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【HUNTER・07.19】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(3)| 頻発したもみ消し・隠ぺいの背景|鹿児島県警不当捜査

2024-08-25 06:40:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・07.19】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(3)| 頻発したもみ消し・隠ぺいの背景|鹿児島県警不当捜査

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・07.19】:もう一つの「霧島署員ストーカー事件」(3)| 頻発したもみ消し・隠ぺいの背景|鹿児島県警不当捜査 

 2023年2月に鹿児島県霧島市で起きたクリーニング店で働く20代の女性に対するストーカー事件。霧島署は女性から助けを求められた別の署の警部補から事案の申告を、さらには女性本人からも被害相談を受けながら、「苦情・相談等事案処理票」のデータを消去したり、犯人が映っているはずの防犯カメラ映像を隠滅するという手口で、事実上の事件もみ消しを図っていた。昨年10月に南日本新聞が事件の概要を報道していなければ、真相が闇に葬られていた可能性が高い。

 これまで報じてきた通り、主体的にもみ消しや隠ぺいに関わったと考えられるのは、当時の霧島署長で現在は県警本部生活安全部長の南茂昭氏と野川明輝本部長。霧島署員によるストーカー事案のもみ消し・隠ぺいは、本田尚志元生活安全部長が北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏に送ったとされる内部告発文書に記されていたものとほぼ同じ構図、同じ登場人物だ。本田氏は、内部告発文書に「署員によるストーカー事案2件」と記述している。

 ■元生活安全部長による内部告発との関係

 本田元部長が小笠原氏に送った告発文書の2枚目には、『鹿児島県警の闇』として、次の四つの問題点が記されている。

鹿児島県警の闇

1 霧島署員による警察の保有する情報を悪用したストーカー事案

2 枕崎署員による盗撮事案の隠蔽

3 警視による超過勤務詐取事案の隠蔽

4 署員によるストーカー事案2件を発生させた霧島署長、南茂明警視(*原文ママ。実際は「茂昭」)の警視正昇任とストーカー取締部署である生活安全部長着任

 本田氏は上記の4で、「署員によるストーカー事件2件」としており、1件が被害女性の意向で事件化しなかったという「巡回連絡簿」を悪用した霧島署員のストーカー事件だ。そしてもう1件が、本シリーズ()・()で報じてきた、警察による証拠隠滅が疑われるクリーニング店勤務女性へのストーカー事件である。

 このうち、告発文記載のストーカー事案については、「本県警察官によるストーカー容疑事案を認知し、捜査を開始したが、被害者が事件の立件を望まず、捜査を終結した」とある。本当だろうか?

 それがどのような「事件」だったのか、小笠原氏による記事(6月7日配信)の該当部分を再掲しておく。

 同署地域課に所属し、ある駐在所に勤務していた30歳代の男性巡査長(当時)が、業務を通じて不正に取得した個人情報をもとに悪質なストーカー行為を行なっていたという。

 同巡査長は一昨年4月、パトロール中に立ち寄った事業所で一般の20歳代女性と知り合う。当初は月に一回程度の巡回の際に世間話をする程度の関係だったが、およそ1年を経た昨年4月ごろから、2人は個人的にLINEのやり取りをする間柄となった。巡査長が駐在所の巡回連絡簿から女性の個人情報を不正入手し、携帯電話番号にメッセージを送信したのがきっかけだったとされる。

 同女性に頻繁にLINEを送るようになった巡査長は、仕事の休みを聞き出したり「抱いていい?」などと不適切なメールを送信する言動に及び始めた。女性は努めて当たり障りのないメッセージを返していたが、その後も食事の誘いやラブホテルなどについて尋ねるメールが送られてくるようになったため、昨年暮れになって交際相手に被害を相談することにした。この「交際相手」が加害者の同業者、つまり警察官だったことで、事件は県警の知るところとなる。本部人身安全少年課の調べに対し、巡査長は「若くて好みのタイプだったので男女の関係になりたかった」などと供述、不適切な言動があったことを認めるに到った。

 被害女性の自宅や勤務先が駐在所の近くにあることから、所轄署は巡査長を駐在所勤務から外し、署内で勤務させる措置をとる。事件の調べにあたった本部は、上の供述やメッセージの記録などから、巡査長の行為がストーカー規制法に抵触する可能性を確認、年が明けて本年1月に捜査員3人が被害女性宅を訪ね、女性と両親に謝罪した上で捜査状況などを説明していた。

 この訪問からさほど時間を経ていない2月上旬、捜査は唐突に終了する。被害女性が事件化を望まない意向を示したためだ。女性の本意は定かでないが、県警にとっては好都合な結論だったと言ってよい。立件されない以上は報道発表の必要がなく、事実関を隠蔽し続けることができるためだ。実際、今に到るまで一切の経緯が公表されていない。ただし、巡回連絡簿が犯罪に使われたという事実は極めて重く、県警はその点だけでも公表して謝罪するべきだろう。

 最終的に、被害女性が「事件化を望まなかった」という理由で捜査を終結したことになっているが、本田氏の告発文書の記述内容を詳細に検討すれば、通常ではあり得ない経緯が存在していたことが分かる。

 行為者のメッセージ内容に嫌悪感を示すとともに、被害者の連絡先の入手方法を危惧し、「今後同様の被害者を生まないためにも、刑事手続きや行政手続きができるのであれば、その対応をとってもらいたい」旨申し立てた》(告発文書より)――これが被害者の当初の意向だ。しかも、捜査過程で、「巡回連絡簿」という警察への信頼の上に作成されたデータが悪用されたことまで判明している。では、なぜ事件化されなかったのか――?本田氏の告発文書に、その謎を解く鍵となる記述があった。

