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真夜中の檻

2017年10月15日 | others
創作はちょいとパスして、エッセイ集のほうを。
乱歩の「探偵小説入門」(キリコの絵が装丁に使われていた教養文庫のやつ)の怪奇小説版という体裁で、
乱歩ほど体系化して紹介していないけれど、好き者が好きなことを語る調子がおもしろかったなあ。
怪奇小説はちゃんとした読者じゃないけれど、また読んでみたくなります。
しかしこんな本が出ていたんですね(2000年初版で今年2017年に復刊)。

ラヴクラフトがクトゥルー神話を創ってしまったことで、
怪奇小説自体に墓穴を掘ったのではないか、という指摘は
門外漢にとってはどう考えていいのかムズカシイところです。
その追従者たちはSFへ逃げていったという認識も当たっているのか、どうか。
乱歩ほどSFの理解者ではなかったのでしょうね。
マッケンの神話的世界に比べると、ラヴクラフトの宇宙的ホラーは幼稚に見えたのかもしれません。

平井呈一は、講談社世界推理小説大系でカーの「黒死荘殺人事件」(挿絵山藤章二!)を翻訳していますが、
江戸前な語り口調がおもしろいかどうかは分かれるところでしょう。
他の翻訳家による翻訳が出ているという前提で、平井呈一版カー選集なんてのがあったらいいなあ。
「夜歩く」「魔女の隠れ家」「赤後家の殺人」「盲目の理髪師」
「ビロードの悪魔」「深夜の密使」「喉切り隊長」あたりどうですかね。

■真夜中の檻 平井呈一 創元推理文庫
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