 予約票とかお渡しするモノがありますので、外でお待ち下さい。

   大学病院って、患部は診ても患者を診ない、もっと上から物を言う医者・・・と、勝手に思いこんでいたので、ソフトに接してくれる先生に、意外性を感じたのだった。

 検査や次回の外来の予約票をもらい、採血をすませ、会計を終え、時計を見たら、12時30分だった。
 半日で済んで、ラッキーだと言うことを実感するのは、後日である。

 ともかく今帰れば、なんとか掃除の予約に間に合うだろう。
 ガンとはっきり言われたショックより、そのことの方が気になる私だった。


   



    
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私って、ガン患者なの?

2007年07月07日 21時45分37秒 | 診断されるまで
平成19年5月14日
私にとって、忘れられない日となった。

外出の予定がなかったので、家でパソコンに向かっていた。
お昼を過ぎた頃、そろそろお昼ご飯にしようかなと思った瞬間、電話が鳴った。

お昼時分に電話してくるなんて・・・非常識な人だな。
一体誰なんだろう?
表示されている番号にも、心当たりがない。
でも電話に出ないと、自動的に私の携帯に転送されてしまうので、仕方なしに受話器を取った。

もしもし・・・と、不機嫌な声で言う。
「akubiさんのお宅でしょうか?」
ちょっと! 名を名乗れ!と瞬間的に思い、
akubi: そうですけど、どちら様ですか?
tel : akubiさん、ご本人ですか?
akubi: そうですよ。 
tel : 失礼いたしました。 こちらは○○レディスクリニックですが、早急に受診していただきたいんですが、今日の夕方は無理でしょうか?

えっ! 心臓のドキドキする音が、はっきり聞こえる。

akubi: 今日はちょっと無理かも・・・。明日の朝なら行けますが。
tel : それでもいいので、必ず来てください。
akubi: それって・・・検査の結果が悪かったということですか?
tel : そう言ったことは、先生とお話ししてください。
akubi: わかりました・・・

電話を切ったモノの、しばらく放心状態。
わざわざ連絡をしてくるって事は、この前の細胞診が良くないに決まっている。
私って、子宮ガンなんだろうか?
と思いつつも、食事をしなきゃ!と思って、インスタントラーメンを作るが、
一口も食べられない。
食い意地が張っている私にとって、信じられないことだ。

しかし、何をしていても落ち着かない。
やはり落ち着くには、今日受診をするしかない。
ダンナに「今日夕方から出かけたいので、早く帰ってこられないか?」と連絡を入れる。

と言うのも、わがやの家族構成は、ダンナ・私・小6の息子・7歳になるわんこ。
つまり、ダンナに帰ってきてもらわないと、夕方から出かけられないのである。

出かける理由をダンナに説明するが、なかなか伝わらない。
そもそもガン検診を受けたことすら、話していないんだもん。
それをいきなり「子宮ガン検診で引っかかったみたい」と言われたのだ。
藪から棒の話でとまどったに違いない。
が、とりあえず早めに帰ることを約束してくれた。

ぼぉ~としていても仕方がないので、ネットで「子宮体ガン」について検索する。
いくつか、HPやブログにヒットしたので、読みあさる。
ふ~ん。こうして治って元気に過ごしている人もいるんだ。

すこし気持ちに余裕が出てきた。

私としたら、1人で受診するつもりだったが、ダンナと息子が一緒に行くという。
なんで?
でも結果的には、ダンナはクリニックの中には、一歩も足を踏み入れなかったのであるが・・・

名前を呼ばれ、診察室へ・・・
なぜか息子も一緒に付いてくる。
大事なお話なんだから、静かにしていてね。
待ち受ける先生・・・今日は院長先生の診察日。
私は初対面なのだが、クリニックのHPに写真が掲載されているので、ふ~んこの人が・・・という妙な余裕があるのが不思議。

