ラマは南米アンデス地方に住むラクダの仲間の動物である。
ペルーやボリビアの紀行番組では、人馴れした家畜として紹介されることが多い。
その昔、インカ帝国時代は人間の子供ともども生贄として神にささげられていた。
海の中道海浜公園には、ラマの居住ゾーンがある。
開園後には飼育員が掃除をしたり餌をやるところが見られる。
餌を与える場所は決まっていて、大きな松の木の周りに干し草などをまくと
ラマたちのおもいおもいの朝食が始まる。
毛がふさふさとした健康そうなラマたちは、もくもくと干し草を口に運んでいるが
奥のほうで明らかに、毛並みが悪いラマが一匹で横たわっていた。
飼育員の女性が「ラブ・ラブ」と声をかけると、キョロキョロとあたりを見渡しながらよっこらせと億劫そうに立ち上がった。
あまりしっかりした足取りではないが、声をかけ続ける女性の後をついて柵の中に入った。
飼育員に尋ねると、ラブは高齢で白内障で視力が落ち、咀嚼力も弱いので別メニューで食事を与えているという。
家畜で飼われているので、人の言葉も理解できるのかもしれないが
ラブに声をかけながら誘導し、視力が弱ったラブもそれに従ってついていく。
人間とラマのほのぼのした光景がそこにあった。