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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【金口木舌】:「平等」と「公平」の違い

2022-09-14 05:03:30 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【金口木舌】:「平等」と「公平」の違い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:「平等」と「公平」の違い

 壁の向こうで野球の試合が行われている。身長の異なる3人がそれを見ようとしているが、壁が高くて見えない。その場合、どんな高さの踏み台を与えるか

 ▼身長の違いに関係なく3人に同じ高さの踏み台を与えるのが「平等」。この場合、高さが足りず試合を見られない人が出る。一方、試合が見られるようにそれぞれの身長に合わせて異なる高さの踏み台を与えるのが「公平」
 ▼誰もが暮らしやすい社会実現には、多様性を包括することにとどまらず、公平性の担保も必要なことを表現したイラストだ。障害者差別解消法のキーワードでもある「合理的配慮」がこの考え方と似ている
 ▼9月は障害者雇用支援月間。県内の障がい者実雇用率は2・86%で全国2位の高さだが、雇用義務のある企業の4割が法定雇用率未達成。任せられる仕事がない、どんな配慮をすればいいのか分からないという声も聞く
 ▼人はそれぞれ特性がある。育児や介護で時間の制約がある人もいる。合理的配慮ができる職場は障がい者だけでなく誰もが働きやすいはずだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2022年09月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:視覚障害者の踏切事故 再発防止へ国の対策急務

2022-06-04 02:05:40 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

《社説②》:視覚障害者の踏切事故 再発防止へ国の対策急務

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:視覚障害者の踏切事故 再発防止へ国の対策急務

 全盲の女性が4月、奈良県内にある近鉄橿原線の踏切内で、電車にはねられて死亡した。

 警報機、遮断機が備えられていた。警察によると、渡り切ろうとした時に警報が鳴り、女性は来た方向へ戻ろうとした。踏切内での自分の位置を勘違いしていた可能性がある。踏切の前に設置された点字ブロックは摩耗が激しく、一部欠損していた。

 浮き彫りになったのは、健常者を想定した設備では視覚障害者の安全を守れない現実だ。

 線路を横切る踏切は足元が不安定なうえ、乗用車が真横を通るなど危険が大きい。警報がいつ鳴り出すか分からないという不安も加わる。

 こうした理由から、白杖(はくじょう)での単独行動を指導する歩行訓練士は踏切を極力避けて迂回(うかい)するよう勧めている。だが、自宅周囲の環境や目的地によっては利用せざるをえない場合もあるだろう。

 2017年には長野県で70代の男性が、昨年には静岡県で20代男性が、踏切内の事故で死亡している。いずれも視覚障害があり、自分が踏切の中にいると気づいていなかった可能性がある。

 踏切の外側に点字ブロックを設置するだけでなく、踏切内にも連続的な突起があれば、視覚障害者は自分の位置を足の裏で知ることができる。だが、設置された例は少ない。

 踏切道改良促進法は、「開かずの踏切」や交通渋滞の原因になるなど問題のある踏切を国が指定し、鉄道事業者や自治体に改良を求めることができると定めている。バリアフリーの視点が生かされているか、点検する必要がある。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年06月04日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:中学生の時に失明したという佐木理人(あやと)さんは、四十代…

2022-05-09 07:32:35 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【筆洗】:中学生の時に失明したという佐木理人(あやと)さんは、四十代…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:中学生の時に失明したという佐木理人(あやと)さんは、四十代…

 中学生の時に失明したという佐木理人(あやと)さんは、四十代の点字新聞の記者。白杖(はくじょう)を使って通勤している。大改修が進む大阪・梅田の地下街の一角で立ち止まり、移された点字ブロックを探す体験をつづった記事を先月、毎日新聞で読んだ

 ▼「落ち着こうと、大きく深呼吸する。つえ先を慎重に右左に動かし、工事で張り替えられた点字ブロックを見つけ、会社にたどり着く」。知らない道を歩く時は緊張するようで、こう続く。「一人で初めて訪れる取材先への道では、足裏に点字ブロックの突起を感じると、ほっとする」

 ▼奈良県内の近鉄の踏切で先日、目の不自由な女性(50)が電車と接触して死亡した。近くで白杖と全盲を示す障害者手帳が見つかり、踏切があることを警告する手前の点字ブロックは一部が欠損していた。経年劣化ではがれた可能性があるという 
 ▼付近の防犯カメラに、踏切を横断中に遮断機が下り始め、立ち止まる姿が写っていたという。踏切と知らずに立ち入ったのだろうか。胸が締めつけられる 
 ▼点字ブロックは岡山の男性が考案し、一九六七年に地元の盲学校近くの交差点に初めて設置された。各地に広がったが、点字ブロック上の駐車、駐輪、立て看板設置などは絶えず、障害者がぶつかることもある
 ▼誕生から半世紀が過ぎた「道標」への理解は十分なのだろうか。まただれかを傷つけてはいけない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2022年04月29日  06:55:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【迫る】:旅行会社社長の気づき(その1) 世界一周、動き出した人生

2022-05-08 02:02:20 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【迫る】:旅行会社社長の気づき(その1) 世界一周、動き出した人生

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【迫る】:旅行会社社長の気づき(その1) 世界一周、動き出した人生

 「アンパンマン」のキャラクターが描かれたスコップを使い「世界最大の砂場」で遊んだ。砂の上を転がっても誰もとがめない。ダウン症と診断された長男の陽輝(はるき)さん(9)ら3人の子どもたちは好きなだけはしゃぎ回った。家族の誰もが満面の笑みを浮かべていた。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2022/05/08/20220508ddm001040123000p/9.webp?2" type="image/webp" />2019年10月、サハラ砂漠で。友人の激励や、家族の似顔絵が描かれた「旗」を持って各地で記念撮影した。左から戸田光明さん、優音さん、愛さん、芽結ちゃん、陽輝さん=戸田愛さん提供</picture>
2019年10月、サハラ砂漠で。友人の激励や、家族の似顔絵が描かれた「旗」を持って各地で記念撮影した。左から戸田光明さん、優音さん、愛さん、芽結ちゃん、陽輝さん=戸田愛さん提供

