27.05. 31 106 NO.812
10(テン)6、つまり天六です。 むかし天六に「昼間働いて夜間に勉強する」学生を受け入れる学校
がありました。 幸い、この学校の入試に合格しましたが、わたしには納めるべき入学金の4万円があ
りません。 それこそ飲まず食わずで4年間かかって、体重は18歳で49kgまで痩せるという悲惨な
状態で必死に貯めたお金が2万8千円。 足りない1万6千円を仕事先のお客さん(その人も天六生で
した)が貸してあげましょうと言ってくれましたが、他人さまにそう言っていただくのは光栄だけれど、身
内で解決しようと親戚のHおばさんがその1万6千円をポンと出してくれたので、私は天六に通うことが
出来たのです。 その後、卒業してしばらくたってからですが、そのHおばさんは脳梗塞で倒れ寝たきり
の生活になりました。
100倍の恩返しをしようとわずかな給料の中からの送金と、トロが食べたいと言えばトロ・ウナギと言え
ばウナギ・メロンと言えばメロンを届けました。 病院食以外は「違反!」と叱られながら、私もHおばさん
も「ま~え~じゃん」と違反をつづけたものでした。
いまやそのHおばさんも他界し、天六学舎も廃校となっていささか寂しい気がします。
義理とか人情なんてあまり好きな言葉ではありませんが、そういうものが全くなくなってしまう世の中って
なんなんだろうな?
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