【天風録・01.12】:鳥を知る
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・01.12】:鳥を知る
東京出張の折、上野の国立科学博物館に立ち寄った。150年に迫る館の歴史で初の特別展を見るために。「鳥」。身近でも謎が多い生態や分類が最新の研究でやっと解明されてきたと聞く
▲約1万1千種の鳥類は羽も多様だ。風に乗り、空から獲物を探すためゆっくり飛べる長く丸い翼がトビなど。ツバメやハヤブサは空中で獲物を捕らえるため高速で飛ぶ尖(とが)った翼に―。進化の意味が標本から読み取れる
▲鳥にはもちろん国境などない。地球には渡り鳥の南北の経路が8~10本あり、日本列島や朝鮮半島も通る。長い旅を続ける鳥はたくさんの餌を食べて脂肪を蓄積し、一気に飛ぶらしい。翼を休める水辺の役割は大きい
▲韓国史上最悪の務安国際空港の航空機事故は、鳥の群れに衝突したバードストライクが要因の一つだろう。近くに重要な干潟・湿地があり、渡り鳥のコースに当たるとしてリスクが指摘されていた。やはり認識が甘い
▲鳥の衝突は世界中の空港の悩みの種。特別展によれば鳥の鳴き声に天敵を知らせる言葉もあるという。研究を進めて「飛行機が来るぞ」と警告できないものか。もっと鳥を知るべきだろう。大空に割って入ったのは人間の方である。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2025年01月12日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます