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チラシの裏

特撮博物館に行った日、そして、もう一つ。

2014年11月26日 | others
名古屋市科学館の特撮博物館に行った日、待ち合わせまでの時間が少しあったので
名古屋駅前のジュンク堂に寄った。
目当ては国書刊行会から出ているはずのウィリアム・ジンサー著「Easy to remember」。
アメリカンポップスミュージックのルーツを古いミュージカルに探る(という予想)、という本で、
それは音楽の棚で容易に見つかった。
そこで、ドナルド・フェイゲンの自伝を探していたことを思い出した。
その本もかんたんに見つかった。特撮博物館にはこの2冊を抱えていくことになった。
自分が悪いのだが、片手がふさがっていると、
あまり子どものような気持ちになれないことが分かった。

フェイゲンの自伝「ヒップの極意」は、
フェイゲンの音楽的なルーツやスタンスを確認する目的で読む人がほとんどと思われる。
たしかに音楽の話ばかりだ。しかし、1章だけSFについて書かれている。

フェイゲンは少年のころ、熱心なSFマニアだった、しかも50年代SFの。
初期のP・K・ディック、A・ベスター、A・E・ヴァン・ヴォクトなどなど。
ロン・ハバートの「ダイアネティックス」の顛末など執拗に書いてるところを見ると、
SFになにを求めていたかが垣間見えるような気がする。
ほかの章でも書いているが、オタクで大人しいフェイゲン青年も
流行を取り入れてLSDなどを体験していたらしく
(すでに相棒だったウォルター・ベッカーのほうが激しく依存していたみたいだが)、
センス・オブ・ワンダーなどという甘い未来より、
「ここではないどこか」を切望する絶望したピーターパンのよう青年のように。

本の後半は、2012年のSteelyDanではないツアー日記だが、
フック船長を倒した後に老人になったピーターパンが人前で踊ってみせるような話ばかりだ。
それなりに舞っては見せるが本人はすでに飛べないことを自覚している。
固有名詞が頻出する文章は、フェイゲンとイメージを共有できないと、ほぼ異星人のモノローグだ。
ロッド・サーリングが座って新聞を読んでいそうな小奇麗なホテルのロビーって?
(ロッド・サーリングが分かるが、かれが座っていそうなホテルって?)
ちなみにSteelyDanは若いころによく聞いたバンドで、一般的に評価が高いのは後期でしょうが、
個人的には初期、とくに1stの「Can't Buy a Thrill」は全トラック大好き。

Steely Dan 「Can't Buy a Thrill」

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