【石川県】:知事、1275万円の公用車「センチュリー」で後援会行事へ移動…公務との線引き曖昧
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【石川県】:知事、1275万円の公用車「センチュリー」で後援会行事へ移動…公務との線引き曖昧
石川県の谷本知事が2019年4月以降、自身の後援会が主催する行事への移動に、知事公用車を計5回使用していたことがわかった。後援会行事への出席は政治活動に当たり、公務との線引きが曖昧なまま公用車が運用されている実態が浮き彫りとなった。識者は「公用車の公務外使用を禁じるルールを設けるべきだ」と指摘している。
知事を支援する「正委会」「石川県知事谷本正憲後援会イヌワシ会」「谷本正憲石川県連合後援会」の15~19年の政治資金収支報告書や後援会関係者の説明によると、谷本知事は15~20年、この3団体が主催した少なくとも23行事に出席。県秘書課に各会場への移動手段を聞いたところ、知事が19年4月以降、正委会主催の3行事とイヌワシ会主催の2行事の会場に、知事車で移動していたことが判明した。
19年4月26日は、金沢市内の私邸からイヌワシ会主催の懇親会が開かれたホテルまで知事車で移動し、終了後も知事車で帰宅。正委会が同年10月26日に知事公舎で開いた公舎交流会にも、県女性センター(金沢市三社町)での公務後、知事車で駆けつけた。20年12月16日には、県庁から正委会総会が開かれたホテルに知事車で出向き、後援会会員ら九十数人と会食していた。
一方、県秘書課は、19年3月以前に開かれた17行事の会場までの移動手段については「分からない」と回答。運転日誌を19年度以降分しか保存しておらず、確認できないとしている。
知事車はトヨタ最高級車「センチュリー」で、県が12年12月に1275万2370円で購入した。後援会行事への移動に知事車を使用したことに対し、谷本知事は「後援会の方々のみならず、県民と広く意見交換を行って職務に生かすことは大事だと考えている。用務内容に応じて公用車を使用している」とコメントし、問題はなかったとの認識を示した。
知事車の公務外使用について、西日本の自治体の元知事は「知事だった当時、市民から政治活動とみなされる可能性がある行き先には知事車ではなく、後援会の車を使っていた。県民から税金を集め、予算を執行する責任者として、公務以外での利用は不適切だ」と述べた。
また、日本大学法学部の浅野一弘教授(政治学)は「政治活動への公用車の利用は公私混同に当たり、公務利用と線引きしなくてはいけない。県の規程で公用車の公務外使用を明確に禁じるべきだ」と指摘している。
◆使用禁止の条文 県の規程になく
全国の自治体では、公用車の運用ルールを公用車管理規程などで定めている。佐賀県などは公用車の公務外使用を禁じているが、石川県の規程にはそうした条文が存在しない。
政治活動への利用は、確かにルール上は問題がないかもしれないが、民間企業では、従業員が業務以外の目的でタクシーや公共交通機関を利用した場合、経費として請求できないのが一般的だ。コロナ禍で県の財政状況が厳しい中、公費で運用される公用車を政治活動で利用することに対し、県民からは「市民感覚とかけ離れている」との批判が噴出する可能性がある。
知事は2015年以降、一般利用されていない県有施設の知事公舎で、後援会との懇親会も開催していた。知事には「李下(りか)に冠を正さず」の姿勢が求められている。(仲川高志)
元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【地方自治・石川県】 2021年02月10日 06:44:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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