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子不語の夢

2011年09月26日 | ミステリ
小酒井不木はわが地元の作家なのに、作品をまったく読んでいないのはミステリマニアとしては失格ですね。
「今さら」という気持ちもありますが、それでもこの「子不語の夢」は面白かった。
まさか不木と乱歩の書簡でこんなに面白い本になるとは。
それは、戦前の探偵小説に興味がある人に限られているからかもしれませんがね。
乱歩の「探偵小説四十年」や「幻影城」などは大好きですが、これらはいわば商品だからよそ行きの顔をした文ばかり。
書きたくないことは書いていないわけです。
ですが、手紙や葉書にはそういった商品には書けなかった、いわば心の中のマグマみたいなものが渦巻いています。
不木が急逝した原因については横溝正史へのインタビューから、意外ないきさつが推測されています。
しかもそれが正史の戦前の名作「真珠郎」のモチーフとなったという最後のオチに拍手をおくりたい。
国枝史郎との確執がなぜおきたのか、そのいきさつもある程度わかります。

■子不語の夢―江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集
浜田雄介編 乱歩蔵びらき委員会発行
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