 旅行会社「とことこあーす」(大阪市旭区)の社長、戸田愛さん(37)は2019年10月、家族5人でアフリカ北部に広がるサハラ砂漠にいた。米国とほぼ同じ面積の広大な砂漠を背景に、一家は大事な「旗」を手に記念撮影した。中央には長女、優音(ゆい)さん(11)が描いた家族の似顔絵。その周りを友人らの励ましのメッセージが囲む。

 撮影後、そんな大切な「旗」を砂漠に置き忘れ、取りに戻ったハプニングも今では思い出の一ページだ。、残り1575文字(全文1908文字)

 ※:この記事は有料記事です。ご登録から1カ月間は99円!!。いますぐ登録して続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【迫る】  2022年05月08日  02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【迫る】:旅行会社社長の気づき(その2止) 「普通」じゃなくてもいい

2022-05-08 02:02:10 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【迫る】:旅行会社社長の気づき(その2止) 「普通」じゃなくてもいい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【迫る】:旅行会社社長の気づき(その2止) 「普通」じゃなくてもいい 

 長男陽輝(はるき)さん(9)がダウン症と診断されてから、落ち込みがちな戸田愛さん(37)の気分を晴らしたのは「世界とのつながり」だった。友人が始めた英会話スクールを手伝ううち、海外の講師と受講者をオンラインで結ぶスタイルを知り、アイデアが浮かんだ。「世界各地で暮らす日本人を現地ガイドとして、旅行者に紹介したらどうだろう」

 

オンライン授業で、カンボジアの子どもら(左画面)を紹介する旅行会社「とことこあーす」社長の戸田愛さん=大阪市旭区の市立大宮小学校で2022年3月11日、菱田諭士撮影

オンライン授業で、カンボジアの子どもら(左画面)を紹介する旅行会社「とことこあーす」社長の戸田愛さん=大阪市旭区の市立大宮小学校で2022年3月11日、菱田諭士撮影

 発想の原点は添乗員時代の経験だ。「観光バスの乗り降りを繰り返し、写真を撮って次の観光地へ。効率はいいけど、現地の人との触れ合いがない」と引っかかっていた。「友達のようにガイドが街を案内したり、不安な点の相談に乗ってくれたりしたら、よりその街の魅力を知ることができる」。2015年5月に「とことこあーす」を設立した。、残り3032文字(全文3353文字)

 ※:この記事は有料記事です。ご登録から1カ月間は99円!!。いますぐ登録して続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【迫る】  2022年05月08日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【記者の目】:視覚障害者の転落防ぐために 勇気出しホームで声かけを=山縣章子(くらし医療部・前点字毎日)

2022-04-30 02:03:10 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【記者の目】:視覚障害者の転落防ぐために 勇気出しホームで声かけを=山縣章子(くらし医療部・前点字毎日)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【記者の目】:視覚障害者の転落防ぐために 勇気出しホームで声かけを=山縣章子(くらし医療部・前点字毎日) 

 「視覚障害者にとって駅は『欄干のない橋』と一緒」

 このナレーションで始まる短いイラスト動画を、毎日新聞は2021年12月に動画サイト「毎日動画」で公開した。駅のホームで視覚障害者への手助けを健常者に呼びかける内容で、JRさいたま新都心駅の改札正面大型ビジョンや横浜市の地下鉄車内でその一部が流れた。私は日本の新聞社が発行する唯一の点字メディア「点字毎日」編集部に3月まで所属しながら「記者は記事を書くだけでいいのか」「もっと社会に直接働きかけてもよいのではないか」と悩んだ末に、この動画の制作や公開に取り組んだ。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2022/04/28/20220428ddm005070158000p/6.webp?1" type="image/webp" />さいたま市の大型ビジョンで放映されたイラスト動画のワンシーン=さいたま市大宮区で2021年12月4日、山縣章子撮影</picture>
さいたま市の大型ビジョンで放映されたイラスト動画のワンシーン=さいたま市大宮区で2021年12月4日、山縣章子撮影

 視覚障害者がホームから転落死する悲劇は後を絶たない。16年8月に東京都港区の東京メトロ銀座線青山一丁目駅で、盲導犬を連れた会社員男性(当時55歳)がホームから落ち、電車にはねられ死亡する事故があった。当事者団体や鉄道事業者らが総合的な安全対策の検討に動き出し、事業者によるホームドア設置が加速している。残り1450文字(全文1859文字)

 ※:この記事は有料記事です。ご登録から1カ月間は99円!!。いますぐ登録して続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【記者の目】  2022年04月28日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【神奈川県】:「入所者の肛門内にナット」は虐待 知的障害者施設「中井やまゆり園」巡り県の調査委

2022-04-26 22:37:30 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【神奈川県】:「入所者の肛門内にナット」は虐待 知的障害者施設「中井やまゆり園」巡り県の調査委

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【神奈川県】:「入所者の肛門内にナット」は虐待 知的障害者施設「中井やまゆり園」巡り県の調査委

 職員らが入所者に不適切な対応をしたとの情報が寄せられた神奈川県立知的障害者施設「中井やまゆり園」を巡り、県の外部調査委員会は26日、「入所者の肛門内にナットが入っていた」など5件は、虐待に当たる疑いがあると発表した。県は障害者虐待防止法に基づき関係市町へ通報する。