 それによると捜査の結果、ストーカー事件であることを確認した県警は、なぜか即座に立件せず、被害者側への「説得」に動く。以下、本田氏の告発文の記述。

⑺ 被害者及び両親への説明

被害者への説明にあたっては、同人の意向を伺い、両親も同席することとなり、令和6年1月29日、霧島警察署で、行為者の上司である同署地域課長、被害者担当である同署生活安全課人身安全・少年係員、行為者の取調官である生活安全部人身安全・少年課人身安全一係員の3名が説明を実施した

被害者及び両親に謝罪した上で、捜査状況や違反態様、行為者に対する措置等を説明した。被害者は、事件化について、いったん保留し家族協議して決定する意向を示した。

 通常、警察が被害者にここまで丁寧な対応を行うのは稀だという。これは、『捜査状況や違反態様、行為者に対する措置等』の説明というより、事件化を望まないように誘導したと見るべきだ。その結果、次の記述につながる。

⑻ 被害者の意向確認

令和6年2月1日、霧島警察署において、前記被害者担当官及び行為者取調官の2名が被害者の最終的な意向確認をした結果、同人は、両親と話し合った結果として、

・県警本部員が行為者を厳しく取り調べたと聞いていること

・異動したり何らかの処分を受けると教えてもらったこと

・これ以上行為者と関わり合いたくないこと

・110番ステムの登録もしてもらっていること

を理由として、事件化を求めない意向を示した。また、被害者は、法警告や禁止命令といった行政措置についても求めない意向を示した

 当初、「刑事手続きや行政手続きができるのであれば、その対応をとってもらいたい」として強い処罰感情を持っていた被害女性が、県警側の説得を受けて一転、「法警告や禁止命令といった行政措置についても求めない意向を示した」となる。しかも、県民と警察との信頼の上に作成された巡回連絡簿を悪用した犯罪だというのに、被害女性が立件を望まなかったという理由から、軽い処分で済まされた可能性がある。被害者をうまく丸め込んだ、事実上の事件隠ぺいだったという見立てが成り立つ。

 ■隠蔽の背景

 ここで今回のシリーズで報じてきた「もう一つの霧島署員ストーカー事件」を振り返ってみる。

 昨年1月に霧島市で起きたクリーニング店で働く20代の女性に対する霧島署員のストーカー事件では、いったん作成された「苦情・相談等事案処理票」のデータが消去され、犯行の具体的な証拠となる防犯カメラの映像も「ない」ということにされている。本部指揮になったあとも捜査は進展せず、事案発覚から1年も経って、事実上の事件もみ消しによる「不起訴」が決まる。つまり、霧島署員による二つのストーカー事件は、新聞報道や本田氏の内部告発がなければ表面化することなく、闇に葬られていた可能性が高いということだ。

 クリーニング店で働く20代の女性に対する霧島署員のストーカー事件の認知は昨年1月で、不起訴の結論が出たのは今年1月末頃。一方、事件化が見送られたストーカー事案は昨年の5月頃に発生し、12月に認知されている。この件では、県警本部人身安全・少年課と霧島署の担当など3人がかりで女性側を「説得」した結果、「本部長指揮を受けて」(本田氏の告発文より)、今年2月6日に事件化が見送られる。

 野川輝明本部長 ― 南茂昭霧島署長体制の下で起きた2件の警察官ストーカ―事件は、昨年12月から今年1月にかけての時期が重なっており、同署と本部が、あってはならない警察官不祥事を抱え込んでいたことが分かる。そして2件とも、手口こそ違え、組織的に隠ぺいされた疑いが濃い。隠ぺいの背景にあったのは、警官不祥事の頻発だ。野川氏が本部長に就任したのは2022年10月。それ以後、県警を巡る不祥事が続出していた。下に主な出来事をまとめたが、腐敗組織がもみ消しや隠ぺいに走った理由が見えてくる。

 野川本部長の就任後、「警察一家」が批判される事案が頻繁に起きていたことに驚きを禁じ得ない。当然ながら野川氏の管理・監督責任が問われることになるが、もみ消しや隠ぺいが成功していれば、同氏のキャリアに傷がつくことはなかったろう。

 強制性交事件の不当捜査、霧島署員による2件のストーカー事件、枕崎署員の盗撮、13歳未満の少女に対する淫行事件――。いずれも報道や内部告発によって表面化しており、隠ぺいが失敗に終わった形だ。野川氏がどう責任逃れをしようと、警察庁がキャリアを庇おうと、真実は一つ。元巡査長や本田氏の内部通報がなかったら、強制性交事件に光があたることもなかったし、2件のストーカー事件の真相が明かされることもなかった。枕崎の盗撮も、うやむやにされていたのは確かだ。組織の闇を暴こうとした二人の警察官が、逮捕されるいわれはあるまい。

 勾留開示請求の法廷で本田元生活安全部長は、「不都合な真実を隠ぺいしようとする県警の姿勢に失望した」と訴えた。警官による非違事件は、「本部長指揮」が決まり。隠ぺいの指示が出せるのは本部長だけだ。野川氏が間違った選択をした理由は、自分の保身――つまり鹿児島県警本部長に就任して以来、次々に発覚する警官不祥事によって自らのキャリアに傷がつくのを避けたかったからだとしか思えない。

 霧島市のクリーニング店で働いていた20代の女性は、卑劣な犯人が不当な捜査によって不起訴になったため、いまも恐怖に震える毎日が続いている。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・鹿児島県警・警察組織によるもみ消しや証拠隠滅の疑い 県警の闇】  2024年07月19日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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