医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

「間」(ま)の持つ美しさ

2006年01月20日 18時43分48秒 | Weblog
 間(ま)について思うことが良くあります。 

 間が抜けたとか、間に合ったとか、間が悪いだとか、間延びしているだの、あるいは剣道の相手との間合い、相撲の立会いの際の両こぶしが一瞬地面に触れるか触れないかの間、歌舞伎で見得を切ったときの間・・僕たち東洋人ほど「間」を大切にする人種はいないのではないでしょうか?

 間とは、拍子の間、何もない空間ですよね。

 日本には空(くう)の思想を根本におく大乗仏教の影響があります。

 ちなみに東アジアに伝播した大乗仏教は新興宗教、南アジアに伝わった元来伝統的な小乗仏教は小乗というと怒るそうです。

 般若心経(パンニャー=智慧)の有名な「色即是空」「空即是色」というように、万物は変化し、因と縁によるものであるから固定的な実態があるわけではなく空だ、しかし虚無ではない、この世の現象の姿が空である、ということが大脳に沁みこんでいるのでしょうか?

 「変化」という事象から、西洋のアウグスチヌスは「時間」という概念に向かい、時間を神が作りたもうたとしておりますが、仏教ではそこから「空」に向かいました。

 竜樹(ナーガルジュナ)恐るべし!

 例えば、キースリチャード、ローリングストーンズのギタリストですが、彼の「間」は素晴しい・・イギリス人ですが、これはもう悟りの境地です。 

 「start me up」でのイントロの空。

 絶妙すぎます。ためてためて・・・うっ悶絶。 

 「honky tonk women」でのルーズさ。解脱してますな。


 他にギタリスト布袋さんのカットするリズム。

 ここにもセンスの良い「間」を感じます。

 センスの悪いヘビメタの早弾きでは音符が詰まりすぎて美しくないんですよねえ。


 元ロキシーミュージックのブライアン=フェリーの美しい名曲「slave to love」や「more than this」での歌っているんだかいないんだかわからない、「間」。

 ダウンタウンの松本さんの、受け答えの「間」。あの時間にしてコンマ何秒かの「間」が笑いを爆発させます。


 みなさん「間」を感じて、「間」をつめすぎずに、ちょっとだけ日常にゆとりを持ってみませんか?