医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

尾形光琳の美学

2006年01月08日 18時17分46秒 | Weblog
 お正月ですからね、和的な話題で

 以前、西洋の絵画や彫刻の美に関して書きましたが、日本にもいたんですよね、世界に通用する天才芸術家が。

 その名も尾形光琳

 しかも僕が大好きなバロック時代(元禄文化)の人です。

 国宝「紅白梅図屏風」は有名ですから、みなさんも一度は目にしたことがあると思います。

 金の屏風の中央に模式化された川と渦、そして写実的に左手には下向きの枝だけの白梅、右手には幹のある上向きの紅梅が描かれております。

 白梅が地味な弟の乾山、紅梅が派手で遊び人の光琳自身、などとこの対比が多い絵の解釈に関しては詳しいものが色々ありますから、参照してください。

 僕の勝手な解釈

 それは、両サイドには対照的な自然、中央の川は人間の人生そのもの、そして渦は神、言い換えれば生命を生かそうとする見えない力 

 渦には生命を生み出す根源があるような気がします。

 乳海攪拌も日本の神話の国生み伝説も、鳴門の渦潮にインスパイアされたのではないでしょうか?

 だから渦は模式的なんです。

 そう、日本画には哲学が内在しているのです。

 ここが西洋美術との決定的違いではないでしょうか。

 西洋の絵画や彫刻は人物や神が多く、日本では自然が多いですよね。

 西洋の人間(神)中心主義と、日本の自然共生主義がここでも見て取れます。

 僕たち日本人にとって人間は自然と共生しており、森の中に人間は包まれて内在していることが当たり前だという感覚がありますよね。


 桜前線北上中!なんて言って桜の開花に全国民が一喜一憂するメンタリティ、これは異国の人々に説明したくても、DNAにしみこんでいるので、説明しにくいですねえ。

 桜は散り際が美しいだとか、生け花にしてもつぼみを美しいと感じる心であったり独特の宇宙観があったり、陶器にしてもひびやいびつさまでも愛でる感覚・・・

 それらは華美な装飾や、ただ完成されたものだけにとらわれないという、日本人独特の感性・・・大切にしたいものです


 また、お菓子にまつわる和の心も興味深い 

 さすが虎屋さんでは造詣の深いHPを持っており、

http://www.toraya-group.co.jp/gallery/dat02/dat02_057.html

を覗いてみてください。光琳のお菓子もそこにあります



 それにしても、今の時代であれば、カラバッジョvs光琳、ベルニーニvs乾山のような戦いが見られたかもしれませんね。 

 考えただけでもワクワクしますよね。