【余禄】:遺伝性の重病や障害の場合…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:遺伝性の重病や障害の場合…
遺伝性の重病や障害の場合、本人はもちろん兄弟姉妹にも負担がかかる。子どもの頃は、親が病気の子にかかりきりになるため孤独を感じ、成人すれば結婚や妊娠で難しい判断を迫られる
▲京都市の吉村真綾(よしむら・まあや)さん(23)の兄、和馬(かずま)さん(28)は筋ジストロフィーだ。診断されたのは5歳の時。そのため真綾さんには、自力で歩く兄の記憶がほとんどない
▲この難病は、筋肉の機能に不可欠なたんぱく質の設計遺伝子が変異し、徐々に運動機能が衰える。和馬さんは最初、手動の車椅子に乗り、その後、電動に切り替えた。動きづらくなっても、明るく挑戦する姿勢を忘れない
▲講演では「病気に出合って、神様から友だちや仲間をもらいました。早く治ってほしいけど、筋ジスはぼくのトロフィーです」と笑わせ、地元の電動車椅子サッカーチームで得点を重ねている
▲真綾さんはその姿を間近で見てきた。中学2年で将来の出産に備え、遺伝子検査を受けるかどうかをたずねられると、こう答えた。「お兄ちゃんは楽しそうに生きてる。そうだった(遺伝した)としても、お兄ちゃんのように育てたらええんやろ」
▲和馬さんの試合では、他選手の兄弟姉妹と一緒にポンポンを振って応援した。兄の病気を通して普通ならできない経験もした。「けんかはようしたし、腹の立つことも多かった。でも、お兄ちゃんが私のお兄ちゃんでいてくれて良かったと思います」。米国ではきょう10日が「きょうだいの日」。日本でも広まりつつある。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2023年04月10日 03:24:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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