 委員会によると、2020年3月に男性入所者の肛門内から直径2センチの金属製ナットが取り出された。園の調査では当初「自分で入れたと推測される」としていたが、委員会は医師や家族への聞き取りから、職員が入れた可能性が高いと判断した。

 5件はこのほか、入所者のコップの水などに塩や砂糖とみられる異物が混ぜられたり、入所者に数百回スクワットをさせたりした。

 情報は計約40件で、職員らの匿名アンケートなどで寄せられた。「すしに大量のワサビを塗って食べさせた」などの内容は引き続き調査する。

 委員長を務める佐藤彰一国学院大教授は記者会見で「信じられないようなことが起きている。特定の職員の問題というより、職場全体で支援の在り方の認識が甘い」と批判した。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・神奈川県・職員らが入所者に不適切な対応をしたとの情報が寄せられた神奈川県立知的障害者施設「中井やまゆり園」を巡り、県の外部調査委員会・「入所者の肛門内にナットが入っていた」など5件は、虐待に当たる疑い】  2022年04月26日  22:37:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【神戸市】:「どうせ死ぬ」難病職員に暴言、熱いくずきり首筋に落とす暴行 水道局職員を懲戒処分

2022-04-19 23:19:30 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【神戸市】:「どうせ死ぬ」難病職員に暴言、熱いくずきり首筋に落とす暴行 水道局職員を懲戒処分

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【神戸市】:「どうせ死ぬ」難病職員に暴言、熱いくずきり首筋に落とす暴行 水道局職員を懲戒処分

 神戸市は19日、同市水道局の40~50代の男性職員3人が、指定難病で障害者手帳を持つ同僚の50代男性職員に「はげ」「(病気で)どうせ死ぬんやから」と暴言を吐いたり、熱いくずきりを首筋に落とす暴行をしたりしたと認めた第三者委員会の報告書を公表した。

 市は同日、うち一部の暴言などを理由にこの3人と上司2人の計5人を停職15~3日の懲戒処分にした。

 報告書によると、被害男性は2018年4月~21年12月、料金徴収などの担当部署に勤務。加害者3人は、男性が仕事をできなかった際に「障害、持っているからやろ」と大声を出したり「どうせ病気で死ぬんやから、保険金が俺に入るようにしとけよ」と言ったりした。また20年6月に居酒屋であった懇親会で、加害者1人が、鍋に入っていたくずきりを故意に男性の首筋に落とし、やけどをさせた。

 市は21年11月、外部からの申告で3人のうち2人が関与した別のセクハラ事案を把握。同年12月に第三者委員会を設置し、調査の過程で男性への暴言や暴行が発覚した。3人は「コミュニケーションの一環だった」と説明しているという。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・神戸市・水道局の40~50代の男性職員3人が、指定難病で障害者手帳を持つ同僚の50代男性職員に「はげ」「(病気で)どうせ死ぬんやから」と暴言を吐いたり、熱いくずきりを首筋に落とす暴行した事案】  2022年04月19日  23:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【正平調】:上方落語界の最古参、桂福団治さんは、のどの不調で声が出なくなったことがある。

2022-03-31 06:00:40 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【正平調】:上方落語界の最古参、桂福団治さんは、のどの不調で声が出なくなったことがある。

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【正平調】:上方落語界の最古参、桂福団治さんは、のどの不調で声が出なくなったことがある。

 その時、ふと思った。「手話で落語をでけへんか」。ひそかに稽古をし、高座で披露した。すると

 ◆10歳ぐらいの男の子を連れた母親が「握手をしてやって」と楽屋へ来た。耳の不自由な子がこんなに笑ったのは初めてと言う。その言葉に感激した福団治さんは、手話の落語を本気でやってみようと決意した

 ◆手話という名のカギで扉を開けてみたら、いろんな出会いがあるということだろう。たまたま重なっているだけかもしれないが、このところ相次ぐ話題もきっと、と思う

 ◆米アカデミー賞の作品賞に、ろう者家族と健聴者の少女を描く「コーダ あいのうた」が選ばれた。手話で思いを伝え合うから、手の動きが翻訳される。上映中の映画館をのぞいたら、客席はいっぱいである

 ◆今回のアカデミー賞で国際長編映画賞を受けた濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」も手話の場面がとても印象的だった。落語家の笑福亭鶴瓶さんがろう者を演じるというので注目を集めるドラマも、放送中

 ◆手話で笑わせて約40年。福団治さんはかつて、こんな話をしていた。「手話落語が『福祉』ではなく、『娯楽の一つ』にならないと」。深くうなずく。2022・3・31

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【正平調】  2022年03月31日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【東洋経済オンライン・02.17】:ゲーム「ぷよぷよ」も対応、「色弱」の人が抱える困難

2022-02-26 00:02:50 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【東洋経済オンライン・02.17】:ゲーム「ぷよぷよ」も対応、「色弱」の人が抱える困難

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東洋経済オンライン・02.17】:ゲーム「ぷよぷよ」も対応、「色弱」の人が抱える困難 

 緑と赤、ピンクと灰色など、特定の色の見分けが難しい「色弱」。日本人男性の5%、女性の0.2%にあてはまる、実は身近な先天的の視覚特性だ。

 ここ数年、東京オリンピック・パラリンピックへの対応も含め、さまざまな表示をどんな視覚特性を持つ人にも見えやすい「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」の視点で見直そうという動きが広がっている。

(画像:セガ公式ツイッターアカウントより色弱の人にも対応した「ぷよぷよeスポーツ」)
(画像:セガ公式ツイッターアカウントより色弱の人にも対応した「ぷよぷよeスポーツ」)

