山本あけみ「緑ゆたかな環境を子どもたちへ」

建築士や生活者として、都市計画・公共施設マネジメント・地球温暖化対策・SDGsなど、独自の視点で日々発信

平成24年第一定例会一般質問・教育その2

2012-03-05 | 議会報告

引き続き、教育関連の質問です。中学生の武道必修化に伴い懸念される事故の未然防止を願っています。

以下、質問内容です。

また、来年度より、中学校において男女とも武道が必修科目となります。 これは、子供の体力低下などを受けて学習指導要領が2008年3月に改訂され、2012年度から中学1,2年時の武道である柔道・剣道・相撲の選択必修が決まったもので、国の教育振興基本計画の中にある「我が国固有の伝統的な文化である武道の振興を支援する。」という項目を受けたという背景があります。

 

 この中の柔道に対しては安全性を危惧する声が多数あり、朝日新聞の社会欄においては「柔道授業高いリスク」とし、頭・首の負傷事故は部活の2.4倍とし、また、毎日新聞は社説で「柔道死亡事故、必修化前に安全徹底を」と警鐘を鳴らしています。

 

 日本スポーツ振興センターの柔道死亡事故データには資料が残っている28年間の学内での死亡例として114人、障害が残った人数は275人という事例があります。この中には一般の道場のデータは含まれないため、全国の正確な被害者数の把握はされていません。また、全日本柔道連盟資料によると2009年、2010年の死者数はそれぞれ7人と毎年多くの被害が報告されています。

 

 2010年3月に設立された「全国柔道事故被害者の会」ではご自身の子どもさん達の死亡や後遺障害へと至った経緯をまとめ、事故撲滅を目指して活動をされています。

 

 一方で他国をみると、柔道人口は日本の3倍、その85%が18歳以下というフランスでも死亡事故・後遺障害の被害者はゼロとのことで、イギリス、ドイツ、カナダ、アメリカ、オーストラリアの各柔道連盟の報告でも死亡はゼロということです。

 

 フランスでは柔道指導は大変厳しい国家資格が必要であるのに対し、日本では来年度から資格制度が始まりますが、今年度から始まる武道必修化への体勢はまだ整っていません。

 

 授業ではじめて柔道を経験する初心者の生徒への指導には技術のみならず、医学的知見に基づいた指導、つまり投げ技をかけ、頭を強く何回も振りまわされた場合の脳への影響や、絞め技という頸動脈を圧迫することの危険性を認識するなど、安全性管理においても熟達した指導者であることが求められ、単に柔道の経験者というだけでは指導者にはなりえないということを再認識する必要性があります。杉並区内において絶対に被害者を出してはいけない、という強い思いのもとでお尋ねいたします。

 

中学校保健体育科で必修となる武道の危険性について、区の認識と指導者の安全指導についての力量向上を含む対応策についてはどのようにお考えなのでしょうか、ご所見をお伺いいたします。