山本あけみ「緑ゆたかな環境を子どもたちへ」

建築士や生活者として、都市計画・公共施設マネジメント・地球温暖化対策・SDGsなど、独自の視点で日々発信

防災に関し地域防災力や被災者支援、高次脳機能障がいについて質問!

2023-04-19 | 活動日誌

防災に関して、建物の不燃化や耐震化といったハードの他にも地域防災力や震災救援所訓練から見えてきた、短期長期にわたる震災救援所としての学校建築などを質問しました。

この他にも事前復興という、被災後の復興事業の困難さを考え、事前に復興まちづくりを実現し、災害に強いまちにしておく様提言を続けています。

動画と議事録を掲載いたしますので、是非ご覧になってください。

 

平成29年第3回定例会一般質問(会議日:平成29年9月12日)

動画:http://suginami.gijiroku.com/voices/g07_Video_View.asp?SrchID=4745

    テーマ

災害に強いまちについて」

「公共建築物の設計について」

「高次脳機能障害について」

◆12番(山本あけみ議員) 

まず冒頭に、このたびの故小泉やすお議員御逝去に際しまして、深く哀悼の意をあらわすとともに、これまでにいただいた御厚意に深く深く感謝を申し上げます。


 私は、区民フォーラムみらいの一員といたしまして、通告に基づき質問をいたします。テーマは、災害に強いまちについて、公共建築物の設計について、高次脳機能障害についてです。


 最初に、災害に強いまちについて質問をいたします。
 今般、当区では、区内建築物の耐震化、不燃化などの状況や、区が保有する地盤データ、さらに東京消防庁のデータなどを活用して、50メートルメッシュごとに震度予測や被害想定、減災対策の効果のシミュレーション結果を地震被害シミュレーションとして、概要版を発行。続いて、「広報すぎなみ」9月1日号では、「特集 M7.3首都直下地震被害想定」「その時、震度6の激しい揺れが杉並区を襲う。」とし、区民に示しました。まずはこの取り組みを大きく評価するところです。これは、区内の建築の専門家集団である杉並建築会が平成25年2月に行ったシンポジウムでも御講演をされた東京大学生産技術研究所准教授・加藤孝明氏による御指導が大きいと考えます。


 区が現在行っている防災・減災対策を行うことで、家屋の焼失や倒壊、そして何よりもとうとい命が、現状では死者541人という予測が10分の1にまで抑えることができるといった試算結果は、驚きとともに、区が実際に行っている減災の効果を数字で示すインパクトを感じました。そして、こんなにも自分事として捉えることができるものなのかと実感をいたしました。


 しかしながら、このシミュレーションの前提となる減災対策の目標値は、耐震化率96%、不燃化特区の不燃領域率70%、狭隘道路拡幅整備100%、都市計画道路第4次優先整備路線及びすぎなみの道づくりに掲げる優先整備路線の整備完了という項目が並んでおり、残念ながら、これはそう簡単には到達できるものとは思えません。今後は、これを目にした区民が、目標値を共有しながら、区とともに防災・減災のための具体的な行動をより自分のこととして積極的に取り組みが進んでいく大きなきっかけとなることを願いながら、また、区の引き続きの粘り強い施策の推進を望み、以下質問をしてまいります。


 防災・減災に関して、ハードの部分の対策も不可欠ではありますが、このほかにも目を配らなければならない項目は多数あると考えます。今回は、議会において私なりの視点で質疑を通して提言をしてきた内容を中心に、1、地域防災力について、2、建築物について、3、被災者支援について質問をいたします。


 まず、地域防災力について。
 中央区では、マンションの防災対策に関し、住民が大地震発生に備えた活動計画や組織づくりなどを進める際に参考となるように、「震災時活動マニュアル策定の手引き」を作成しました。また、「備えて安心!マンション防災~震災時にも住み続けられる高層住宅~」では、東日本大震災の教訓も踏まえ、高層住宅にお住まいの方、管理組合、管理会社向けに、震災時にも住み続けられる高層住宅に向けた防災対策に取り組んでいただけるようまとめ、普及を図った事例を紹介し、当区での取り組みを求めてまいりました。


 区では、自治会と連動した防災組織を中心に地域防災力向上を目指してきましたが、区内にも多く存在するマンション等の大規模集合住宅の自主防災組織の活動支援を強化する必要があるとのこれまでの訴えに対して、当区の現在の取り組み状況をお伺いします。あわせて、こうした取り組みは地域防災力を高める上で有効と考えますが、地域防災力の向上についての区長の御見解をお伺いいたします。