 セガのパズルゲーム「ぷよぷよ」。同じ色を4つそろえて消し、組み合わせて連鎖を狙うのが醍醐味(だいごみ)だ。比較的シンプルなゲームだが、もし色の見分けがつきにくかったら--? 特定の色の見分けが難しい色弱の人たちにとって、ぷよぷよは長らく高難易度のゲームだった。

 ところが、2020年、この状況が大きく変わる。ぷよぷよに「色ちょうせい」というモードが搭載されたのだ。当事者を交えた検証を踏まえ、色弱の人たちに対応したモードのほか、光の強さや色の強さを調整でき、見分けがつきやすいようにした。

 検証を担当した、カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)副理事長で、色弱当事者でもある伊賀公一さんは、「検証に参加した当事者の中には、『ぷよぷよができる!』と涙ぐむ人もいました。ゲームでは色の区別が重要なものも多く、色弱の人たちはそのような色合わせ系ゲームに苦手意識があったり、ゲームをすること自体、諦めている人も少なくありません」と指摘する。

東京慈恵会医科大学附属病院の外来棟にあるAED(自動体外式除細動器)。色弱の人でもわかるようCUDになっている(写真:東洋経済オンライン編集部)
東京慈恵会医科大学附属病院の外来棟にあるAED(自動体外式除細動器)。色弱の人でもわかるようCUDになっている(写真:東洋経済オンライン編集部)

 ■そもそも色弱とは…?

 目の網膜には、外から入る光を色として脳に伝える「錐体(すいたい)」という細胞がある。この錐体には、長い波長の光(赤)を感じるL錐体、中程度の波長の光(緑)を感じるM錐体、短い波長の光(青)を感じるS錐体の3種類がある。

 色弱は、この錐体のいずれかが、一般の色覚を持つ人とは違った働きをすることで生じる。L錐体の働きが違うのがP型、M錐体がD型、S錐体がT型と呼ばれ、多くはP型とD型に当てはまる。赤と緑、ピンクと灰色などの見分けが難しく、例えば、濃い赤と緑では、どちらも黒っぽく見える。

 色弱は、「色盲」などと呼ばれていた時代もあり、「白黒で世界が見えている」「色の見分けがまったくつかない」などと誤解されがちだ。しかし大半は、一部の色の見分けが困難なだけで、タイプや強度によるが、青と黄色は、一般の人たちより鮮やかに判別できたりもする。文字や形での見分けで補足すれば、日常生活にはさほど苦労しない人がほとんどだ。

 ただ、とっさの判断が必要な場合や、安全に関わる場合は事情が異なる。例えば、本来は遠くからでもわかりやすく、目立つ配色であるはずの道路標識が、色弱の人たちにとっては、暗く、見えにくかったとしたら--。気づくのが一瞬遅れるだけで、大事故につながりかねない。

 ■JISで「安全色」が決められている

 こうした事態を防ごうと2018年、道路標識や避難誘導の際に使われる日本産業規格(JIS)の「安全色」は、CUDの視点に基づいて改正された。

 一般的な色覚の人のほか、色弱、弱視、白内障の人を対象に、微妙に違う赤や黄色、青など約970色の中から、はっきり認識でき、安全色としてふさわしいものを選定した。安全色の改正で、色覚特性のある当事者への大規模な調査が行われたのは、今回が初めてとなる。

 変更された安全色は、赤色がオレンジっぽい赤に変わった程度で、一般的な色覚の人にとっては、ごくわずかな調整に感じる。しかし、これが色弱の人たちにとっては、大きな差。各色がはっきり、くっきりと認識できるようになっているのだという。

 先に登場した伊賀さんは、安全色の原案作成委員としても関わった。

 「これまでも専門家の知見のもとに選定されてきましたが、見え方に関しては、当事者ではないとわからないことが少なからずあります。例えば、赤と緑の見分けをはっきりさせようとしすぎると、色弱者にとっては逆に灰色っぽく見えて識別しにくい色が選ばれてしまったりします。当事者の視点をしっかりと調査し、取り入れてもらうことが重要なのです」

 東京オリンピック・パラリンピックでも対応が進んだ。実は白人には色弱が多く、12人に1人いるといわれている。色弱のほか、さまざまな視覚特性を持つ人が国内外から集まる機会とあって、対策が講じられた。

 国立競技場内のトイレなどの案内表示は白と黒を基本とし、不必要に色を多用しないことで、見やすいように工夫。また、開会式で使う各国のプラカードも、黒地に黄色い文字で国名が書かれ、文字が読みやすいよう配慮された。

 コロナ禍で五輪自体の開催の是非が焦点となり、こうした点には注目が集まらなかったが、本来であれば、東京からCUDを発信するよい機会になったはず。残念でならないが、大阪万博など今後の機会に期待したい。

 一方、見え方の違いによって、差別や劣等感が生まれがちなのが学校現場だ。

 2002年度までは、小学校4年生の健康診断で色覚検査が実施され、色弱かどうかを本人に知らせていた。2003年度以降は必須項目から削除されたが、2014年の学校保健安全法施行規則で、「児童生徒や保護者の事前の同意を得て個別に検査、指導を行うなど、必要に応じ、適切な対応ができる体制を整えること」と改正。色覚検査を復活させる動きが出ている。

 これに対し、「検査は事後措置とセットであるべき」と警鐘を鳴らすのは、自身も色弱当事者である東京慈恵会医科大学解剖学講座の岡部正隆教授だ。

 色弱は男女40人学級なら、クラスに必ず1人はいる。であれば、誰が色弱であるかを明らかにするよりも、誰が色弱だったとしても学校生活に困らないよう配慮が必要だ、と岡部教授は指摘する。

