【大阪IR】:国から課された7条件と撤退リスク、開業に向けスタート切るも課題山積
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大阪IR】:国から課された7条件と撤退リスク、開業に向けスタート切るも課題山積
大阪府市が誘致を進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)について府と事業者が28日、実施協定を締結し、国内初のIR開業に向けた整備が本格化することになった。ただし開業までには、国側が大阪IRの区域整備計画認定に際して付した7条件への対応が求められるほか、今後の状況次第で事業者側が撤退するリスクも残されており、乗り越えるべきハードルは少なくない。<button class="sc-bGlEWM hZOuVm" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26"></button><button class="sc-bGlEWM hZOuVm" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26"></button>
IR建設予定地の夢洲(手前)=28日午後、大阪市此花区(本社ヘリから、恵守乾撮影)(株式会社 産経デジタル)
■【一覧で見る】大阪IR整備計画に国の審査委員会が課した7条件
「大阪のベイエリアで世界最高水準のIRを実現したい。その一歩へ、非常に大きな節目になった。極めて重要な日だ」
大阪府の吉村洋文知事は28日、実施協定締結の調印式に臨み、こう強調した。
国は4月、府が申請した整備計画を認定する際に7つの条件を付した。具体的には、IR全体の売り上げの8割を想定するカジノ収益をカジノ以外の事業に投資すること▽軟弱地盤が見つかったIR用地で想定以上の沈下などが判明した場合の対策検討▽ギャンブル依存症に関する調査と防止策の検証-などだ。
府市は8月、整備計画認定後初めてとなる住民説明会を開いた。参加者からは、地盤沈下時の対応や経済波及効果の実現可能性などを巡り、質問が相次いだ。府市は今後も府内で説明会を開き、理解を求める。
ギャンブル依存症対策としては、相談から治療までを行う「大阪依存症センター」(仮称)に関する有識者の検討委員会を設置し、今年5月から議論を始めた。
府市は毎年、取り組みの状況を国に報告し達成を目指すが、もう一つの懸念材料は事業者の撤退リスクだ。
実施協定では、観光需要の新型コロナウイルス禍前水準への回復▽IR用地の土壌対策▽インフレなどにより初期投資額の増額が見込まれない-などを前提条件とし、いずれか一つでも達成できないと事業者が判断すれば、撤退できるとした。当初の撤退判断の期限は令和5年9月だったが、事業者側の意向をくみ、実施協定では8年9月まで延長した経緯がある。
吉村氏はこの日、記者団に「事業者はリスクを背負って巨額の投資をする。ビジネスが成り立たなければ撤退する権限はあるが、互いにリスクを分担し世界最高水準のIRを成功させたい」と述べた。
■「依存症対策は独立組織を」
こうした現状を専門家はどう見ているのか。静岡大の鳥畑与一教授(金融論)は、府市のギャンブル依存症対策について「相談から治療までワンストップで受け付けるセンターを設置するとしているが、依存症の拡大を抑止する効果的な対策を迅速に講じるためにも、府市から独立した組織が必要ではないか」と指摘。
そのうえで「海外では依存症対策の独立機関を設けたり、大学と協力して依存症の調査を行ったりしている。大阪でも消費者を守る取り組みが求められるとともに、開業に反対する府民らと真摯(しんし)に対話を続ける必要がある」とした。
また、日本を訪れる外国人旅行者数は新型コロナウイルス禍前の約8割に回復しつつあることから「『世界最高水準』を目指す大阪IRが、モデルとするシンガポールや、今後変貌が予想されるマカオなど海外のIRとの競争に勝ち、安定的に外国人観光客や富裕層を呼び込めるかどうかも課題だ」と述べた。
さらに「IR開業が実現したとしても、大阪の地域経済の成長の起爆剤となるか、持続可能な発展につながるかについては疑問の余地がある。開業後の集客数などを注視していく必要がある」と語った。(北野裕子、吉田智香)
元稿:産経新聞社 産経ニュース WEST関西 【話題・大阪IR】 2023年09月28日 21:25:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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