Dr : 電話があって、ビックリしたでしょう。
akubi: はい。
Dr : 薬を飲み終わっているはずなのに、全然受診されないんで・・・・。 連休があったからかなと思っていたんだけどね。
akubi: えっ! そうなんですか? 薬が飲み終わったら、生理が来るから、これが終わってからでいいと言われたので、次の金曜日に来ようと思っていたんですけど?
Dr : そう・・・ で、生理は終わった?
akubi: はい。 薬が飲み終わって、6日に始まって、1週間で終わりました。でも終わったと思ったら、日曜日すこしだけ出血しました。

 そうなのだ。 薬を飲んでいる間は、特に吐き気はなかったのだが、飲み終わった翌日の5日、猛烈な吐き気と腹痛が襲ってきた。 ホルモンバランスが狂ったから? ひたすら我慢するしかなかった。

Dr : 実は、検診で良くない細胞が見つかったんですよ。 紹介状を書くから、設備の整った病院で診て貰ってください。
akubi: はぁ・・・
Dr : ここから一番近いのは、医大なんだけど、そこでいい?
akubi: 医大ですか・・・

 実は、私にとって、医大病院って、あまり良い印象ではない。
 今はどうか知らないが、昔は国家試験の合格率が低かったはずだ。
 それにH医大病院は何でも受け入れるが、入ったら最後と、言われていたのだ。
 だから、ためらったのだけど、こんな理由を先生に言えるはずがない。

akubi: 他にないですか?
Dr : あるけど・・・ がんセンターは、市にあるので、遠いよ。

 確かに・・・ 市へは、電車を使っても結構かかる。
 検査とかを受けるのに、朝一番に行くなんて不可能だ。
 そうなると、やはり医大病院しかないのか・・・

akubi: 医大病院以外にも、行ってもいいんですね。
Dr : そりゃそうだけど・・・

 そう言いながら、先生はパソコンへ向かい、紹介状を書き始める。
 えっ! 紹介状って、患者の目に触れないように書くんじゃないの?

Dr : (打ち込んだのを、声に出して読み)こんな感じで良いかな?
akubi: (意外な展開に)はぁ・・・(としか言えないだろ)

 その後、プリントアウトするのだが、インク切れらしい。
バタバタして交換して、打ち出し完了。
横にいた看護師さん? に手渡し、印鑑を押し、封筒に入れるように言う先生。

その看護師さんらしき人、「あて名はなんと書くんですか? 県立・・・・?」
はぁ? 何を言っているんだ? この人?
医科大病院ですよ」と、口を挟む。
聞いたこと無いんだろうか?

Dr : まあ、今見た感じなら、十分治療可能だと思うから、心配しなくても良いよ。 検査結果とプレパラートも同封しておくね。

そう言って、私の目の前で、封をし、手渡してくれた。

あれ? こんなのアリ?
紹介状は封をして渡されるので、何が書いてあるのか気になって仕方がない・・・っていうイメージなんだけどねぇ。

しかし、ガンってことを患者本人と話のするの?って、不思議な気持ちでいっぱいだった。
私にとって、ガン告知とは、患者本人には、腫瘍とごまかし、家族にだけ本当のことを言う・・・という認識だった。
現に、十数年前、私の父が喉頭ガンになったとき、本人には、「このまま何もしないでいたらガン化する可能性があるので、治療します。」と告げられていたのだ。

でも・・・
診察室に入ってから、自分で言うのも変だが、平常心でいられた。
まあ、息子が一緒にいて、あれこれ話しかけるので、そっちに気が取られていたこともあるが、心の準備が出来ていたからだろうか?
ガンだと言われても、ショックは小さかった。

正直言うと、今から7年近く前に受けたショックの方が遙かに大きい。

私の息子には、障がいがある。
4歳の頃、言葉の発達が遅れていたので、ある訓練期間に相談に行ったとき、
なんの心の準備もしていない私に、「あなたのお子さんには、障がいがあります。この子の将来は楽観できません。」と告げてきたのだ。
一瞬何のことだか、わからなかった。
この子に障がい? 障がいって・・・一生治らないんだよねぇ。

立ち直るまで、かなりの時間を要した。

その時のショックに比べたら、今回は軽い軽い・・・
いや、自覚症状がないので、まったく事態の深刻さを理解できなかっただけかも知れない。









   








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