 「検査で色弱だとわかっても、今は『あなたは色弱。これから大変だけど頑張って』で終わらせてしまっている。それでは意味がありません。遺伝的な特性で治療法がない以上、生活上困っていなければ、検査で強制的に本人や周囲に知らしめる必要はありません。必要であれば、適切なタイミングで検査して知ればいいだけのこと。

 それより大事なのは、例えば、色弱の生徒にも見えやすいチョークを採用するといった配慮や、色弱だからといって不必要に将来の選択肢が狭められないような進路指導です」

 現在、色弱の人は電車の運転士や旅客機のパイロットなど、一部の職種に就くことができない。ただ、今小学生なら、大人になる10年後や20年後などに、基準が変更されていることもありえる。「色弱だから〇〇にはなれないに違いない」などと思い込んで将来を悲観したり、劣等感を持ったりしないよう、正しい情報に子ども自身がアクセスできるための調べ方を教えるといった指導も必要だろう。

 ■文房具でも配慮ができる

 黒板に使うチョークも、CUDに配慮されたものが販売されている。また、採点用のサインペンも、濃い赤は黒っぽく見え、答案と重なって見えてしまう。しかし、朱色なら、色弱でも答案との違いがはっきりわかりやすい。

 「学校で添削用のサインペンを購入する際に朱色に統一するなどすれば、仮に先生に知見がなかったとしても配慮ができる。校長先生など、決裁権者に認識が広がることが重要だと思います」(岡部教授)。

 最近では、教科書も「CUDに配慮しています」と表記されたものも多い。しかし、岡部教授によると、こうした表記には明確な基準がなく、なかには本当に専門家や当事者によってチェックされているのか、疑わしいものもあるという。

 具体的にどう配慮すればいいか迷ったら、スマホアプリを活用するというやり方もある。「色のシミュレータ」という無料アプリでは、画像を色弱者の見えている色に変換することができる。例えば、体育の先生が、チーム分けの際に使うビブスの色で迷った際、このアプリを活用すれば、どの色の組み合わせが色弱でも見分けがつきやすいのかをチェックできる。こうすれば、色弱の児童や生徒が、敵味方がわからず困惑する事態を防げる。

 このアプリは無料で利用できるので、企業で商品デザインを担当する人が活用すれば、最低限、コストをかけずに多様な色覚への配慮が可能になる。

 また、色弱の子を持つ親の中には、「自分の遺伝子が原因で、子を色弱にしてしまった」と悩む人も。これに対して、岡部教授は、

 「色弱に限らず、性格や体格など、さまざまなことが親から子へ遺伝しています。色弱はそのうちの1つにすぎません。問題なのは、親の描く『色覚異常』のイメージに、子をカテゴライズしてしまうこと。怖がらずに色弱のことを知って、具体的にどう対応すればいいのかを子どもと一緒に考えてほしい」

 とアドバイスする。

 ■対応に悩んだら……

 対応に悩んだら、CUDOにも相談窓口があるので、利用してみるのも手だ。CUDOには、色弱当事者などでつくる「CUD友の会」があり、ここでは「肉が焼けているかどうかの見分けがつきにくい色弱の人が焼き肉を楽しむには」「紅葉を楽しむには」といった、生活が楽しくなるような知恵も共有されている。思い悩まず、気軽にのぞいてみたい。

 また、色弱の人のなかには、幼い頃、絵を描く際に友人から「それはこんな色じゃない」「色が変だ」とばかにされたことで、絵を描くことが嫌いになってしまう人もいる。

 そんななか、色弱の人自ら、純粋に絵を描く喜びを取り戻そうという試みも始まっている。2020年からCUDOでは、色弱の人による色弱の人のための絵画展をウェブ上で実施。先に登場した伊賀さんは語る。

(写真:2021年度【ひとつの色世界_2021】の作品から)
(写真:2021年度【ひとつの色世界_2021】の作品から)

 「これまで色弱の人は、“葉っぱの色は緑だから、『緑色』と書いてある絵の具で塗ろう”と、自分の見え方とは違う色を、一般の見え方をする人に“忖度(そんたく)”しながら絵を描いてきました。特にかつて配慮なき学校色覚検査で心的外傷を受けた60代以上の色弱の人は『絵だけは勘弁して』と苦手意識を持つ人も多い。この絵画展では、見えたままの色で描いていい。描いた絵は、色弱の人だけで評価します。忖度せず、好きなように絵を描いていいという、色弱の人の心を解放しようという試みです」

 まだまだ正しく認知されていない色弱。商品やチラシなど、何かを発信したり、デザインをしたりする際に、ほんの少し工夫することで、多くの人が使いやすくなる。この色使いで、困る人はいないのか。まずはまわりの色に目を向けてみるところから始めてみたい。【山内 リカ : 東洋経済オンライン 編集者】(構成:市岡ひかり)

 ◆東洋経済オンライン セレクション

 ■経済ニュースサイト『東洋経済オンライン』とニッカンスポーツ・コムの連携企画です。東洋経済オンラインのセレクト記事を毎週掲載します。

  元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・東洋経済オンライン セレクション】  2022年02月17日  11:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【国交省】:障害の違いで運賃に差…精神障害者向け割引に遅れ 首都圏はJRも大手私鉄も未導入

2022-01-23 06:10:50 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【国交省】:障害の違いで運賃に差…精神障害者向け割引に遅れ 首都圏はJRも大手私鉄も未導入

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国交省】:障害の違いで運賃に差…精神障害者向け割引に遅れ 首都圏はJRも大手私鉄も未導入 

 路面電車やモノレールなどを含む全国の鉄道会社175社のうち、精神障害者向け運賃割引を実施しているのは半数余りの97社にとどまっていることが、国土交通省の内部資料で分かった。首都圏や中京圏などの都市部では、ほとんど実施されていない。身体、知的障害者はほぼ全社が実施しており、障害の違いによって対応に差が生じている。(我那覇圭、市川千晴)