 次に、当区では、区内在住の建築士の御協力のもと、応急危険度判定員の体制整備が進められています。建築士団体からは、震災が起きたときの連絡方法や発災時の具体的な活動に関しても御要望や御意見を伺っていますが、区のネットワークについて、今後の杉並区における応急危険度判定員の体制整備について、区の見解をお伺いします。
 次に、建築物についてお伺いします。


 区内小中学校が学校施設であるとともに震災救援所であるとの区民認識が深まりつつあります。震災救援所運営マニュアルを見ますと、既存の校舎に設営することが前提の基準となっていると思われる記述もあると考えます。私はこれまで、今後建設が進む新たな学校建築では、設計時において、発災時には救援所となることを想定に入れたものとなるように配慮すべきと訴えてきました。物資の保管庫や災害時に使えるトイレ、障害者の受け入れなどに関しては、新たに学校改築等を進める場合に、震災救援所として活用されることに配慮した設計が既になされていると聞いていますが、一方で、震災救援所を運営する側に十分伝わっていない現状があります。区ではこうした課題をどう認識しているのか、お伺いをします。


 震災救援所として使用することを大前提として設計時に配慮をしていけば簡単に実現をすることでも、いざ完成した後、機能を追加していくことは、費用の面でも難しいことが多いと考えます。例えば多くの被災者を長期間受け入れたときに、体育館だけではおさまらず校舎を利用する場合には、残念ながら、人の目が届かないところでの事件や事故につながる場合もあると考え、対応が必要となります。また、救援所の本部となる部屋を想定し、情報収集のためのネット環境等を整備するといった配慮も不可欠だと考えます。当区においては引き続き事例を研究し、設計時に配慮をしていく項目をより精査していくことを強く要望いたします。


 次に、区内を見渡しますと、人の手による管理がされていない、放置されている住宅が散見され、発災時には大きな被害を出す要因になるのではないかと危惧をしています。せっかく対策を進めていても、こういった要因を残しておいては安心を得ることはできません。地震被害シミュレーションにおいて、火災が発生したら、木造住宅密集地域を中心に、5棟に1棟の焼失被害が想定されるとのことですが、火災時には空き家が原因となることも考えられます。特定空家や老朽危険空き家について区は把握していると思いますが、空き家の解体は進んでいるのかどうか、現状をお伺いします。


 新築の建築物に関しては一定の性能は担保されているものの、既存に関しては不安が残ります。まちを歩いていても、傾斜しているのではないかと思われる建物や、店舗の1階部分の間口全体を開口としているため、耐力壁が足りていないのではないかと思われる建物があります。当区では耐震化支援事業に取り組んでいますが、いわゆる手挙げ方式のため、所有者からの申し込みがなければ耐震性を知ることはできません。このままでは、耐震性に欠ける建物の全体数の把握や、まちに与える危険度を把握するには至らず、対策としては限界があると考えます。


 防災・減災対策を進めていく上でも、新築や改築時において違法な建築物を許さないことは当然ですが、違法ではないものの、区内では、築年数の古い住宅の外壁や屋根を剥がし、骨組みだけを残してリフォームをしていく大規模修繕が行われています。特に2項道路に面しているために通常の建てかえが困難な場合などに多いと思われますが、このような修繕工事は確認申請の必要がなく、耐震性が担保されていない住宅が再生されています。


 こういった問題の解決策の1つとして、リフォーム工事全般を包含し、区民にわかりやすく、耐震、省エネ、バリアフリーに関するリフォームへの工事費用一部助成制度の創設、また、その担い手としては、顔の見える関係であり、ともに防災・減災に取り組んでいる実績のある区内業者の紹介をし、安心・安全なまちをつくる担い手の層を厚くしていくことなどもあわせて進めることで、良質なリフォーム工事を区内で推進していくことにもつながると考え、これまでも提案をしてまいりましたが、当区の見解はいかがでしょうか。


 区内での実例を幾つか取り上げましたが、既存の建築物の安全性を向上させていくためには、今後どういった施策に取り組めばよいのか、現状を踏まえて、幅広い視点でさらなる検討を進めていくことを強く要望いたします。


 私は、建築物の安全性は、第一義的には所有者が確保していくことが求められると考えています。災害に強いまちの実現には、区民一人一人が意識をしていくことが重要でしょう。行政主導だけでは防災・減災対策には限界があります。建物や塀などの所有者が自分の持ち物に責任を持ち、みずから対策に努めていくという意識を醸成していくことも必要なのではないかと考え、区には取り組みを求めておきます。


