明野西JFC監督日記

少年サッカーチーム「明野西JFC」の監督所感、活動予定/結果
(明野西JFCを愛し、応援する人々へ)

書評「オシム 勝つ日本」

2010年06月10日 20時57分20秒 | Weblog
 書名 「オシム 勝つ日本」
 著者 田村 修一
 発行所 ㈱文藝春秋
 定価 1333円+税 

 著者の田村さんについては、正直あまり知りませんでしたが、「ナンバー」等の雑誌に記事を書かれていた方のようです。1958年生まれ、私と同じ年齢です。
 オシム氏とは、前から飛び飛びで接点があったようですが、その前にトルシエ(元)監督関連などの記事や本の執筆に忙しくされ、オシムのことは頭の中から忘れさられていたようです。
 しかし、オシムが倒れて回復後、2度の集中インタビューを経て、雑誌「ナンバー」の不定期企画「オシム・レッスン」という連載につながり、オシムとの親交も深まったようです。
 そして、彼が聞きたい以上のことが、オシムから話され、彼の哲学・人生観を知ることになります。
 オシム本は多数ありますが、彼の肉声そのものを伝える本は初めてです。
 『もし、オシムが病に倒れることがなかったら、日本代表はどんなチームになり、南アフリカWカップに向けて進化していったのだろうかと思わずにいられない』という強い思いを持つことになります。
 オシムは、「日本化」というテーマに真剣に向き合い、日本人の長所である、持久力、戦術的ディシプリンを全面に出し、よりコレクティブ(組織的)なサッカーを目指していました。
 エトーやC・ロナウドのいない日本チームを対極であるコレクティブ(組織的)なサッカーで解を得ようとしたのです。
 今の岡田監督の迷走ぶりを見ると(日本サッカー協会の最大の選択間違いだと思います)、私もオシムの壮大な実験の結果が見たかったと思わずにはいられない精神状況です。
 日本サッカーは、オシム以降、明らかに後退することになったと思いますが、オシムの考え方を底辺を支える私も頭に入れて指導したいと思っています。
 読み応えあり、W杯直前に是非一読を!


 第1章 日本代表
 “石炭が欲しかったら炭鉱に入れ”
   目指したものとやり残したもの
   岡田ジャパン
   南アフリカワールドカップに向けて

 第2章 日本サッカーに告ぐ
 “進むべき道を決めるのは、あなたである”
   Jリーグの現状と課題
   日本の問題点
   日本の問題点~ピッチ外
   日本独自のサッカーの追及
   求められるリーダー像
   戦術スタイル
   戦術システム

 第3章 オシムの仕事
 “監督は完璧主義者であるべきだ”
   ゼレスニチャール
   トータルフットボール
   オシム流トレーニング
   シュトルム・グラーツ
   ジェフ市原

 第4章 世界のサッカー
 “連帯感は勝利への保証になる”
   トレンドと現状~大国の支配と現実
   バイエルン・ミューヘン
   バルセロナ
   レアル・マドリード
   アーセン・ベンゲルとアーセナル

 第5章 オシムの哲学 ~サッカーの今日と明日
 “金がサッカーを殺す”
   ビッグビジネス化の問題点
   日本のサッカーを考える
   スターマニア
   明日のサッカーを予測する

 第6章 監督論と監督の仕事
 “勇気を持つこと。そしてリスクを冒すこと”
   チームの構築
   選手との関係
   試合の準備
   ノウハウの構築
   ピクシーとJの監督たち