 ■精神障害

 統合失調症やそううつ病、てんかん、薬物やアルコールなどの依存症、高次脳機能障害などを指す。2021年版厚生労働白書によると、全国に推計で419万3000人おり、身体障害の436万人とほぼ並ぶ。知的障害は109万4000人。

◆障害者手帳の交付開始時期が影響

 昨年4月時点の調査結果をまとめた国交省の資料によると、精神障害者向けの運賃割引を実施している97社の内訳は、東京都営地下鉄や名古屋市営地下鉄など公営鉄道が11社、西日本鉄道など大手私鉄が2社、地方を中心とする中小の私鉄が84社。各社のホームページなどによると、一定の条件で、障害者本人や介助者の普通運賃を半額にするケースが多い。
 一方、JR各社などには身体、知的障害者の運賃割引はあるが、精神障害者はない。精神障害は身体、知的障害と比べ、社会的に分類されたのが遅く、割引を受ける際に提示が必要な障害者手帳の交付開始が身体の1950年、知的の73年に対し、精神は95年だったことが影響している。
 国交省鉄道局の担当者は取材に「運賃は鉄道事業法に基づいて鉄道会社が決めており、割引への協力と理解を求めている」と説明した。一方、JR東日本広報部の担当者は「身体障害者らの割引を含めて本来、社会福祉政策として取り組む必要がある」と、現在は行われていない公的な財政負担の必要性を主張。精神障害者割引について「他の利用客の負担につながる面もある。現在のところ予定はない」と回答した。

 ◆平均月収6万円…「交通費の負担大きい」

 精神障害者の運賃割引を巡っては、2019年に全国精神保健福祉会連合会(通称・みんなねっと)などが衆参両院に提出した請願で「障害者が移動する際に公共交通機関は必要不可欠だ」と指摘。国からJR各社などに身体、知的と同等の扱いになるように働き掛けを求め、衆参ともに全会一致で採択された。
 みんなねっとの小幡恭弘事務局長は「われわれの調査では、精神障害者の収入は月平均6万円程度と少なく、交通費の負担感は大きい。関係者は運賃割引が進むように努力してほしい」と訴えている。

 ◆国と鉄道事業者、費用を巡り溝

 精神障害者の鉄道運賃割引について、国は「民間の判断に委ねられている」との見解を示す一方、鉄道会社側は「必要な財源は国が負担すべきだ」との立場で折り合えていない。障害のため仕事で十分な収入を得られない当事者らは身体、知的障害者と同様の制度の実現を求めている。
 「遠方の親戚に会いに行きたいが、鉄道運賃の負担が大きく、控えざるを得ない」。精神障害者らの交流会などを企画している一般社団法人「精神障害当事者会ポルケ」(東京都大田区)の代表理事で、統合失調症を患う山田悠平さん(37)は肩を落とす。
 山田さんは「都内では割引がある鉄道が限られるため、住居や生活の範囲も沿線に限定されがちだ」と話す。障害者権利条約が移動の自由を保障していることなどを挙げ、「精神障害者が社会への一歩を踏み出すための環境を整えてほしい」と訴える。
 
 
 精神障害者向け割引がある鉄道会社は2012年の58社から21年の97社に増えたが、JR各社のほか都市部の大手私鉄の多くは未導入。「障害者人口のカバー率では、普及しているとは言えない」(みんなねっとの小幡事務局長)のが実情だ。
 関西大の安部誠治教授(公益事業論)は「精神障害者の社会参加に向け、全国一律の運賃割引が求められているが、財政状況が厳しく踏み出せない鉄道会社もある。公共性の高い分野でもあり、財政負担などで国が主導的な役割を果たすべきだ」と語る。(我那覇圭)
 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・精神障害者向け支援制度】  2022年01月23日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:年のはじめに考える 差別の正体と向き合う

2022-01-06 07:47:20 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【社説①】:年のはじめに考える 差別の正体と向き合う

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:年のはじめに考える 差別の正体と向き合う 

 二年前の元旦、本紙一面で始まった連載「祝祭の風景 ブラインドサッカー編」をご記憶の読者もいらっしゃると思います。全盲のアスリートが直面する社会の壁と、障害者スポーツを通じてつかもうとする夢を描きました。
 その主人公、鳥居健人(けんと)さん(30)=写真=から、喜ばしい結婚の知らせが届きました。
 
 
 鳥居さんはブラインドサッカーの元日本代表です。一歳の時に網膜のがんで失明し、会社員として働く傍ら、都内のクラブチームで活躍しています。
 結婚相手は、競技を通じて出会った晴眼(視覚障害のない)の女性。「おめでとうございます。末永くお幸せに」と祝福したい。
 昨年十二月、都内で新婚生活をスタートさせようとした二人。ところが、部屋探しでつまずいたというのです。