 さて、この項の最後に、被災者支援についてお尋ねします。
 昨年の第2回定例会において、災害時復興で、住民、地域合意が得られやすくなる事前復興の取り組みと今後の展望をお尋ねしました。区からの回答は、あらかじめ可能な準備をし、発災後直ちに着手するための事前復興の観点は重要であり、現行の杉並区震災復興マニュアルをより効果的かつ実践的なマニュアルとなるよう、修正の検討に着手するとありました。今後マニュアルの改定が行われると聞いていますが、改定することとした背景、進捗状況についてお伺いをします。


 このほかにも、罹災証明書の円滑な発行体制の構築、地下にピットを設置し、手動に切りかえて使用ができるといった、平時と災害時にも使える災害用トイレの設置、また、台東区災害ネットワーク専門職会議の取り組みを紹介し、弁護士、土地家屋調査士、建築士などによる専門知識を結集した被災者支援のあり方を事前に検討していくなどの取り組みを求めてまいりました。再度、今後の区の取り組みを要望しまして、次の質問に移ります。


 次に、公共建築物の設計についてお伺いします。
 杉並区区立施設再編整備計画で示されたとおり、区内には数多くの公共施設が存在し、維持管理をしています。区には、今後も建物の更新の時期に合わせ、次代を見据えた新たな建築物をつくり出していくことが求められています。私は、誰に設計を任せるかということが、その建築物のでき上がりのよしあしを左右する最大の分かれ目となってくると考えています。


 昨年の第2回定例会において、建築・設計業務委託の設計者選定において、入札とプロポーザル方式の優位点の違いと、これまでのプロポーザル方式での実績と評価、課題をお伺いしました。区からの回答は、プロポーザル方式は、高い技術力や創造力、実績などを求められる施設の設計者選定に適しており、区内にも多くの成果を生み出した実績はあるものの、事業費の高騰や、デザイン優先となり維持管理の負担が重くなる一面があるとの認識が示されました。


 国土交通省では、「質の高い建築設計の実現を目指して」とし、実現のためにプロポーザル方式を推奨しています。設計者の選定に当たっては、物品購入などと同じような設計料の多寡だけでは判断できず、よりよい建築の実現のためには、最適な設計者の選定が重要であるとしています。また、公共工事の品質確保の促進に関する法律の中でも、よりよい公共工事の実現には、調査、設計の品質確保が重要であり、競争参加者の技術的能力の審査が必要とされ、プロポーザル方式による設計者選定が有用とされています。私は、当区において、設計業務に特化したプロポーザル方式の検討が必要なのではないかと考えます。


 そこで質問をいたします。設計者選定のプロポーザル方式の成果や課題を庁内で共有し、建築性能とコストが最適化され、区民の利便性向上を目指した建築物となるよう、積極的にプロポーザル方式を検討していくよう要望をいたしますが、区の御見解はいかがでしょうか。


 当区では中央図書館改修において、区民意見聴取を丁寧に行い、よりよい改修となるよう準備を進めてまいりました。そして来年度はいよいよ本格的な設計へと入っていく段階になってまいりました。これまでの区の取り組みを大きく評価するとともに、今後への期待が高まります。


 設計者は、それぞれが独自の視点、考えに基づき設計をしてまいります。ある設計者は、建物内のデザイン性に注力をし、そしてまたある設計者は、建物内のみならず、まち全体を俯瞰して中央図書館を捉え、例えば読書の森との連携を最大限に生かしていくといった視点で設計を進めていく場合もあると考えます。加えて、設計力のみならず、初期建設コストや光熱費などのランニングコストまで踏まえた総合的な検討、力が必要となってくるでしょう。


 また、プロポーザルを実施する場合の選定項目は、よりよい設計者を選ぶ上で最も重要であり、誰が杉並区の中央の図書館の改修をする設計力があるかをどういった基準で選定していくかに関しても、多くの議論をもって決めていくべきと考えています。今後着手をする中央図書館改修における設計事業者の選定では、これらのことを念頭に置き、プロポーザル方式の実施を求めますが、いかがでしょうか。


