皆さまは、杉並区のJR荻窪駅の南側に杉並区立中央図書館をご存知でしょうか。
(中央図書館→https://www.library.city.suginami.tokyo.jp/)
建物の設計は黒川紀章さん。ガラスを多用し西に開かれた建物に光を取り込んでいます。
荻窪の閑静な住宅街にありながらも圧迫感を感じない建て方には、街並みを守る姿勢を感じます。
築30年以上を経過し、杉並区では区立施設再編計画の中で、平成29年度に設計、翌年に改修工事の予定としています。
(区立施設再編整備計画→http://www.city.suginami.tokyo.jp/kusei/seisaku/gyousei/bumon1/1013498.html)
昨年の夏、「ちょっと夫の図書館の話を聞きに来ませんか?」との奥様からの呼びかけで、、自称ライブリアンと称する区民の方の図書館にかける思いを聞く機会に恵まれました。
杉並区で図書館協議会の前会長を務められ、杉並区のこれからの図書のあり方をまとめた「図書館サービス基本方針」の取りまとめにご尽力をいただいた方です。最初は気軽に伺わせていただいたのですが、この方のお話を伺う内に、すっかり図書館改革の必要性、将来性に目覚めて行きました。
(図書館サービス基本方針→https://www.library.city.suginami.tokyo.jp/outline/index.html)
その方のご経歴を簡単にご紹介させていただきますと、
「1960年代の初めに都内私立大学で図書館学を学び、卒業後同大学図書館に勤務。その後ハワイ大学に留学、大学院図書館学研究科を修了した。図書館コンピューター化の初源的実験的研究の洗礼を受けて、未来の図書館のカルチャーショックに悩みながら帰国。34年間プロフェッショナル・ライブラリアンとして今では当たり前になった図書館システムの方向を探りながら、日々人びとのために書物を集めて、まとめて、しまっておいて、提供することに努めてきた。
1996年同大学環境情報学部教授に移籍。主に図書館やインターネット空間における知識情報環境整備について研究を進め、日本の古典資料(奈良絵本・絵巻)のデジタルアーカイブの実証実験を行ってきた。
ライブラリアンとして常に新しい図書館創成に腐心すると同時に、同大学の図書館3箇所の建設に企画立案から携わる経験を持つ。絵本に夢中になっていて親戚が営んでいる本屋の平積みの本の上で粗相をしたという3才の時から60余年、書物は人類の知の連鎖を織ってきたという信念を持つ。」
というもので、
お話の中で私が最も興味を持ったのが「常に新しい図書館創成に腐心」という部分でした。とにかくお話が尽きない。初めは緊張していましたが、私にとっては「図書館を創る」という未知の世界に大いに魅力を感じるきっかけとなりました。
一方で、長年住宅の設計に携わってきた経験から、中央図書館の建物の活かし方自体に興味を持ち、区内設計士の仲間と視察と議論を重ね、この建物をもう一度新たな図書館へと創りかえることが十分可能であるという結論に達しました。
「杉並区立中央図書館改修を契機に未来志向の図書館づくりを!」との思いにたち、議会では平成27年第3定例会の一般質問で「中央図書館の改修について」というテーマで質疑を行いました。
(一般質問の様子→
http://suginami.gijiroku.com/voices/CGI/voiweb.exe?ACT=200&KENSAKU=1&SORT=0&KTYP=1,2,3&FBMODE1=SYNONYM&FBMODE2=SYNONYM&KGTP=1,2,3&FYY=2015&FMM=9&FDD=11&TYY=2015&TMM=9&TDD=11&TITL=%95%BD%90%AC%82Q%82V%94N%91%E6%82R%89%F1%92%E8%97%E1%89%EF&NAME=%8ER%96%7B%82%A0%82%AF%82%DD&TITL_SUBT=%95%BD%90%AC%82Q%82V%94N%91%E6%82R%89%F1%92%E8%97%E1%89%EF%81%7C09%8C%8E11%93%FA-16%8D%86&KGNO=1119&FINO=1612&HUID=259536&UNID=K_H270911001664)
(区政報告vol.18→http://www.geooctopus.com/ay_pdf/report_2016vol18.pdf)
杉並区の動きを調べていくと、この改修は空調や電気などの老朽化した施設の改修のみの営繕工事を予定していることが分かって来ましたが、せっかくの改修工事を好機と捉え、今後30年にわたって区民が有意義に使って行ける図書館を目指してほしいとの視点に立ちました。
しかしながら、当時は杉並区でその必要性を感じていない状態でした。先ずはどういう図書館を目指すのかといった議論の場を作り、必要な項目を絞っていくといったプロセスへ進めていくのは容易な事ではありません。
第3定例会での一般質問に続き、第4定例会でも議論の場を作ることを要望し、決算特別委員会でも触れ、そして次年度予算に会派要望に重点項目として盛り込み、区庁舎内で数度にわたり要望をして参りました。
私は民主党所属議員を中心とした区民フォーラムみらいという会派に属しています。単独の一個人としての意見に留まらず、会派として要望をする事により、より大きな推進力を持つことが出来ます。今回も当会派の増田裕一幹事長に大いに尽力してていただきました。
そして、この期間中には他自治体の図書館に関する先進事例調査を、また、今年度文教委員会副委員長として委員と共に行政視察にも市民意見を反映した図書館事例を視察してきました。また、図書館に興味を持ちご活動をされている団体や個人、地元の住民の方へのヒアリング、建築士との議論を重ねてきました。
これらの活動をまとめ、区に提案するため「杉並ライブラリーの提案~杉並区立中央図書館改修イメージ~」としてイメージコラージュとしてまとめ、副区長宛に区民の方とともに提出をし、区と区民との直接の意見交換の場を作って参りました。
これらの活動が功を奏し、来年度(平成28年度)の事業計画の中に、
「中央図書館の改修検討」
教育委員会の付属機関である図書館協議会のほか、区民参加による意見交換会を開催するなど、幅広い区民等の意見を聴きながら、改修設計に向けた検討を進めます。
と載ってきました。区民参画に幅を広げたという点では、大変大きな一歩となりました。
個人的には既存の公共建築物の省エネ化に大変興味を持っており、中央図書館改修においても、現行のエネルギー消費量の実測値をとりながら、省エネ改修によってどれ位効果が出たのか予測値と実測値を比べるなどにも取り組み、省エネ改修の成功例を作っていってもらいたいと考えています。
これに関しては中央図書館だけに限らず、区内の公共建築物全般に関わることなので、専門家のヒアリングなどを通して今後とも研究していきたい分野です。
来年度にどういった形で区民意見交換会が実施されていくのかはこれからとなりますが、杉並区民の共有の財産である中央図書館が、建て替えではなく改修という制約がありながらも、気軽に本を読みながらお茶を飲めるカフェスペースや立地を活かした展示スペースの活用、読書の森との連続性、そして生涯学習や市民活動、青少年活動の活発な場となり、「新しい図書館創成」を標榜できる素晴らしい改修となるよう、今後も提言を続けて行く予定です。
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