◆障害者の入居を拒否

 広さや家賃など条件がぴったり合う賃貸マンションが、インターネットで見つかりました。不動産会社に申し込んだところ、「部屋のオーナーに断られた」との返事。共働きで、家賃の支払い能力に問題はないはずです。
 諦めきれず、別の不動産会社から同じ部屋を申し込むと、やはりダメ。「オーナーが視覚障害を懸念している」と説明されました。
 火災の心配か。室内が汚くなるとでも思ったのでしょうか。
 不動産会社は謝罪し、鳥居さんは物件を諦めたそうです。「以前にも拒否に遭いました。一人暮らしを長く経験し、特に問題はないのに」と悔しさをにじませます。
 国土交通省が二〇二〇年度、二百社超の賃貸住宅管理会社を対象に行った実態調査の結果を見て、驚きました。「障害者の入居に拒否感がある」と答えたオーナーは約75%。実際に「入居不可」とするのは約10%に上るからです。
 どれほど大勢の障害者が、悔しい思いをしているのだろう。憲法で居住の自由を保障し、障害者差別解消法で「不当な差別」を禁じる国の現実です。
 差別の正体は何でしょうか。
 一つは「火災を起こす」などの懸念が、データなど根拠のない偏見だと考えられることです。自立した障害者の生活を知らず、無知に基づいている。
 もう一つは、歴史的な優生思想の名残です。重い障害があれば、大規模施設に収容する。法律に「欠格条項」という壁を設け、資格や免許を取得できないようにする。こうした排除の論理が、長年まかり通ってきました。
 障害者に限った話ではありません。賃貸住宅に関する実態調査に戻ると、オーナーが入居に拒否感を持つ対象は、高齢者も外国人もともに七割超と、障害者と同様に高い。「入居不可」とする対象も、割合は少ないものの非正規社員、一人親世帯、性的少数者(LGBT)などさまざまなカテゴリーの人々に及んでいます。
 差別のリストは、増やそうと思えばいくらでも増やすことができるのではないか。そして、無知や歴史的背景によって差別が生じるのなら、誰もが差別をする主体になりかねません。

◆人の「値打ち」は同じ

 二松学舎大学の荒井裕樹准教授(障害者文化論)は、著書「障害者差別を問いなおす」の中で「『差別』は『悪いことだ』という総論で同意しやすいからこそ、逆に各論で同意が得にくくなるのかもしれません。各論を議論するとは『あなた(わたし)の、その言動は、差別に該当するか否か』について考えることにつながるからです」と指摘しています。
 思わず、わが身を省みました。
 高齢者、外国人、非正規社員、一人親世帯、LGBT…。人々をカテゴリーでくくり、拒むこと。それがあってはならないのは「かわいそうだから」という同情や哀れみからではありません。
 誰もが等しく「人権」を持っているからです。同じ人間としての尊厳に基づいた、侵すことのできない権利なのです。
 それを多くの人々が自らの経験として実感した時、他者を尊重し、多様な価値観を認め合う社会の地平が開ける気がします。
 年の初めに、詩人の谷川俊太郎さんとアムネスティ日本が訳した世界人権宣言の第一条を紹介しましょう。「わたしたちはみな、生まれながらにして自由です。ひとりひとりがかけがえのない人間であり、その値打ちも同じです。だからたがいによく考え、助けあわねばなりません」

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月03日  07:36:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【評論】:生きる力育て合う社会へ 紗希ちゃんの学校給食 医療的ケア児の支援(論説主幹 丸山貢一)

2022-01-04 07:37:40 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【評論】:生きる力育て合う社会へ 紗希ちゃんの学校給食 医療的ケア児の支援(論説主幹 丸山貢一)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【評論】:生きる力育て合う社会へ 紗希ちゃんの学校給食 医療的ケア児の支援(論説主幹 丸山貢一) 

 給食の時間、保健室の一室に4年生の内山紗希ちゃんが入ってきて椅子に座った。12月初め小布施町の栗ガ丘小学校。迎えたのは看護師の富岡由紀子さんだ。

 一緒にパンやおかずをミキサーにかけ、紗希ちゃんのおなかの胃ろうから注入していく。

 1293グラムで生まれた。染色体に異常があり、長く入院した。口から母乳もミルクも飲めず、経管栄養で命をつないだ。やがて胃ろうに切り替えた。

 その後少しずつ口で食べられるように。入学して他の児童と触れ合い、刺激を受けたのだろう。その力が目に見えてついてきた。

 取材したこの日も、紗希ちゃんは胃ろうの注入のさなかに地元産の牛乳1本を飲み干した。

〈母親の孤立を防ぐ〉

 富岡さんは2013年、障害児を預かる施設を仲間と一緒に須坂市内に開設。紗希ちゃんを保育園の時からケアしてきた。

 富岡さんの2人の子どもも成長が遅く、網膜色素変性症などを患った。「重度知的障害児」に区分され養護学校に通った。

 「コーエン症候群」と診断されたのは7年前。両親から原因遺伝子を受け継ぐと10万人に1人の割合で発症する疾患だ。30代になった2人は「診断がつき、できることの範囲が広がった」という。

 自責の念に苦しむ母親の心情は痛いほど分かる。入園、入学のたび壁が立ち塞がり、将来の選択肢が狭められる。子どものためにと頑張る人ほど周りとあつれきを生んでしまう。母親の味方になり孤立させないとの思いは強い。

 栗ガ丘小は紗希ちゃんら2人の医療的ケア児を受け入れている。NPO法人「親子の未来を支える会」が町教委から受託し、看護師を交代で学校に派遣している。

 理事の北村千章(ちあき)さん(清泉女学院大看護学部准教授)は富岡さんの妹だ。姉の姿を見て、何をすべきか道を探し続けてきた。

 医療的ケア児は医療の進歩で救われる小さな命が増えたことに伴い、ここ10年で2倍に増えた。全国で約2万人に上る。

 看護師らの態勢が整っていない保育園や学校は親に付き添いを求める。母親が一手に担い、精神的に追い詰められて離職する。そんな事例が後を絶たない。

 北村さんらの取り組みは教育委員会や学校の理解と協力があって実現した。親の負担を分かち合い子どもの就学をサポートするチームケアの試みといえる。

〈理念と現実の溝〉

 コロナ禍で気付かされたのは、他者に無関心で弱者に配慮しない社会のありようだ。競争を強いられて走り続ける人々は、置き去りにされた人が目に入らない。

 誰も人生のどこかで人の助けがいる。社会で支え、ケアする人も支える。そんなケアを真ん中に据える政治に舵(かじ)を切るべきだ。

 医療的ケア児支援法が昨年、施行された。他の児童と一緒に教育を受けられるよう行政に最大限の配慮を求めている。その理念と現実の溝は大きい。どう埋めるのか、看護師の確保など「公助」の具体策が国や自治体に問われる。

 紗希ちゃんの母親、裕子さんは言う。「地域で生きていくためにこの子を理解し、支えてくれる人が増えてほしい」。町の保育園に預け、小学校を選んだゆえんだ。

 保育園から一緒の子は「おなかに口がある」と言うだけで受け入れてくれる。自然な関わりがありがたい。保護者の理解も感じる。

 紗希ちゃんの給食は12月半ば、胃ろうの注入を止めた。おにぎりを持ち寄った富岡さんらと一緒に給食を口から食べている。

 「私たちも成長させてもらっている」と富岡さん。周りの児童も大切なことを学んでいるはずだ。生きる力を育て合う社会はきっと誰にとっても生きやすい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【評論】  2022年01月01日  09:32:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田新内閣】:「五輪パラ責任者は全員女性 世界初?」野田氏のねぎらいに丸川氏しみじみ

2021-10-05 16:04:30 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【岸田新内閣】:「五輪パラ責任者は全員女性 世界初?」野田氏のねぎらいに丸川氏しみじみ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田新内閣】:「五輪パラ責任者は全員女性 世界初?」野田氏のねぎらいに丸川氏しみじみ 

 岸田新内閣発足に伴い、五輪担当兼女性活躍担当大臣を退任した丸川珠代氏(50)が5日、後任との引き継ぎ式に臨んだ。五輪担当を引き継ぐ堀内詔子氏は丸川氏に対し「コロナ禍で大変な状況の中での開催、ご努力に心から敬意を表します」と、緊張の面持ちであいさつした。

女性活躍担当大臣として、後任の野田聖子氏(左)との引き継ぎ式を行った丸川珠代氏(撮影・近藤由美子)女性活躍担当大臣として、後任の野田聖子氏(左)との引き継ぎ式を行った丸川珠代氏(撮影・近藤由美子)

女性活躍担当大臣として、後任の野田聖子氏(左)との引き継ぎ式を行った丸川珠代氏(撮影・近藤由美子)女性活躍担当大臣として、後任の野田聖子氏(左)との引き継ぎ式を行った丸川珠代氏(撮影・近藤由美子)

後任の橋本詔子氏(左)との引き継ぎ式を行った丸川珠代前五輪相(撮影・近藤由美子)後任の橋本詔子氏(左)との引き継ぎ式を行った丸川珠代前五輪相(撮影・近藤由美子)

後任の橋本詔子氏(左)との引き継ぎ式を行った丸川珠代前五輪相(撮影・近藤由美子)後任の橋本詔子氏(左)との引き継ぎ式を行った丸川珠代前五輪相(撮影・近藤由美子)

職員から花束を贈られた丸川珠代前五輪相(撮影・近藤由美子)職員から花束を贈られた丸川珠代前五輪相(撮影・近藤由美子)

 

 一方、女性活躍担当を引き継ぐ野田聖子氏は丸川氏に対し「五輪・パラの責任者は丸川大臣、橋本(聖子)会長、小池(百合子)知事と全員女性。それは世界初? すばらしいわね」と気さくに声を掛けた。さらに「本当に激務だったね、あの時は」「その細い体でよく頑張りましたね」と、五輪相として東京オリンピック(五輪)・パラリンピックを終えた丸川氏にねぎらいの言葉をかけ続けた。丸川氏も「いろんなご意見も不安もあった中なので…」と激務を思い出したのか、思わずしみじみとする場面もあった。

 引き継ぎ式を終えた丸川氏は職員に退任あいさつを行った。「大会直前まで、気苦労の絶えないことだったと思います。都との調整においても先方の事情をくみながら、どうしたらお互いにいい結果出せるかを考え、実行していただいた」と感謝した。さらに「先に失礼をさせていただくご無礼をお許しいただき、精算業務もしっかりお願いしたい」とあいさつ。職員から花束を贈られると笑みがこぼれた。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政局・岸田新内閣】  2021年10月05日  16:04:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【記者の目】:共生社会へ、見えた課題 オリ・パラの「壁」取り払おう=佐木理人(点字毎日)

2021-10-01 02:09:30 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【記者の目】:共生社会へ、見えた課題 オリ・パラの「壁」取り払おう=佐木理人(点字毎日)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【記者の目】:共生社会へ、見えた課題 オリ・パラの「壁」取り払おう=佐木理人(点字毎日) 

 <東京2020+1>

 全盲の私は、8月24日から29日まで東京パラリンピックを取材した。視覚以外の感覚と、同行した点字毎日の澤田健記者による状況説明を頼りに世界レベルの熱戦を体感し、同月下旬に連載「『四感』観戦記」を書いた。

 
パラリンピックの競泳会場となった東京アクアティクスセンター近くの交差点。右斜め奥が会場へ向かう道だが、途中で点字ブロックが切れている=東京都江東区で2021年8月25日午前8時59分、澤田健撮影

 パラリンピックの競泳会場となった東京アクアティクスセンター近くの交差点。右斜め奥が会場へ向かう道だが、途中で点字ブロックが切れている=東京都江東区で2021年8月25日午前8時59分、澤田健撮影

 各競技会場の設備は整えられ、全国から集まった2万4000人余りのボランティアの気配りや対応も素晴らしかった。「バリアフリー」は着実に進んでいると実感した。とはいえ、首をかしげた点もある。取材を振り返り、今後のあり方を考えたい。

 ※この記事は有料記事です。「ご登録日から1カ月間は99円」 いますぐ登録して、続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【記者の目】  2021年09月30日  02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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