 また、ここまで進めた成果を踏まえ、中央図書館改修に向けた意気込みを改めてお伺いをします。


 この項の最後に、区民の方からの要望を申し上げます。
 当区は昭和63年に杉並区平和都市宣言を行いました。世界の恒久平和を願い、核兵器のなくなることを願い、高らかに平和都市を宣言したことを誇りに思っている区民が多くいらっしゃいます。宣言が行われてから、来年は30年目を迎えます。今回の中央図書館改修を30周年の記念行事と位置づけ、館内に、さきの大戦の貴重な記録を後世に残すため、杉並区独自の平和を祈念するための資料をまとめたコーナーをつくるよう強く強く要望いたしまして、次の質問に移ります。


 最後に、高次脳機能障害についてお伺いをします。
 今般、医療技術の進歩によって、病気や事故などの重篤な場合でも命が助かるケースがふえています。そのような場合には、例えば脳の一部が損傷したことによって、考えや言語などの脳機能の一部に障害が起きる中途障害の1つとして、高次脳機能障害があります。記憶障害や、ぼんやりしていて、何かをするとミスばかりする、2つのことを同時にしようとすると混乱するといった注意障害。人に指示してもらわないと何もできない、行き当たりばったりの行動をするといった遂行機能障害。また、社会的行動障害といって、1つの物事にこだわって容易に変えられない、いつまでも同じことを続けることもある固執性、また、場違いの場面で怒ったり笑ったりする、ひどい場合には、大した理由もなく突然感情を爆発させて暴れることもある感情コントロール低下などがあります。また、脳の言語機能の中枢である言語野が損傷されることになり、一旦獲得した言語機能である聞く、話すといった音声にかかわる機能、読む、書くといった文字にかかわる機能に障害が出る失語症では、自分の気持ちを的確に表現することができないもどかしさに襲われる。そのつらさは、心中察するに余りあると考えます。いずれも目には見えない障害であって、当事者のみならず、支える御家族も、障害に向き合い、受けとめていくことは大変な御苦労があると推察をいたします。


 まず、区における高次脳機能障害の方々の支援状況についてお伺いをします。


 私は、ある区民の方から御相談をいただきました。40歳以上の高次脳機能障害で脳血管疾患の方は、認定を受ければ介護保険サービスを利用することができるそうですが、介護認定をするケアマネジャーがケアプランを作成するに当たり、十分に障害特性を理解しないまま進めたために、適切な支援内容へとつながっていない現実があるとのことでした。ケアマネジャーには、高次脳機能障害を含め、個々の障害特性の理解を深めてもらいたいと考えますが、区の御見解をお伺いします。


 医療の進歩は大変うれしいことであり、それによって助かる命がふえてきましたが、その中には、全面的に回復することができずに、障害を抱えながらも就労を目指す区民の方もいらっしゃることと思います。区の全面的な支援を求めてまいります。


 当区においては、現行の支援制度のどこに課題点があり、どういったことが支援へとつながるのかといった情報を収集することに注力をし、今後とも区民にとって頼れる存在であり続けるための不断の御努力をいただけますよう要望をいたしまして、私の質問を終わります。

○議長(富本卓議員) 理事者の答弁を求めます。
 区長。
      〔区長(田中 良)登壇〕

◎区長(田中良) 

私からは、山本あけみ議員の御質問のうち、大規模集合住宅における自主防災組織の活動支援の取り組み状況及び地域防災力の向上についての御質問にお答え申し上げます。


 私は、首都直下地震は必ず発生するという危機意識から、それに備えた万全な災害対策を推進し、区民の生命、財産を守ることが最も重要な役割だと考えております。災害対策を推進する上では、自助・共助・公助それぞれの分野で災害に対応する力を高めて、連携し合うということが大切でございます。中でも、発災時には、自分たちのまちは自分たちで守るという共助の取り組みが重要な役割を果たすと考えております。そうした認識のもとで、区ではこれまで防災市民組織を支援してまいりました。現在は163の組織がございますが、その多くは町会・自治会を母体としておりまして、面的には充足している状況でございます。


 一方、区内にはマンション等の大規模集合住宅の建設も進んでおりますが、町会・自治会には未加入の場合も多々あり、また、中高層住宅あるいは集合住宅として特有の防災上の課題も抱えております。そこで、昨年度に中高層住宅向けのマンション防災マニュアルを策定いたしまして、それを活用して、大規模集合住宅特有の問題や組織化に向けての相談に応じております。こうした取り組みは地域防災力の向上に有効と考えておりますので、引き続き力を入れて取り組んでまいりたいと思います。


