《社説①・03.26》:旧統一教会に解散命令 被害の救済につなげねば
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・03.26》:旧統一教会に解散命令 被害の救済につなげねば
高額献金や霊感商法の被害者救済につなげなければならない。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散を命じる決定を東京地裁が出した。

確定すれば、宗教法人格を剥奪され、税制上の優遇措置も受けられなくなる。組織としての活動が制約される厳しい措置だ。
国家による不当な介入があってはならないが、今回は深刻な被害が広範に及んだ点が考慮された。

宗教法人法は「法令に違反し、著しく公共の福祉を害する行為をした」場合、裁判所が解散命令を出せると定めている。
適用は3例目だが、オウム真理教など過去のケースでは、幹部が刑事責任を問われていた。民法上の不法行為を理由とするのは初めてである。
地裁は、苦境につけ込んだ献金などの勧誘は悪質で、本人や家族の生活に重大な影響を及ぼし、甚大な被害をもたらしたと認めた。
新たな被害を生む恐れもあり、法人格を与えたままにしておくのは極めて不適切と判断した。
教団は即時抗告するとみられ、東京高裁で審理が続く見通しだ。
その間に、教団が財産を隠したり、韓国の本部に流出させたりすることが懸念される。被害の救済が滞りかねない。
解散命令が確定すれば、裁判所が選ぶ清算人が財産の管理や処分に当たる。教団幹部にきちんと協力させる方策が求められる。
不動産を処分する前に文部科学相への通知を義務づけるなど、財産を監視する法整備がこれまでになされたが、保全には不十分だ。対策の強化が欠かせない。
信者の親を持つ「宗教2世」の問題も深刻だ。信仰を強制されたり、貧しい生活を余儀なくされたりして、心に傷を負っている。ケアの拡充が急がれる。
選挙で支援を受けるなど、自民党と教団の関係が表面化した。党内の点検結果公表後も、所属議員の新たなつながりが明るみに出ている。関係を清算するには、徹底的な調査と検証が不可欠だ。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月26日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます