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チラシの裏

柴錬はおもしろい

2006年09月06日 | others
司馬遼太郎とか吉川英治といった大御所による真面目なものとは一線を画した、ウソ八百をホントらしく見せた時代小説の一群があります。柴田錬三郎の作品をそこに入れると黄泉にいる著者から怒られそうですが、おもしろいいモンはおもしろいんです。

たとえば『赤い影法師』は掛け値なしのノンストップ時代小説。読み始めたら、もうとまりません。徳川家光の御世、寛永御前試合に挑戦する謎の忍者、影。服部半蔵、柳生但馬守、影の三巴の戦い。太閤の残した刀に秘められた謎とは。真田幸村、宮本武蔵の養子、伊織、など多彩な登場人物と、嘘かほんとかあっと驚く剣の極意。ちなみに続編(南國群狼傳)はつまらないので注意。
『運命峠』は不覚にも何か所かで涙をこぼしそうになってしまった、唯一の時代小説です。眠狂四郎のような虚無的な青年が、豊臣秀頼の遺児を助けることによって生きる目的を見いだす、という成長小説。その回りをかためる脇役は宮本武蔵、柳生十兵衛、柳生宗矩、徳川家光、大久保彦左衛門など豪華絢爛。しかしこの作品の準主役は忍者の千里運天。もちろん架空の人物ですが、このキャラクターが作品に奥行きを与えていると言ってもよいでしょう。なんといっても前編、後編というのが時代小説らしくっていいじゃないですか。。

赤い影法師
南國群狼傳
運命峠 前・後 (柴田錬三郎著 新潮文庫)
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2 コメント

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>南國群狼傳 (cold_sleeper)
2011-12-20 17:13:19
私は興奮こそ覚えませんが、つまらないとは思いませんでした。
“影”は出てきませんが「人間勝負」は面白かったですよ~
「運命峠」不覚にも未読です。これを期に読みます。
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おそれいります (spin out)
2011-12-22 18:35:42
こんにちは。
コメントありがとうございます。
「南國群狼傳」については前篇が面白すぎて、
期待が大きかったのでしょうね。
筆がすべりました。
「運命峠」は機会があれば是非。
返信する

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