 それに加えまして、地域防災力を向上させていくには、区民の防災意識を高めるということが必要であります。区ではこれまで、防災市民組織のメンバーを中心とした防災リーダーの養成を行って、現在2,010名の防災リーダーがおりますが、まだまだ数的にも不足をしておりまして、とりわけ女性リーダーの養成が課題であります。また、受講内容も資器材訓練が中心であるために、受講後のスキルアップも課題となっております。


 そこで、区では来年度から地域大学を活用して、地域防災コーディネーターを養成することを計画しております。コーディネーターに、震災救援所訓練への参加等を通じて地域の方々に指導、アドバイスを行うことや、防災リーダー養成講座の企画運営等を行うことをお願いしたいと考えておりまして、こうした取り組みを通じて地域防災力の底上げを図っていきたいと考えております。


 私からは以上です。残りの御質問につきましては、関係部長より御答弁申し上げます。

○議長(富本卓議員) 都市整備部長。
      〔都市整備部長(渡辺幸一)登壇〕

◎都市整備部長(渡辺幸一) 

私からは、建築関係の所管事項についてお答えをいたします。
 まず、応急危険度判定員の体制整備に関するお尋ねでございますが、応急危険度判定を十分に機能させるためには、応急危険度判定員の方々の貴重な御意見が欠かせないものと考えてございます。そこで、区におきましては、応急危険度判定員の方々の御意見なども踏まえまして、昨年度は情報伝達訓練を実施したところでございます。今後、震災時の応急危険度判定が円滑に進むよう、東京都とも連携しながら体制整備に努めてまいります。


 次に、空き家の解体に関するお尋ねにお答えいたします。
 地域に重大な影響を与える特定空家等及び特定空家等に準じる老朽危険空き家につきましては、平成27年5月の特別措置法施行時で総数15件と区では把握しておりまして、このうち8件が既に除却され、現在は7件と認識してございます。このことにつきましては、杉並区空家等対策協議会による貴重な御助言や区職員による粘り強い対応などが所有者の御理解を得たものと考えてございまして、老朽空き家に対する除却費助成制度などの周知も含め、今後も引き続き管理不全の空き家への対応に取り組んでまいりたいと考えております。


 次に、リフォームへの一部助成制度の創設と区内業者の紹介に関するお尋ねでございますが、区におきましては、木造住宅等の耐震改修助成、低炭素化推進機器等導入助成、住宅修築資金の融資あっせん制度などを行ってございますが、このような各所管課にまたがっております諸制度の紹介につきまして、今後も区のホームページなどを通じまして、区民の皆様にわかりやすく情報提供をしてまいりたいと考えております。


 また、区内業者の紹介につきましては、毎週月曜日と金曜日の午後に実施しております杉並区増改築無料相談会や相談会の事務局を御案内してございますので、本件につきましても周知にしっかり努めてまいります。 私からは以上です。

○議長(富本卓議員) 危機管理室長。
      〔危機管理室長(寺嶋 実)登壇〕

◎危機管理室長(寺嶋実) 

私からは、初めに、震災救援所の運営に関するお尋ねにお答えいたします。


 区では、小中学校を震災救援所として活用するため、学校を改築する場合は、学校防災倉庫やマンホールトイレ、非常用コンセントの設置など、救援所としての使用に配慮した学校整備に努めております。こうした施設を最大限に活用していくためには、震災救援所の運営に携わる役員等にその配置や使用方法などを熟知してもらい、訓練を行っていただくことが必要です。そのため、設備、機能の一覧表や訓練時の使用方法の簡易なマニュアル、一般区民の方にも見やすい図面の作成など、救援所運営に携わる役員等の御意見も聞きながら、わかりやすくお伝えする方法を工夫してまいりたいと考えております。


 次に、震災復興マニュアルの改定についてのお尋ねにお答えいたします。
 このマニュアルは平成16年3月に策定いたしましたが、この間の震災等を契機に災害対策基本法などが改正され、これを踏まえて、東京都が平成29年3月に修正した区市町村震災復興標準マニュアル等との整合性を図るとともに、現行に即した所要の修正を行うものです。


 主な変更点といたしましては、被害想定を杉並区で被害が最大となる東京湾北部地震に改めること、また、復興施策の基本的視点に新たに、区民との合意形成に努めながら復興を進める区民との協働連携や、平時から他自治体と受援、支援について調整するといった都や交流自治体との連携の項を加え、さらに、被災住民や事業者が主体的に参加して、地域力を生かして復興に取り組む地域協働復興推進を追加していきます。あわせて、復興業務のプロセスは、災害対策本部業務と並行し、あるいは連続して行うこととなりますので、事業間の連携調整が必要となります。今回新設するフローチャートでは、復興マニュアルに示した各項目を網羅するとともに、各事業の開始時期や終期の目安を明示することで、全体の進行管理にも資するものとしてまいります。


