路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【中山知子の取材備忘録・12.11】:岸田首相の「鈍感力」追い込まれても乗り越えた臨時国会 それでもまだピンチは続く…

2023-01-23 07:45:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【中山知子の取材備忘録・12.11】:岸田首相の「鈍感力」追い込まれても乗り越えた臨時国会 それでもまだピンチは続く…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・12.11】:岸田首相の「鈍感力」追い込まれても乗り越えた臨時国会 それでもまだピンチは続く…

 臨時国会が12月10日に幕を閉じた。この間、大臣の更迭が相次ぎ、10月24日に旧統一教会との関係が取りざたされた山際大志郎経済再生相(当時)が更迭されたのを皮切りに、法相軽視発言の葉梨康弘法相(同)、首相に近い存在でもある寺田稔総務相(同)が1カ月間のうちに立て続けに辞任。岸田首相、岸田内閣の支持率は急落した。秋葉賢也復興相にも「政治とカネ」の疑惑が多数浮上し、ほかにも大臣を含む複数の政務三役にもさまざまな疑惑や問題が取りざたされ、一時は「政権の体力がもたない」「首相の求心力も、だだ下がり」と政権基盤の危うさが指摘されたが、国民の目にさらされる国会を閉じることで、政権の失態と疑惑にふたをするような形で乗り越えた形だ。

衆院本会議で答弁する岸田文雄首相(2022年11月21日撮影)

  衆院本会議で答弁する岸田文雄首相(2022年11月21日撮影)

 複数の関係者によると、岸田首相の周辺は、早く臨時国会を閉じたい意向だったという。閉会の手続きが行われた12月10日は土曜日。国会閉会日が週末でも、実際に閉会するのはその前日の平日が通例だ。本来、閑散としている土曜日の国会周辺は10日、普段週末は閉まっている議員会館や会館内の食堂なども開いていた。取材をする側には助かったが、あまり見たことのない光景だった。

 臨時国会を閉会できたのは、旧統一教会の被害者救済法が成立したことが大きいが、そもそもこの救済法について首相は当初、必ずしも積極的ではなかったとされる。安倍晋三元首相の銃撃死に端を発した旧統一教会と自民党の関係が明るみに出てから岸田内閣への風当たりが強まり、旧統一教会と一部閣僚のつながりも発覚したりして、支持率急落にもつながった。

 今、岸田政権に苦境をもたらしている「元栓」=旧統一教会問題をめぐる法整備を最低限の形であっても整えなければ、この先の政権の立場も危うくなる。しかも、野党の圧力に抗しきれず、野党の提案に少しずつ歩み寄る形での成立。追い込まれた末、苦し紛れの対応は、臨時国会でみられた大臣更迭などと同じ、岸田首相のスタイルだった。

 国会で取材をしていると、岸田首相にも疲れが見えたような時があった。岸田首相は実は、首相就任前から「筋肉男子」で知られ、昨年の自民党総裁選でも日々筋トレで鍛えていると明かしている。それでもやはり、首相の座は心身共に疲弊する立場。ただ、閣僚の更迭をはじめ、すべて自分の判断の遅れが原因で自分のピンチを招いた。

 この間の首相には「悪循環」というキーワードがついて回った。自民党関係者は「国会を閉じて仕切り直し、という側面もあるのではないか」と話した。

 一方で、首相と接したことのある複数の関係者からは「全然へこたれていない」「意外に元気」という声が出ていた。ちょっと意外だった。「鈍感力」という言葉も聞いた。

 大臣閣僚更迭の遅すぎる判断にしても、旧統一教会被害者救済法の出遅れ感にしても、身から出たピンチなのだが、もし「鈍感力」で乗り切っていた側面があるとするなら、一連の、どこかズレた対応も何となく納得できる。それが正しい判断かどうかは別として。

岸田首相の防衛費をめぐる増税方針を受けて開かれた自民党政調全体会議は異論が噴出した(2022年12月9日撮影)
岸田首相の防衛費をめぐる増税方針を受けて開かれた自民党政調全体会議は異論が噴出した(2022年12月9日撮影)

 岸田首相が臨時国会は乗り切っても、ここにきて新たな難題が出てきた。防衛費をめぐる約1兆円の増税方針だ。党内の議論が行われていないとして自民党内で異論が噴出。12月9日に政調全体会議に出席した議員からは「唐突だ」「額だけがひとり歩きしている」の言葉が出るなど、首相のおひざ元なのにアウェーの空気だった。最大派閥安倍派の議員の反発が強く、高市早苗安全保障相も、SNSで「真意が理解できない」と疑問を唱えるなど政権全体が一枚岩ではないことも露呈した。

 国政選挙ではないものの、来年の統一地方選を控える中、増税の議論を出すこと自体が「禁じ手」という声も聞いた。すでに首相から発せられた方針でもあるが、このままの状態でどう折り合いをつけるのだろうか。

高市早苗経済安全保障担当相(21年9月撮影)
高市早苗経済安全保障担当相(21年9月撮影)

 閣僚らの疑惑や問題はすべてクリアされたわけではないし、防衛増税という国家全体にかかわる部分での対立構図という新たな火種も出てきた。旧統一教会をめぐる問題への対応もまだ続く。臨時国会は閉じても課題を抱え込んだままの岸田首相は、やっぱりまだピンチにある。「鈍感力」で乗り越えられる局面はそろそろ、なくなりつつあるような気もする。【中山知子】

 中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2022年12月11日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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