【金口木舌・12.18】:声なき声を聴く
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・12.18】:声なき声を聴く
数年前、精神に障がいのある男性の相談を受けている事業所を訪ねる機会があった。男性は同じ障がいのある女性と結婚を望むが、家族に反対され、途方に暮れていた
▼2人で暮らす部屋を借りようにも、家主は契約をしぶっている。「保証人を引き受ける身内もいなくて」と男性は困惑ぎみに話す。相談員も打つ手に苦慮している
▼障がいのある人が、社会のあらゆる場面で壁にぶつかる話をよく聞く。ライターの知人は肢体不自由で車いすを利用し日本各地を飛び回るが、段差のある場所では手助けが必要だ。「ごめんなさいを何度繰り返したことか」とつぶやく
▼県の共生社会条例が2014年4月に施行され10年が過ぎた。条例は職場や教育、居住など生活のさまざまな場面における差別を禁止している。条例の正式名称が掲げる「障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会」に、この10年でどれだけ近づけただろうか
▼差別を解消していくには障がいへの理解、生きづらさへの共感が欠かせない。高齢や疾病でだれもが障がい者となる可能性はある。自分ごとに引きつけて考えてみたい。差別をなくす一歩として。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2024年12月18日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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