医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

耐震偽装に思うプロの美意識

2006年01月25日 19時42分00秒 | Weblog
 最近テレビをにぎわせているこのニュース。

 心の貧しい人は、お金を持っていても、人相や振る舞いにでるものですね。

 エイブラハム=リンカーンはかつて、「男は40過ぎたら、自分の顔に責任を持て」 と言いましたが、名言です。

 心は本当に顔に反映されるものです。

 朗らかな人は顔も柔和で笑みをたたえ、誠実な方は受け答えも誠実だし、覇気のない人は顔もよどんでいるものです。

 僕も気をつけなければ。

 しかしこの事件は良く考えると、現代に生きる僕たち全員にはびこっている病巣の一部ではないでしょうか? 

 彼らは実は僕らの一部であり、お金のためならやってしまう、ばれなければいいだろう・・・そういう歪んだ価値観の顕在ではないでしょうか。 
 経済効率ばかりを求めるがあまりに、迷い込んでしまう袋小路。

 実はどの業界にもことの重大性の大小はあっても、また日本に限らずどの国にもはびこっているのではないでしょうか。

 もちろん踏み越えてはいけないところを越えてしまったので、決して許される行為ではないですが。

 「経済至上主義」、「お金至上主義」、本当はもっと大事にしなければならないものがあるはずですよね。 

 「人に喜んでもらえる行為」、「社会に貢献すること」、これらが「お金」より大切なことではないでしょうか?

 「経営は慈善事業じゃない」、「会社である以上は儲けなきゃダメだ」、「勝たなきゃ意味がない」、理屈は一理あるかもしれませんが、僕には馴染めません。 

 優先順位を履き違えてはいないのでしょうか?

 僕ももう一度胸に手を当てて、よく考えてみよう。

 プロとして、どこに出しても恥ずかしくない仕事をきっちりやって、額に汗をしっかりかいて、それに伴ってあとづけで社会に評価をしていただく。

 最初から利益だけを求めない。

 恋愛と一緒ですよね。 

 手を抜いてしまった場合、たとえ他の人はだませることが仮にあったとしても、でも自分だけは絶対にごまかせませんものね。

 僕も反面教師として戒めようと思います。


 論法としては前半とは逆説的になるかもしれませんが(結論は一緒ですけれども)、医者になった当時、先輩から言われました。

 「プロを目指せ。プロとアマチュアの違いは何か?プロはお金を取るんだ。」と。 

 今でも忘れることはできません。

 アマチュアである学生時代は遅刻しても、落第しても、ある程度笑い話で済ませられます。

 でもプロは遅刻はできません。

 例えばきっと、イチローは打てない理由を監督やコーチのせいにはしないでしょう。

 もちろん、チームが弱いからだ、なんて責任転嫁もできないでしょう。

 つまり、ふがいない自分を上司や会社のせいにはできないのです。

 試合に遅刻はしないでしょう。

 また風邪を引いても打てない理由にはしないでしょう。 

 ましてや二日酔いのせいにもしないはずです。

 当然、練習という努力を怠らないはずです。

 4打席中、手を抜く行為もせずに、全力で集中した結果があの成績なのだと思います。

 成績を出せなければ、減棒・引退が待っているだけです。


 僕は人一倍未熟な人間なので、せめてプロの医師として、心構えだけでもイチローに負けないようにしたいと思います。 

 書いてしまえば自分に言い訳ができなくなるので。

 でもあまりに未熟だからなあ・・