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ムッシュウ・ジョンケルの事件簿 その2

2018年08月07日 | ミステリ
ヴァン・ダイン以前のプレミステリ様式とはいえ、
可能なかぎりの前提条件を提示して、ラストで説得力のあるツイストをくわえる技は、
同時代でもチェスタトンクラスの力業ではなかろうか。

説得力があるとはいうものの、読み手の懐の深さが試されるわけで、
かくいう自分でさえ「なんでこんな回りくどいことを?」と懐疑的にならざるを得ない話もあります。
そのあたりは、カーでさんざん鍛えられているので許容範囲。
カーと言えば短編「外交官的な、あまりに外交官的な」がなんだか、
このジョンケルオマージュのようにも思えますし、
「ゼンダ城の虜」「黒いチューリップ」といった外套と短剣式冒険小説も思い出させます。
カーがオマージュした、というならば、
ポーストには「ロンドン警視庁C・I・Dのヘンリー・マーキス卿」(1920)という短編集(未訳)があり、
カーの「第三の銃弾」に登場するマーキス大佐は、ここからインスパイアされたのかも。
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