 復興マニュアルは年度内の改定を目指しております。
 私からは以上です。

○議長(富本卓議員) 政策経営部長。
      〔政策経営部長(白垣 学)登壇〕

◎政策経営部長(白垣学) 

私からは、区立施設の設計者選定に関する御質問にお答えいたします。


 区立施設の設計に当たっては、施設の規模や性格に応じ、その施設にふさわしい設計者を選定し、安全性や快適性、省エネなどの建物性能とコストが最適化された施設づくりを行っていくことが重要であると認識しております。その点でプロポーザル方式は、さきにも御答弁申し上げたとおり、高い技術力や創造性、実績などを求められる施設に適しており、区でも幾つかの特徴ある施設で採用しております。


 一方で、プロポーザル方式には、事業費の高騰や維持管理の負担が重くなるケースがあるなどの課題もあり、経費の抑制を図るための工夫などを行いながら、採用の検討をしてまいります。


 私からは以上でございます。

○議長(富本卓議員) 保健福祉部長。
      〔保健福祉部長(有坂幹朗)登壇〕

◎保健福祉部長(有坂幹朗) 

私からは、区における高次脳機能障害の方の支援状況についてのお尋ねにお答えします。


 区では障害者福祉会館におきまして、高次脳機能障害の方とその御家族、支援者などを対象とした相談窓口の設置、御家族を含む当事者の交流会、障害理解を学ぶ場としての支援セミナーや関係機関との連絡会を開催するなど、高次脳機能障害者支援事業を実施しております。また、家族会の活動や運営を支援するための助成、親睦会開催への協力なども行っております。特に相談窓口におきましては、相談内容や個々の状況に応じて、会館で実施しています生活リハビリ事業やふれあい広場事業への御案内や、就労支援機関などの適切な支援先につないでおります。


 なお、平成28年度の相談実績は、延べ約1,300件でございました。
 私からは以上でございます。

○議長(富本卓議員) 高齢者担当部長。
      〔高齢者担当部長(田中 哲)登壇〕

◎高齢者担当部長(田中哲) 

私からは、ケアマネジャーの高次脳機能障害を含めた個々の障害特性についての理解に関する御質問にお答えいたします。


 御指摘のとおり、40歳以上の高次脳機能障害で脳血管疾患の方は、基本的に介護保険サービスが優先されますので、ケアプランを作成するケアマネジャーが個々の障害特性について理解を深めることは、大変重要であると認識しております。現在、区では居宅介護支援事業者協議会と連携し、区内のケアマネジャーを対象に、障害者分野を含めたさまざまなテーマで研修等を行ってございます。今後も、高次脳機能障害を含め、個々の障害特性についてのケアマネジャーの理解がより一層深まるよう、高齢者部門と障害者部門とが連携して取り組んでまいります。


 私からは以上です。

○議長(富本卓議員) 中央図書館長。
      〔中央図書館長(齋木雅之)登壇〕

◎中央図書館長(齋木雅之) 

私からは、中央図書館の改修に向けた設計事業者選定に関する御質問にお答えします。


 中央図書館は築35年が経過し、施設設備の老朽化が著しいため、昨年度改定した杉並区実行計画において、平成30年度に設計、31年度に大規模改修工事に着手することとしております。これに先立ち、昨年度は、中高校生を含む延べ1,400名余の区民、利用者から、意見交換会やアンケートなどさまざまな手法により意見、要望を聴取し、それらを踏まえて、施設の老朽化対策に加え、レイアウトの変更及び機能拡張の方向性などを盛り込んだ改修基本計画を本年8月末に策定したところです。


 こうした改修基本計画を着実に実施するための設計を行うに当たっては、単に価格競争をするのではなく、すぐれた技術力や創造力、実績を持つ設計事業者を選定する必要があると考えております。そのため、来年度当初予算の編成を通じて、議員の御指摘も踏まえつつ、適切な設計事業者の選定方法を検討してまいります。


 教育委員会といたしましては、広範な区民の意見を踏まえた中央図書館の大規模改修を通して、杉並区立図書館サービス基本方針に掲げた10年後の図書館像の具現化を図り、図書館サービスの一層の向上を目指してまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

 


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